冬になるとこの句を思い出す。「雪の日やあれも人の子樽拾い。」 若くして老中になるほど恵まれた育ちにある大名(安藤信友)が読んだ句だから、上から目線が気になるが、民をいつくしむ名君の句ということなのだろう。樽拾い、というのを前は文字通りに理解していたから、いくら江戸でもそうそう樽など落ちてはいなかったろうに大変だな、と思っていた。実は「樽拾い」とは酒屋の小僧さんの注文とりのことだそうだ。やっと安心した。
先に書いた「浜までは海女も蓑着る時雨かな」の作者 滝瓢水には、「手にとるなやはり野に置けれんげ草」「さればとて石にふとんは着せられず」などという超有名な句もある。こういう句から、立派な俳人を想像していたが、実は大金持ちのボンボンで破滅型の男だったらしい。大盤振る舞いの大尽遊びをしていて母親の死に目にも会えず、後日作った詫びの句が後者だという。こうしてみると良い句の裏側に様々な人間模様が見えて面白い。
先に書いた「浜までは海女も蓑着る時雨かな」の作者 滝瓢水には、「手にとるなやはり野に置けれんげ草」「さればとて石にふとんは着せられず」などという超有名な句もある。こういう句から、立派な俳人を想像していたが、実は大金持ちのボンボンで破滅型の男だったらしい。大盤振る舞いの大尽遊びをしていて母親の死に目にも会えず、後日作った詫びの句が後者だという。こうしてみると良い句の裏側に様々な人間模様が見えて面白い。