児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

ブロムシュテットさんと洗足学園大学の好意

2011年09月30日 | 徒然
本当は9月25日にN響の定期でいわき公演の予定だったブロムシュテットさんだけれどキャンセルになってしまった。それで洗足学園のオケを振ると言う話しが急に持ち上がった。
マエストロの希望で行けなかったいわきの人を公演に呼びたいと洗足学園から話しがあったのが7月。洗足学園がバスを出してくれて、市民の希望者100名ほどが26日の前田講堂でのチャリティ公演に招かれた。チャリティということで当日の会場では義捐金の呼びかけもあって、それはいわき市に寄付されることになった。ブロムシュテットさんと洗足学園に感謝である。溝の口の駅にはセシル・ウーセを連れて行った時以来だから30数年ぶりくらいになるが、駅前が変わっていてビックリ(当たり前ですね)
開場前にいわき市民を先に会場内に入れてブロムシュテットさんから話しがあった。私は間に合わなかったのだけれど、彼のメッセージを聞くとヨーロッパという文化の中で音楽芸術の社会性というものに対する社会の認識がしっかりしているのを感じて、少しうらやましく感じる。
10年少しくらい前にN響のチェリストとして活動していた三谷さん(ペレーニが大変好きでそれで話しが合ったのだけれど、若くして亡くなってしまった)と話していて指揮者の話になったときに「ブロムシュテットは吸い込まれるような音楽だ」と言っていたけれども、26日夜の公演を聴きながら確かにそうかもしれないと思う瞬間が何度かあった。洗足の学生のオケは決してすばらしいテクニックに支えられているとは言わないけれども、彼の指揮で彫りの深い説得力のある演奏をした。ひたすら上手い演奏とどっちに聞く価値があるかというのは難しい問題だけれども、やはりこっちの方がメリハリがあって後に残るような気がするのも確かである。まあそれがブロムシュテットの力なのだろう。






いわき9/26

2011年09月28日 | いわき
いわきのN響の定期公演は今年は震災の修復のスケジュールのため実現できなかったが、公演は来年3月に出来ることになりそうでありがたいことだと思っている。
本来は定期の翌日のつもりだったN響のアウトリーチも実現できた。9月26日は本来ならば定期の翌日だったわけだけれど、金管五重奏団の演奏が実現できたことは良かったと思う。ただ、来年からおでかけは学校を主力とし、それも音楽室での所謂アウトリーチのスタイルにしたいと言うことがあって、N響にもそのように申し入れをしている。その趣旨が何処まできちんと納得されているかはともかく、その方向であることに違いはない。結局、何のために、誰をどのようにしていきたいかという企画の根底が問われる事だと思う。そのことが本気で共有できればあとはお任せでもいい位なのだけれど。
金管は関山さんを中心とした5人。チューバの代わりに地元出身のバストロンボーン走者黒金君が入ったのも良いことだと思う。内容については学校でのアクティビティとして考えるところもあったけれど、熱意ぞもって演奏してくれたし、丁寧な子どもとの対応は予想以上だった。今後も話し合いながら中味の話し合いが出てくる環境がつくれると良いのだけれど。いずれ、フィールドノートにあげようと思う。

児玉真



同窓会みたいな(オペラキャット)

2011年09月24日 | 徒然
昨日は第一生命ホールで2005年に育児支援コンサートやった絵本と音楽のコラボ「オペラキャット」の再演。とはいえ、完全な再演ではなく、地方の会館向けに出演者を減らし、且つ前半は新たに楽器紹介で音を聴いてもらう時間を作るという新しい演出。絵本に登場する音楽も「音楽監督」的に関わって頂いているピアニストの長町氏が曲をいくつも変更して来ているので、まあ再演というより枠組みを活かして再度作り直した感じでもある。その分制作的には簡単ではなかったと思うけれども、創ることは大事なので帰ってその方が良かったのではないかと思う。参加者がそれなりなストレスを全く感じないで創作作業は出来ないので、それをどうクリアしてみんながハッピーになっていけるか、というのは制作の基本でもあるわけだから。音楽はそういう制作的な作業が必ずしも他のジャンルに比べて多くない(というか少ない)ので、だからこそ自主制作は大事なのである。うまく行けば演奏家やスタッフとの緊密感が一気に強くなり、それが「あの人とは良いことが出来た」という記憶としてお互いに残っていく。それが企画者としての信頼関係というものであろう。今回の公演の趣旨が奈辺にあるかはわからないけれどもバランス感覚は大事である。
第一生命ホールは後ろに映写幕を吊るとしても音楽ホールであり、必然的に音響的には「音楽には良いが言葉には不利」ということは否めない。その事をふまえて言葉と音楽を操らないと難しい(まあ完璧というのはないですけれども)。2階席にいたので比較的そのストレスは感じなかったけれども、まだ言葉が聞き取りにくい,という声はあり、一方で音楽をもっと充実したいという声もある。微妙なところだ。
演出は前の時には猫のアルマ役をやった家田さんが今回は演出にまわり、特に前半の第一部での構成は楽器と音楽に注目しやすそうだったし、後半の設定を知る意味でも子どもたちにとって良かったと思う。
演奏家もヴァイオリンとチェロは初めてだったけれど、長崎や瀬戸田でやったときの人もいて再会というところもあったが、それ以上にサポーターにとっても6年ぶりの再演は嬉しかったようで、ちょっと同窓会的な懐かしさを感じている人が多かったようだ。6年が経過しているので、そのとき幼稚園でももう小学4-6年とかなわけで、さすがにまた見に来たよ,という感じではなかったけれど・・。

宮崎のアウトリーチ3

2011年09月21日 | アウトリーチ
宮崎の今回は諸塚村という山の中で、鶴富姫の伝説のある椎葉村の少し日向市よりのところ。宮崎からは三時間はかかるというような場所。昨日の夜までは県全域に大雨警報が出されていたので心配したのだけれど、今日の宮崎市内は晴れていた。ただ今日の目的地は比較的北の方の山中だったので美智が大丈夫かとかいうこともあったのだけれど、結局無事に第1日目が終了。帰りは台風一過の秋晴れで涼しい風が吹いていた
諸塚村の3つの小学校で,宮崎在住のディー・ショコラーデ(クラとピアノ)と有川清美さん(ピアノ)がアウトリーチをする。一種の合宿みたいな感じ。お互いのアウトリーチを見ることが出来るメリットは大きい。今日は七ッ山小学校(全校18名)でショコラーデの二人。七ッ山は諸塚でも奥の方で、そこへ行く道は途中谷あいの道の拡張工事で昼間は通れる時間が決まっている(一回15分で5回くらいしかない)ので、その時間を狙って通らないとたどり着くことが出来ない。通行量が極めて少ないから出来る芸当だろう。それも学校に登るあたりが昨日の雨で道が通れなくなっていて、山の中腹の道を回って学校に行くという状況だった。こういう状況はなかなかわくわくとするものだ。(写真は通行時間を待つ車)


アウトリーチそのものは、昨日ランスルーをやって、修正したりしたので今日は比較的安心してみることが出来た。本田さんは子どもへのアプローチに長けていて、包み込む感じが多分子どもに安心感を与えるだろうし、日高さんのクラリネットは引きつける力がある。本人はまだふわふわした感じかもしれないけれど、実はその話しぶりにも魅力があるのである。話すのにまだ苦労している感じはあるがそれも一つの味と考えて熟成を待ちながら個性を出して行くのが良いのだと思う(演奏と同じ)。
子どもたちは最初はちょっと様子を見ていたけれども素直で反応のよい子たちだった。運動会の直前で、ついたときも校庭でそのリハーサルのようなことをやっていたのですこし集中できるか心配したが全くの杞憂だった。明日演奏する有川さんも手伝ってくれて楽しそうにしていたのが印象的。まあ良い雰囲気だったと言えると思う。
事業としては、こういう小さな成功を少しづつ拡げていく根気の要る事業なので、ここ何年かで上手く宮崎スタイルを作って行けると良いのだけれど。

いわき9/19

2011年09月20日 | いわき
いわきは9月からリハーサル室も使えるようになり、少しずつだけれどステップを進めている。10月19日にはホール劇場が使えるようになり、11月に小ホールが使えるようになってほぼ復旧になる。今はそれに向けて期待感と緊張感とが高まりつつあるといってもいいかも。9月19日にあべひろしさんほかを呼んで子どものための企画を行った。会場が使えない状況は少し残念だけれど・・・
いわきは数日前から北の方からの風で涼しい。東の海上沖合を通っている台風の影響だろう。昨日の帰りがけなどは北からの風で半袖では寒いくらいだった。

ところで、アリオス内には手作りの節電ポスターが貼られている(写真)。なかなかユニーク、こういうことが出来るようになったのは本当に良いことだと思う。だじゃれの寒さ(サム度)とにやっとする笑顔度で暑さを乗り切るというポスターで、アイデアとそれをやってしまう勇気の両方がないと出来ないことかも。誰かに似てますね(あたりまえか)。

北上市さくらホール dual koto×kotoのコンサート

2011年09月17日 | 各地にて
北上市を中心としたネットワーク型、地域にコーディネーターを育成する意味もある音活連携事業の、第1回目は北上市。箏の2重奏のdual kotokotoの梶ヶ野さんと山野さん。二人のソリストとしてのみちがっているとおもうけれど不思議なコンビネーションで息は合っている。前半の古典、後半の現代的な音楽で魅惑的なコンサートだった。前半にやった五段砧などは古い作品だけれど、とても近代的なソリストのぶつかり合いのような感じもある。そういうおもしろさをきちんと伝えていく努力というのは必要だなと思う。
私にとっては今回の白眉はこの曲。沢井さんの曲二つも面白かったけれど、似たような2台箏の迫力だった。

北九州のアウトリーチ

2011年09月17日 | 各地にて
地元演奏家4名のアウトリーチを2日でやるのは北九州のやり方。まあ長崎も大体おんなじ。一人一人は連続で出来ないので煮詰めていく感じにならないという面もあるけれど、少ない機会に全員の演奏家のアウトリーチを見てコメントできるのが良い。3期目になる昨年と今年は、歌の人が二人いるので、彼らを午後にすると、必然的に器楽の人に午前をお願いすることになる。なんか、毎回のようで申し訳ないが、今回も一日目の15日はクラリネットの吉田さんとソプラノの山科さん、二日目はフルートの西村さんとソプラノの江崎さん。
さて、2年目で現場をみるのは今回で最後。でも過去4回のミーティングの成果はそれなりにある。吉田さんは学校の要望をなかなかうまく料理して見せたし、山科さんも新しいパターンに挑戦した。西村さんはいろいろと考えを巡らせて少しずつ話す自信を持ってきたし、江崎さんは子供との関係作りがうまくなっている。みんなミーティングでお話ししたポイントにそれなりの工夫をしてきている。でも、一回一回の出来不出来よりも、色々と考えたり工夫したりと言う姿勢が一番意味があるのだと思う。強いミッション感覚と常に手段を考える習慣。私にとって今回のうれしさはそのあたりにある。
ただ人間は弱いもので、時々一定の緊張感がないとすぐに惰性に陥ると言うところがある。それをどのように作っていけるかが、継続的に行う事業としての質を担保するポイントであろう。


北九州響ホールの舞台上コンサート2

2011年09月14日 | 各地にて
響ホールは700席ほどのとても良い室内楽ホールで、この存在は北九州が誇って良いと思うが、室内楽専門のホールの宿命として、それなりにクリアしないといけない事が多いかもしれない。
昨年やってみてなかなか好評だったこともあり、今年はいよいよ地元演奏家のミニコンサート約60分。
2回目の今回は、2年前の登録演奏家である早川恵美さん。前回の高橋多佳子さんのステージ上コンサートを聴いていて、舞台からみた客席がとても幻想的だった、という印象をそのまま持ち込んだプログラム。
スタートはバッハのプレリュード、ベートーヴェンからショパン、シューマンというプログラム。彼女は緊張のコントロールが出来るととっても表現力のある良い演奏をする。リハーサルで本当に聞き入ってしまうこともあるのだ。
写真はリハーサル中であるが、やはり慣れているものにとっては非常に変わった写真である。

九州公文協の研修(アウトリーチ)

2011年09月09日 | 各地にて
九州公文協の事業関係者の研修会があって、劇場法に関するあたりを田村孝子さんが話をした。地方公共ホールのあり方も含め3時間も話してくれたみたいである。終わった後の交流会でもずっと熱心に会館の担当者と話しをしていた。翌日は「アウトリーチの現状と未来」というはなしをしてきた。タイトルはともかく、集まった40名弱の会館職員の方たちのなかで、アウトリーチないしはそれに準じたことをやっている会館は?と聞いたらば、ほとんどすべての人たちがアウトリーチを知っていたりやっているとところがほとんどだった。それだけ浸透しているということなのだろう。ただ,これだけ多いと内容的な心配はしないといけないだろう。私に声をかけてくれた熊本のHさんもその事が気になっているといっていた。
話の内容はもうそれほどネタがないので似たようなものだが、いつもとは少し方向を変えて話した。前半は私が話し後半は田村緑さんによる模擬アウトリーチ、という構成。このパターンは何度か経験しているが反応がよいである。
田村緑さんは今回はとても時間のことを気にしつつやってくれて、まあ60分をちょっと超えるくらい.スピード感と納得感というのは両立しにくいけれども、今回はなかなかいい感じである。

いわき9/5

2011年09月06日 | いわき
9月に入ったのだけれどいわきは今日も暑い上に変な天気である。ほんの数十メートルの違いで降ったりやんだりしているように感じられる(ちょっと大げさか?)。昨日、暑い中をアリオスについたらロビーに何となく人が多い。そういえば9月1日から練習室など一部の場所が使えるようになったのだった。そこで合唱の幹事をしてくれていたAさんがいたのだけれど、なんか疲れたおじさんが入ってきた、と思ったみたい。まずい。
今朝もリュックで歩いていたらAさんが車で呼び止めてくれて、アリオスまで乗せてくれた。やはりばてているように見えるのかねえ。
今日はお出かけアリオス研究会のメンバーである常光今日子さんと進行台本の打ち合わせ。10月に市内4つの学校に行くのである。今回は田人の学校に行くのだけれど、震災の影響でかなり生徒が減っている学校があるみたいだ。近所の学校のがあつまる日に当たったみたいで合同ということになったが、生徒数が2名とか5名とかなのでちょっと考え込んでしまう。員数的にはもう限界以下なのだろうけれども、距離も遠くて合併も難しいのだという。しかし…

今回はそういう全校で数十人という小さな学校が多く理解力の差が大きいので苦労する可能性もあるのだけれど、常光さんはとてもよく考えてきていて、楽器のこと、自分のこと、ベートーヴェンのこととバランスよく配置している。いろいろと話しながら微修正をする。こういう話をするのは楽しい。演奏家のアイデアが豊かだとこちらも刺激されていろいろな発想が出てくるのである。