児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

秋-②

2013年10月23日 | 徒然
10月から12月まで移動ばかりが多い時期。
10月8,9日は広島県の財団の事業の二つ目は呉市。ここは地元の演奏家を組織化してアウトリーチ的な事業をはじっメタばかり。最初は学校とかではなくコミュニティに出かけていくミニコンサートだったので演奏家の皆さんがアウトリーチでも演奏を聴いてもらえば良い(逆に言えば演奏をする機会を財団が作ってくれる)という認識だったような気がする。学校で始めるとなかなかそういうわけにはいかない。違ったミッション性を引き受けることになる。7月の研修の時はきっと混乱したのではないかと思うけれども、しかし演奏家は目標がわかると力を出す。今回の二組も途中からアーチスト魂のようなものに火をつけてこどもと対峙してくれたのでまあ方向性は見えたかな。前日のランスルーの時にたまたま学校の音楽の先生が会館に打合せに来ていて、モニターで見るランスルーの模様を見ながら「あ、これは普通に演奏を聴くのではないですね・・」と言って帰って行ったという話を聞き、実際に訪問した学校でも「これは少し違うようだ」と思ってもらえたかなと思う。良かった。
10日から北海道の増毛での道の財団の派遣事業。これはアウトリーチではないけれども、北海道はまだ会館もきちんと整備できていない自治体も多いし、演奏家が行く機会もそれほど多くないことを考えると、北海道がこういうコンサート派遣をするのはある意味理にかなっているかもしれない。とはいえ、演奏を聴いてなにかを心の中に生み出すのはそれなりの経験値が必要で、その点に関してはこどもも大人も一緒と言うことも出来る。アウトリーチの手法を磨くことはこういうケースでも大きく役に立つことはおんかつのアーチストを見ていてもよくわかる。ジャズとかポピュラーの演奏家は話しをしながらコンサートを進めるのが常識だけれど、それが上手であるということとイコールではない(後述)。3年目になる演奏家はずいぶん慣れたなという感じではあるが、話しに関してはやや物足りないのは、もっと出来るはずという気持ちがあるから。
富山の室内楽フェスティヴァルは直接的には仕事ではないが、11月に奈良で行うアウトリーチ事業の演奏家の様子を見ておくためにはこの機会は大事であろう、ということで短い日程だったけれど出かけた。奈良でやるグループが経験をしてきていることが不用意に多いのではないか・・と言う危惧があるからでもある。まあ美味しい酒が理由でもあるけれど・・・
そのあとの長崎(16,17日)は今月一番心配だったスケジュール。加藤直明、中川賢一、東海千浪さんというトリオは、大学の先生の希望で組んだ「オリジナルがない編成」であるが予想外にうまく行った。まあ手練れであるから・・・。長崎大学と活水女子大の学生も12月にアウトリーチを実践するに当たってずいぶん参考になったと思うし、昨年よりも反応が良く、やはりやってみるものだなあという感想。
そのあと小松島にいって、邦楽の事業。これは別に書くつもり。
帰りに神戸の灘区民ホールによって衣川さんと会って帰京。ここの館長さんは元神戸大学の教授でなかなか強い意志を持っているように思えた。
今日はいわき。
写真は長崎





秋・・・①

2013年10月05日 | 徒然
気がついたら、一ヶ月ほども更新をしていなかった。
この一ヶ月に何をしたかというと・・・
札幌で道が登録応援する演奏家(HAFアーチスト)のオーディションがあり、指揮者の円光寺さんと審査。木管5重奏のボロゴは慣れたプレゼンテーションをして立派。しかし、すでにずいぶん道の文化財団の仕事を引き受けて普及などの活動をしている。他の二つのグループはある意味これから、ということで、そこからは財団の判断にゆだねることにした。彼らには来年4月に2日ほどコミュニティ事業の手法などの研修会を開き、そのあと道内に派遣することになる(そうだ)。
いわきではピアノの木田さんのアウトリーチのためのランスルーを18日にして、実際に学校に行っていただいたのは10月1日、2日。1日の2校の中学校を見せてもらったけれど、彼女の語り口は音楽と同様に自分自身と向き合い確認をしていくような感じがする。そのことは昨年のオーディションから明確で、東京のようにスピード感がある場所よりもいわきの方が特徴が活きるかもしれない。いわきではもう一つ、ピアノマラソン。幼稚園くらいのこどもから音大を卒業して帰ってきている人、グループで楽しんでいる女性の集まりなど、様々な30名ほどの出演者が集まり、ピアノと自分との関係が見えるような演奏を約4時間ほど、そのあとゲストの小川典子さんの演奏。小川さんとはもう30年近くになるが、国際的なピアニストとしての「格」を感じる演奏で、それでも仕事をするたびにまだ底が見えないな、と思わせてくれるピアニストだ。そして庶民的(と言って良いかどうか)なキャラクター。
いわきから東京で3時間ほど寝てすぐに徳島へ。徳島では邦楽の活性化事業。合宿のように4日間アウトリーチプログラムを作り実際に学校に行く。この局面は毎回どきどきする。しかし、演奏家は明確な目標が見えたときの瞬発力はすごい。いつも感心する。学校ではそれぞれの個性がちゃんと出ていた。伝えるということは難しそうだけれど、本当に色々な方法があって、伝えようと懸命であることが案じられれば、それを理解する力がこどもでもちゃんとあるということを確認できる貴重な機会。
そのあと北九州から長崎に行って、打合せと長崎のアウトリーチ事業。これも地元の演奏家によるアウトリーチ。ここは、研修で一気に成果を出すというよりも、2年間ゆっくりと見ていけるのでその良さもある。
そしていったんいわきに戻り,すぐ広島県の廿日市。ここでも二人のアーチストのアウトリーチのランスルーから実施までを見る。
演奏家は本当に個性的で、一人として同じアプローチは出来ない。だからAさんに話すこととBさんに話すことは両方聞いたら矛盾しているように見えてスタッフとしては混乱することが絶対にあるはずだ。それでも私としては、「あ、このタイプね」とある程度はパターンというのがあるから短時間でなんとか出来るのだけれど、でも山の3合目くらいまでしか同行できない気がする。でも3合目まで登れば,そのあと他の山に登ってしまうことは無いだろう・・・、と信じる。
昨日は久しぶりに東京で半日近く時間が出来、新しくした車(中古だけど)の試運転。そのあとNHK交響楽団に行って有馬賞の式典に参加。
秋はまだまだ続きそう。10月は北海道に2回、九州に1回、中・四国に4回、北陸に1回、いわきに3回。
写真は、長崎永野さん、廿日市前田くん、工谷さん。