児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

宮本妥子3年目の幸田(中学編)

2007年11月09日 | アウトリーチ
幸田町と宮本妥子+後藤由里子によるアウトリーチの旅路も3年が終わった。3年間で合計39回のアウトリーチを行い、現在幸田町にいる全ての小学校5年生から高校1年生までが宮本さんのアウトリーチ演奏を聴いたことになる。なかなかすごいことだと思う。充実した成果が残せたといえるだろう。10月のときにも書いたが、今回は幸田町のプロデューサーの本間さんに動物の謝肉祭の詩の朗読を依頼するなど(小学校と中学校別ヴァージョン)なかなか良い関係が築けたのではないか。スタッフが参加するアウトリーチは危険も伴うが、アーチストが芸術に関する強い意志を持っていれば手法としては成立する筈だと思う。音楽本体とコラボするそれ以外の要素を同室のプロフェッショナルでやるだけが能ではないかもしれぬ。

公立のホールにとって、演奏家との本当の意味での協力関係を作り出すのはかなりな難題である。その意味では3年連続して密な関係づくりをしてきた幸田町の努力は拍手ものである。まあ、ホールのプロデュースをする人はこのくらいの関係が自然に持てる演奏家を複数もつくらいのバックヤードを持って企画をしてくれると、幅も拡がっていくのだろう。

宮本さんと初めて会ったときには、切れ味の良い刃物のような凄みを感じたのだが、実は宮本妥子さんは一種の情感を映し出すのに長けた演奏家だと思う。打楽器奏者としては珍しいかも知れない。良いなと思うのは、マリンバのトレモロ奏法で木の板に封じ込められている木の響きをたたいて引き出しているような気がするときである。今回で言うと、後藤由里子さん作曲のディアという曲を、やなせたかしの詩を後藤さんが朗読しつつ演奏したときの暖かみのある演奏は秀逸だと思った。そのような方向を伸ばしつつも、懐に凄味も維持して欲しいと思うのは欲張りか。




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