しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

2001年宇宙の旅 アーサー・C・クラーク著 伊藤典夫訳 ハヤカワ文庫

2014-03-14 | 海外SF
時をかける少女」に引き続き、映画が有名な作品ということで(笑)
昔読んだはずなのですが....実家にも見当たらず、川崎のブックオフで去年105円で購入したものを読みました。

表紙写真は映画のものですね。
昭和52年初版 昭和54年12月14刷のものです。

キューブリックの映画は中学生辺り(1980年代前半)にリバイバルで上映されていて映画館で見た記憶があります。
(当時ETやらがヒットしてアメリカのSF映画の市民権が結構あったんだと思います。)
映画には....圧倒された記憶があります。

セリフがあまりなく、ほぼイメージだけで構築される世界は斬新であまりにも恰好よかった。
いまでも歴史に残る「名作映画」だと思っています。

映画を見た後にクラークの本書も読んだのですが、あまりに映画の印象が強くて物足りなかった記憶があります。
クラークがかんでキューブリックが参加しなかった続編の映画「2010年」の出来がどうにも???だったのもあり、今に至るまで私の中でクラークのイメージはあまり良くないようです...。
(楽しみに見に行った「2010年」の冒頭ロイ・シャイダーのイメージがかみ合わずとてもがっかりした記憶がかなり鮮明に残っています。)

さて本作、クラークがキューブリックの求めに応じて協力しあって書いたものらしいですが、一応映画とは独立した話ということではあるとのこと。
本作はSF小説としても評価は高く’12年ローカス誌オールタイムベスト30位、’06年SFマガジンベストでは47位1968年刊です。

内容(裏表紙記載)
原始的な道具さえ使うすべを知らず、時代遅れになった本能の命ずるままに滅びの道をたどるヒトザルたち。しかし彼らは謎の石板によって進化の階梯へ一歩を踏み出した。そして三百万年の後、人類は月面に同じ石板を発見したのだった。この石板は人類にとって何を意味するのか? また、宇宙船ディスカバリー号のコンピューターハル9000は、なぜ人類に反乱を起こしたのか? ディスカバリー号の唯一の生存者ボーマンはどこに行き、何に出会い、何者に変貌したのか? なぜ・・・・・・? 巨匠クラークが、該博な科学知識を総動員してひとつの思弁世界を構築する現代SFの金字塔

とりあえずの感想「なかなかいい作品だ...」

昔読んで「いまいち」なイメージがあったのですが、今回一応先入観なく読みんだつもりです。
まとまった作品に仕上がっていてSFの良作といえる気がします。
少なくとも「時をかける少女」とは大違いだ。(笑)
クラークらしい細かい科学考証は大したもので、途中登場人物がタブレット端末で新聞を読んでいるところなどさすが正確な科学描写を得意とするクラークの面目躍如というところですね

HAL9000とボーマンの対決シーンなども緊迫感あふれ「小説」ならではの表現も楽しめました。
とけっこう楽しめたのですが….。

映画のイメージがあまりに強すぎて新鮮味は感じられなかった...。
別ものといいながらも基本的には映画と同様のストーリーラインになっているのでどうしても場面が頭に浮かんでしまう...。
小説版の方がいろいろなことがきちんと書かれていてわかりやすいんですけれども…。

例えば映画で最初の方に猿人が骨器を投げた瞬間に人工衛星に場面が切り替わるところなどのあまりに鮮やかな映像イメージがどうしても浮かんでしまって比べてしまう。

「映像」特有の表現をとことんまで追い込んで作った映画と比べると、損な役回りになっている作品といえそうな気がします。

あとラストが映画ではかなり暗示的ラストになっていますが、小説ではちょっと説明的に書き込んでいます。
ただちょっと中途半端かなぁと感じました。

クラークとしては映画と同じくあまりに暗示的に終わるのも面白くなく、といってあまり説明的ラストにしても映画との整合性がつかずで難しいところだったんでしょうね。

Wikipediaでは映画版「日本で公開されたとき筒井康隆、星新一は酷評した」というようなことを書いていました。
映画は活字側の人から見ると許せない部分があったんですかねぇ。
私は映画版名作だと思うのですが....。

映画を見ないで小説の方から読めば「けっこういいじゃん」となる作品だとは思うのですが...ちょっと可哀そうですね。
ただ「幼年期の終わり」の圧倒的名作感はないかなぁ。

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