しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

ゲーム・プレイヤー イアン・M・バンクス著 浅倉久志訳 角川文庫

2018-05-02 | 海外SF
'12年ローカス誌オールタイムベストに戻りで本書を手に取りました。

本書は'12年ローカス誌オールタイムベスト63位、1988年発刊の作品です。
著者のイアン・M・バンクスは英国(スコットランド)出身、ミドルネーム「M」のつかないイアン・バンクス名義で主流文学作家としても作品を発表している作家とのことです。

日本では一般的人気が出なかったのか主流文学(ホラー調?)何作か翻訳がだされていますがいずれも絶版となっております。

「M」名義のSFの方も本作とフィアサム・エンジン(1994年)のみの邦訳(邦訳は著者名の「M」省いている...)でこれまた現在全部絶版となっています。

'12年ローカス誌オールタイムベストでは本作以外にバンクス作品として56位に"Use of Weapons”、84位に"Consider Phlebas”(前記2作本作と同じ<カルチャー>シリーズ)、ベスト100外ですが240位に”Excession”、同240位「フィアサム・エンジン」とランクインしており英米では人気な作家のようです。

そんなこんなもあるのか本書もとうの昔の絶版となっていますがamazonで古本プレミアがついて取引されています。
私は昨年3,000円台でamazonで入手したのですが、今ちらっとみたら10,000円ついていた...
すごい!!売っちゃおうかなぁ。

中身とほとんど関係のない松本零士のハーロックっぽい絵の表紙も一部では有名なようです。
ただこの絵のせいで売れ なかったのかもしれません...。

私もローカス誌オールタイムベストに沿って「読もう」と思わなければまぁほぼ絶対買わなかったし読まなかった作品でしょうねぇ....。

本作は<カルチャー>と呼ばれる、1万数千年先の遠未来に人類の生存圏が銀河系に広まり人類といくつかのエイリアン種族、自律型AIとがお互いの独立性を尊重しながら共存しあう宇宙文明圏を舞台にしている作品の2作目となります。

同シリーズ他作品が翻訳されていないのでわかりませんが...巻末の大森望氏の解説によると、作品それぞれ独立しているので個々で読んでも問題はないようです。

内容紹介(裏表紙記載)
高度な文明を持つ<カルチャー>---人類は病気になることも死ぬこともなく、ただひたすらゲームに興じている。グルゲーは<カルチャー>の軌道ステーションの一つで暮らしている「ゲームの達人」であり、あらゆるゲームに精通していた。ある日彼のものに、究極のゲーム≪アザド≫に挑戦してみないかという誘いが来る。悩んだ末ついに参加する決心をsたグルゲー。しかしこのゲームには一つの宇宙文明圏をも左右する大きな意味があったのだ・・・・・・。
天才的ストーリー・テラーによるスペースオペラの傑作。


読後の感想、全体的な流れはかなり単純かつシンプルなスペースオペラで、「ゲーム」を価値観の主体とする文明を築き、性差別やら階級差別のかなり露骨なアザド帝国と、現代の(一昔前の?)アメリカとも思える「価値観」を押し付ける「カルチャー」もしくはAIの「マインド」との軋轢が新鮮といえば新鮮ではありましたが...。

主人公グルゲーは「ゲームの達人」なわけですが、第一部でドローン(AI)のモフリン=スケルの仕掛けた単純な罠にあっけなくはまります。

なんともなさけなく、この辺読んでいてページがなかなか進みませんでした。
第二部以降アザド帝国へ旅立ち、とまどいながらもゲームに勝ち抜き、ゲームの天才として余裕しゃくしゃくだった皇帝の終盤での壊れ具合、ドローンフレール=イムサホーの狂言回し・道化師としてのタレント性はそれなりに楽しめました。
ただゲームの場面も読者側にはルールのよくわからないゲームでの対戦なので今一つ入り込めませんでした...。

アザド帝国の対戦者のキャラクターがそれなりに立っていたので基本そこ依存でしたね。

物質的に満たされ何の苦労もない中で「ゲーム」を「退屈だー」といいながらやっていたグルゲーと、帝国全体の運命自身のすべてをかけた帝国きっての天才ゲームプレイヤーかつ皇帝・ニコサールの戦いで、結局グルゲーが勝つというのが「社会の進歩」「民主主義」の勝利ということなのかもしれませんが...それもなんだかとても先進国目線で、頭ではわかるのですがなんだか切ないような....。

そのグルゲーもドローンに対すると全く子ども扱い、というのも本作のメッセージではあるのでしょうね。

その辺まで深読みして、対AIでは無力ながら「ゲーム」に熱中できる「人間」を描いていると見れば別の読み方もできるのかもしれませんが...。
その辺私には理解しきれなかったかなぁ。

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