SFが続いたので目先を変えたくミステリーです。
といってもシックな作品ではないですが...。
浮世絵三部作(「写楽殺人事件」「北斎殺人事件」「広重殺人事件」)読んだあたりで気になってブックオフで108円棚で見かけて下巻を買ってからしばらくして上巻を買って揃えました。
現在は他の多くの高橋克彦作品と同様に紙版は絶版となっており、kinndle版だけとなっているようです、2002年刊行。
本来は美術史シリーズ三部作となる予定だったようで、次作となる予定の「ダ・ヴィンチ殺人事件」は2003年3月から講談社の雑誌IN★POCKETで連載されていたようですが…(解説に書いてあった)色々探して見ても現在完成した形で刊行はされていないようです。
高橋克彦、その頃から作品数激減している感じですが???です。
ということで浮世絵三部作の流れを次ぐ「美術史」がテーマの作品。
探偵役は浮世絵三部作でもお馴染みの塔馬双太郎となります。(登場は後半から)
内容紹介(裏表紙記載)
上巻:
貸金庫に母が遺した謎のリストは何を意味するのか。パリ在住の美術品修復家・加納由梨子は「ヴィンセント」の文字を手がかりに調査するうち、存在すら知られていない膨大なゴッホ作品のリストだと知る。さらにゴッホの死因についての衝撃的な新説にも辿り着く。だが同時に、由梨子の身に危険が忍び寄る。
下巻:
盗聴器を自宅に仕掛けられた元恋人・由梨子の身を案じ、塔馬双太郎はパリへ飛んだ。ゴッホ作品リストの周辺で次々と人が死んでいくなか、日本人画商からオルセーにゴッホの真贋鑑定の依頼が入る。塔馬は東京に戻り、数々の謎の真相に迫る。壮大な国際謀略サスペンスかつ、美術史を揺るがす傑作ミステリー。
読後のとりあえずの感想、読んでいてとても面白かったです。
さすがはベテラン作家かつ直木賞受賞作家「高橋克彦」先が気になる展開で読む人を飽きさせません。
が…動機といい人間関係といい全体的に「ベタ」な感じで新味は…ないかなぁ。
犯人や絵に関わるトリックも浮世絵三部作の使い回し感が濃かったです
類型的に登場する「モサド」やらナチスの残党刈りやら007シリーズではあるまいし21世紀の作品として道具立てとしてどうなんでしょう?
ただ信憑性やら裏付けはともかくゴッホの絵に関わる新説、ゴッホの絵が何故生前1枚も売れなかったかの考察、テオとの関係を書簡から推理するあたりは興味深かったです。
絵が売れなかったのは諸説あるようですが、ゴッホの死の直後テオも亡くなりその後まもなくゴッホの絵が評価されているところから見て本作の見解も「なくはないかなぁ」という感じにはなりました。
(結果から見ているので真実かどうかは???)
テオの仕送り額から推察するところなどは浮世絵三部作と同様過ぎて既読の場合引く面はありますが…。(絵の方の仕掛けもですが)
でもまぁ深く考えず時間をつぶすにはいい作品だと思いますし、ゴッホやその時代の美術界の雰囲気など感じるには良い作品かと思います。
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