児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

長崎市、長崎大学教育学部生とのアウトリーチ論議

2012年10月31日 | 各地にて
長崎市では今年度、文化振興課担当者が試みとして、教授の賛同を得て、長崎大学の音楽科の学生の活動の一環として、アウトリーチを取り上げ、招聘している音楽家との交流を行うことにした。
5月の末に一度訪問して、学生のアウトリーチ(附属小学校)を見学させていただきそのあと少しミーティングをした。第2回目の今日は古部賢一、瀧村依里、小澤佳永のトリオが午前中にランスルーの形でアウトリーチを見学し、午後は逆にトリオの小学校へのアクティビティを見学してもらい、夕方1時間半ほどのミーティングを試みた。
アウトリーチとは何だろうか、教育なのかそうでないのか,というような意見も出たし、その場合は何の教育なのかなど、本質的な語論もしつつ、アウトリーチを実践する(子どもの前に立つという意味)演奏者としての具体的な姿勢とかプログラムづくりの技術的な基本的部分についての話もした。
基本的にはみんな真摯にこの事に取り組んでくれているのは嬉しいし、その議論の場に活水女子大でアートメネジメントを学んでいる学生達(ブリックのサポーターでもある)も参加して話をできたことは長崎にとって意味があることに間違いない。何人かは夜の会食にも参加していろいろと話したけれど、こういう空気があること自体に10年アウトリーチをやってきてたどり着いた地点を見るような気がした(もちろん、まだまだゴールにはなっていないのだけれど)
とはいえ、教育学部という場所での音楽活動というのは編成にしてもなかなか当たり前には行かないので大変そうだな、というのが印象。みんなに熱意のあるのが大きな救いである。トリオのメンバーにしても、私としても若い人達とつきあえた充実した一日であることは間違いない。
しかし、音楽だけを見てもアウトリーチという一つの言葉の中に含まれる多彩な概念や解釈、目的や手法など本当に整理は難しい。東京芸大の授業でもいま、アウトリーチに関する質問を軒並みカードに書いてもらって整理をして議論、講義をしていこうと試みているが、そのメモを見ても、KJ法が使えるのか自信がなくなるくらいに似ていても微妙に違う問題提起が出てきている。どうやって整理しようか・・・という感じでもある。

写真は本日の、古部賢一(Ob)瀧村依里(Vn)小澤佳永(Pf)の上長崎小学校でのアウトリーチの様子。

いわき市の街なかコンサートでのOVO NOVO

2012年10月21日 | いわき
昨日今日といわき市平地区いわき駅周辺からアリオスにかけて街中コンサートが各所で開かれている。市民やプロも交えてのコンサートは、ライブハウスやアリオスの中劇場も使って街中で行われる。ここ5年で随分定着してきたように思う。今日は快晴で暑いくらい、湿度も高くないのでこういうイベントには一番の日和である。
アリオスでパーカッショニストの渡辺亮さんは、最初からいずれサンバのグループを作って活動をしていきたいという想いがあって、最初お願いしたコミュニティ活性化プログラムとは必ずしも指向が一致していたわけでは無いのだけれど、彼の明るさと熱意で市内で OVO NOVOというグループが出来、独自に活動を始めている。明確なイメージがアーチストにあると言うことは気持ちがよく私とは何となく馬が合う。
今日は街中コンサートに参加して尼子タクシーの駐車場で10時半から約25分間のイベントに出演。子どもから60才を超える方までが参加し、25分の演奏を休み無しで披露した。活動の初めの頃のことを考えると25分集中していくというのはなかなか大変。演奏する側もそれなりの覚悟がいると思うのだけれど、集中力が切れなかったのはなかなかのものである。まだ人前で演奏することでの工夫はいろいろ出来そうだけれど、まずは充実を喜びたい。

ニーノ・ロータのコンサート(三浦一馬)

2012年10月13日 | 徒然
市川市の行徳という駅には初めて降りたけれども、ずいぶん都会でびっくり、まあこっちが世の中を知らないだけなのだけれども・・・。行徳文化センターはそれほど古くない新しい会館だと思うけれど、ちょっと不思議なやや横長の印象のホールであるが、音は悪くない。ただ東西線の行徳駅から5分とはいえ住宅街の中にある感じなので一瞬迷う人もいるだろう。
中川賢一さんからの誘いで聞きに行ったニーノ・ロータの映画音楽のコンサート。とはいえニーノ・ロータは映画ばっかりの人ではなくクラシックの音楽もいくつも書いている。今回もバンドネオンの三浦一馬君をメインのコンサートではあるけれど、ヴァイオリンとピアノ、コントラバスとピアノの曲も演奏された。共演者は達者な人たちばかり。ヴァイオリンは荒井英治、依田真宣、ヴィオラが須田祥子、チェロが植木昭雄、コントラバスが黒木岩寿、ピアノが中川賢一だから、面白いコンサートにいかにもなりそうな面々。
黒木さんは湯布院の常連でもあったので、その頃からのつきあい。この人のピチカートは好き。今回の企画はほとんど黒木さんのアイデアだそうで、去年生誕100年を記念してのツアーをやったとのこと。
実際楽しいコンサートだったと思う。

熊本のアーチスト達

2012年10月09日 | 徒然
昨秋にオーディションをした熊本のアーチスト達のアウトリーチ本番が益城町で始まった。益城は毎年全部の4年生に音楽を届けているので合計11回のアウトリーチがある。
忘れていそうでもあるので昨日ランスルーをやって修正をして今日からの本番に臨むことになった。ランするー後、見学に来ていた宮崎県立劇場の桐原先生も交え、田村さん本田さん、熊劇の担当なども含めてわいわいとミーティング。みんな良いことを言うので感心する。必ずしも一致した意見でもないので演奏家を混乱させる怖れもあるかな,とも心配したのだけれど、全然そんなことはなく、前向きに話は進んだ。演奏家のタフさは東京も地方も変わらないか・・・

ソプラノの辻由美子さん、コントラバスの亀子政孝さんのを今日見せてもらったけれども、半日で見事に対応して修正してくるのは見事である。この二人とクラリネットの徳田さんの今回の3名の演奏家は比較的馬が合うのか、一緒に話をし来年に行うガラコンサートのプログラムを集まって考えてくれていたり、良い感じのグループが出来ているように感じる。こう言うのってやる側からするととても嬉しいことで、熊劇の本田さんも嬉しそうだった。16日まであるのだけれど,今回は一日しか本番につきあえなかったのがちょっと残念である。

NHK交響楽団メンバーのアウトリーチについて

2012年10月08日 | アウトリーチ
ここのところ忙しいのと、ちょっと気持ちに引っかかっていることがあってブログを書くのが滞っている。そのことはまだ続きそうだけれども、NHK交響楽団メンバーによるアウトリーチはいわきにとって比較的重要なことなので書く。

池田さん、菅原さん、松本さんの木管アンサンブルのアウトリーチを先週に終えたところである。楽しめた2日間だった。
いわきはNHK交響楽団の定期をやっている関係で、昨年までもNHK交響楽団のアウトリーチは行っていたのだが、オケの通常な形式なのだろう、学校の講堂で全校生徒向けのものをやっていた。とはいえいわきは基本的に3つの小(広くない空間、少人数、長くない時間)というのを標榜していて(これは地域創造の考え方と共有)、その意味である意味喜ばれている部分もあるが、どうも統一できていない感じがあった。
昨年の夏に一念発起し、NHK交響楽団に話をしに行ったときに、来年からアウトリーチは音楽室で大人数でない形でやりたい旨申し入れをした。だからと行ってコストが下がるわけではないが、それをオケの事務局の人も一応は認めてくれて、今年から下見もして、打合せもきちんと入れて、という方式をやってみる事にした。メンバー個人個人の協力がどの程度得られるかという心配もあったのだけれど、何しろ、その良さは、先生以上に演奏家には理解されるはずだとおもっているので,まずは実践。
とりあえず今回だけで言えば、担当した館岡君の熱心さとオケメンバーとの人脈もあって今回来た3人には分かっていただけたのではないかと思う(Good Job!)。その意味でいわきのおで研で演奏家と色々と内容についてのアイデアトークをしてきたことも役に立っているとも言えるだろう。学校の下見も何でそんなことが必要なのか、とはじめは思ったそうだが、来て先生と演奏家が直接話せたことも大きく、終わってみればなるほどと思うことも多かったようで、演奏家と子どもたちのコミュニケーションもとれ、来てからも次々とアイデアが出てくるのは関係性の面白さを感じてくれたからではないか,と思う。終わったあとにやはり少人数の良さはある、と3人が口をそろえていってくれたのでじつは本当に嬉しかったのだ。
これを何年か続けると何かが変わっていくかもしれないという期待が出来るアウトリーチだった。
 ※写真は田人第1小学校で貝泊の中学生4人も入れてのアウトリーチの模様。
  ピアノでD♭を弾いてもらっての共演。