しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

日本ミステリーベスト100(週刊文春版)のことなど

2013-10-22 | 本リスト
どうも私は誰かが「まとめて」順位をつけたものを眺めるのが好きなようです。
ということで標題も眺めてみたのでご紹介まで。

「ミステリー」はその性質上「謎解き」をメインテーマとする点でSFや一般小説より様式を縛られたジャンルだと思っています。
その分はまると様式美的な美しさにあふれたすばらしい作品になりますが「謎解き」ありきで小説としては「ぐちぐちゃ」もしくは「小説」としては出来が良くても「謎解き」がぐちゃぐちゃで「ミステリーとしてはどうも...」という作品も出てきやすいイメージがあります。
なお、私の頭はそれほど論理的でないのでどちらかというとロジックメインの作品は苦手です。

ストーリーで読ませる小説は常にある程度謎解きの要素があるような気もしますけれども...。

ということでミステリは好きではありますが「ファン」と言い切るには「違和感があるなぁ」という人の戯言です。

この「ベスト」の元ネタは週刊文春2013年1月号で発表されたもの。
「東西ミステリーベスト」で検索するとwikipediaで出て来ます。
wikipediaによると。
「推理作家や推理小説の愛好者ら約500名がアンケートに回答し、結果は『週刊文春』1985年8月29日号および9月5日号で発表された。1986年12月には文藝春秋編『東西ミステリーベスト100』として文春文庫より刊行された。
2012年、週刊文春2013年1月4日臨時増刊号として、リニューアル版が27年ぶりに刊行された。」

というもの。
なおこの2012年版も今年11月に文春文庫で「東西ミステリーベスト100」として発刊されるようです。
創元の「虚無への供物」の帯に「ミステリベスト 2位」との帯がついていたりしたので、セールス的には結構影響力あるんでしょうね。

ということでリスト(日本の作品)
既読は21作品、青で塗りました。

21作品、それなりに読んでいる(古いものがほとんどですが...)でしょうか?
割合的には国内SF長編の50作品中14作品よりは若干少ないですね。
作家別にみると、3作品以上ランクインしているのが
・5作品 横溝正史
・4作品 泡坂妻夫
・4作品 島田荘司
・4作品 宮部みゆき
・4作品 江戸川乱歩
・4作品 京極夏彦
・4作品 綾辻行人
・4作品 山田風太郎
・3作品 松本清張
・3作品 高木彬光
・3作品 鮎川哲也
の各氏。

横溝正史はリスト5作品全部読んでいる。
この5作品しか読んでいないのでまさにピンポイント。
「獄門島」「本陣殺人事件」以外は角川映画の影響です...。
横溝正史は非常に論理的な謎解きをする作家で、かつストーリーも破綻がない。
日本の作家はどちらかに流れる傾向がある中、稀有な作家だと思います。
(と坂口安吾もいっていた)
ただ、明晰すぎて「感動」とか何度も「読み返す」という気にならないのが難点な気が...。
一読後相当の期間読んでいないので読み返してみようかなぁ。

島田荘司、泡坂妻夫、綾辻行人、鮎川哲也はここに出ている作品以外読んだことがない...。いわゆる「本格」な人達で、「本格推理小説」が苦手な私にはどうも敷居が...まぁそのうち。

宮部みゆきは割と好きで何作か読んでいるのですが、最近のものを読んでいないのでランクインしている作品はすべて読んでいない...残念。
多作家ですしねぇ。

江戸川乱歩は、おどろおどろしい「雰因気を楽しむ」にはいいのですが純粋に推理小説としてみると現代的にはきつい感じがします。

京極夏彦は1作しか読んでいません。
面白かったのですが、それほど何作も読もうという気にならなかった...。
なんだか健康的すぎるような印象があります。
もっと何かこう屈折したものが欲しいような気がします。

山田風太郎の4作品ランクイン、「意外」(ミステリという意味で)ですが、最近再評価されている作家なんでしょうね。
私の世代だと、どうも「お色気忍法帳」の人というイメージが強くて...ミステリー作家のイメージがない。
「警視庁草紙」は実家にあった(未読)ので今度持って帰って来ようかなぁ。

松本清張はどうも受け付けない...。
昔(中学時代だ、30年前)「或る小倉日記伝」を読んでいいなぁと思い「点と線」を読んで???でした。
なんだか厳密すぎる文章にどうも遊びを感じられず、基本「謎解き」であるミステリーだとゴツゴツしたイメージを受けたような気が...。
他の作品を今読めば違うのかもしれません。

高木彬光は一時期かなりはまって読みましたのでランクイン作品は全て読んでいます。(その他も結構)
デビュー作「刺青殺人事件」を坂口安吾が絶賛していて読み始めました。
余談ですが、なお私のミステリ読書体験にはかなり坂口安吾が影響しています...。

安吾氏、前段の松本清張の「或る小倉日記伝」を評して(確か芥川賞選考委員かなにかだったらしい)「探偵小説を書ける文章だ」と評しています。
自身も「不連続殺人事件」(ランク入りしている)「復員殺人事件」「安吾捕物帳」とミステリー書いてますし好きだったんでしょうね。

さて、高木彬光、ちょっと「運命論的」かつ「教訓的」なところが鼻につく所もあるのですが、基本読ませる作家だと思います。
(その辺も坂口安吾はすでに懸念していた)
SFで言えばスコット・カードのような感じでしょうか?

西村京太郎、和久峻三など結構好きで読んでいたのですがまったく名前がありませんね。
あとは赤川次郎も入っていないし...。
高橋克彦氏など乱歩賞作家が少ないような気がします。
マニア受けしないんでしょうかねぇ。

日本SF長編ベストでも書きましたが、この手のベストをやるとスタンダードな作品が上位に来る傾向がありますね。
・1位 獄門島
・2位 虚無への供物
・4位 ドグラマグラ
・6位 点と線
この辺。
ただしSFと違って、3位に「占星術殺人事件」島田庄司、5位「火車」宮部みゆきと新しめなものも上位に入っているのがモダンなところ。
この2作、機会があれば是非読んでみたいところです。
(1985年のランキングでは、1位 獄門島、2位 虚無への供物、3位 点と線、4位 不連続殺人事件、5位 黒死館殺人事件、6位 ドグラマグラとガチガチにスタンダードな作品しか入っていなかった!)

「虚無への供物」も読み返したいなぁと思ってはいるのですがなかなか手がつきません。
(この作品は三島由紀夫が激賞したことで有名ですね)

「私的」に読んだ作品のベストを付けるかというと...「ミステリー」を評価できる自信がありません。
小説としては、先日の「私的日本小説番付」に挙げた「ドグラマグラ」「空飛ぶ馬」が上位に来る気がしますが、ミステリーというか「推理小説」としては「獄門島」の方が上というのもわかる気がします。
本格では有栖川有栖なども「謎解き小説」として結構好きなのですが、何回も読み返したくなる小説としては評価できない...。

なかなか難しい...。

まぁ簡単ですがこんなところ感じました。

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