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いわきの音活支援の公演は、田村さんのリサイタル。1705席の大ホールでのコンサートになった。といっても大ホールでやりたい、というのは田村さんのアイデアで、そこで一番好きな席を探してもらい、後半はそこでゆっくりと聴く。約120名ほどのお客さんなのできわめて贅沢(というかふつうはあんまり考えない数字だが)な遣い方である。このアイデアで田村さんは研修会のワークショップとかでは何回かやって居るけれども、それを下敷きにしてリサイタルの中で本格的にやるのははじめてかもしれない。体力的に(身体も精神も)かなりピアニストにとって過酷な企画だと思うけれど、田村さんは(身体はともかく)心から楽しんでこういうことをやれる人。
ホールの中の席の位置によって、音響が変わるというのは経験的にはみんな知っているが、スタッフでもなかなか経験して確かめることは出来ないし、設計の人とかホールの人は(名誉にかけて)あんまりそのようなことはいわない事が多いので、結局、何となくあの辺が良いらしい、という口コミに頼ることになる。その意味で一般の方向けに「席によって音が違いますよ、自分にとって良い席を探してください」というのは貴重出し勇気の要る企画だとも言えると思う。まあ、あんまりそのような事は気にしないのだけれど。
帰りがけに、自分の一番良いと思う席に印を付けて頂いたのだけれど、1階の前方から4階までかなり票が割れた。あと、ピアノでは常識の下手側が売れる、ということもなく、上下ほとんど同数。面白い結果である。
前半は舞台上にあがってもらって、説明を聞いたり寝転んで聴いてみたりしたあと、席探し。後半は所謂通常に近い形での演奏会、と言う構成。広い会場の中を歩き回ったので草臥れた方も居たみたいだけれど、怪訝な顔をして入場していった人が、途中では楽しそうに階の移動をしたりしていて(特に男性)、こういう機会きをおもしろがってくれているのがわかったので、まあ成功と言えるだろう。段取りにまだまだ改善の余地はあるもののスタッフも充実した一日でした(珍しく20名ほどのグループの先導役をやることになり、こちらも楽しかったけれど)。
アリオスの舞台や照明のスタッフの能力の高さ(これは単純な意味での能力というのでなく人間力というようなもの)を音楽の企画では珍しく活かせたのもなかなか有意義だったと思う。
写真は終了後、席の移動の案内等に協力してくれたスタッフたちとの記念写真