児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

んまつーポス、いわき小白井小中学校でのワークショップ

2013年08月27日 | いわき
宮崎の大学で教育を専攻している男性3人組の、んまつーポスというグループ。今年いわきで試験的にプログラムをしてもらっている。体育をより芸術化したようなワークショップの方法論は、ダンスの中でも比較的珍しいのではないか(まあそんなに知っていないので独善的な判断だけど)。
今日はその3回目、今年行ってもらっているのはいわき市の北のはずれにちかい小白井小中学校で、全校7名(小学5名、中学2名)で山の中であるせいか本当に素直でよい子たちばかり、高校に行ってからが心配になってしまうくらい純粋なので、この字牛としてはある意味では理想的な場所でもある。校長先生もワークショップにも着替えて参加してくれたし、率先して身体を動かす。廊下で全速力で走るのも自分でも参加してしまって「廊下は走らないんだよなあ」と思いながら見ていた。その意気がすばらしいので、子供にも人気があるのだろう。
震災と原発の事故いらい、子供の体力の心配はこの地域では常に心に引っかかる分野である。その意味でダンスのアウトリーチは意味のあることだと思う。すこし続けて行ければと思う。プログラムもかなり綿密に目標設定されているように感じた。学校には良いグループだろう。ただ、ダンスの場合一回行けば良いというものでもない(今回は6回)そんなに数が出来るわけでもない。だから、その目標を考えると、一種の手法として学校の先生が実践できるようなことも考えないといけないであろうと思う。そのあたりは音楽分野と若干違うニュアンスがある。
まあ、個人的には身体を動かすのは純粋に楽しいことなので、子供も先生もみんなニコニコ、自分も久しぶりにラジオ体操などをやってしまい満足ではあったのだが。

7月26日いわきでの浜さんのアクティビティ(学校の先生のための)

2013年08月07日 | いわき
 何度も言うけれど、いわきアリオスでは、震災のあといろいろな課題がある中で、こどもに対するアプローチを明確にしていこうという合意のもとに事業を進めている。もちろん今の社会にはいろいろな問題が存在する。それを無視していいと思っているわけではないけれども、文化芸術の分野では、普段からは必ずしも顕在化していないかもしれない子供の精神的な環境をきちんとフォローする施策に力を入れる、ということにしたのだ。そのためにいくつか事業を組み替えることも行ってきた。実際、いわき市に住むと言うことは、選挙直後の水漏れの問題に代表される「小出しにすれば目立たないであろう」とでも言うような様々な電気関係の情報が日常的に人間の精神を苛むのは事実である。これはきわめて精神衛生上良くない。特に子供の生育環境はきわめて良くないと考える方が自然。もちろん子供はそれを日常的に表に出すことはないだろうけれども、アリオスが日常的に子供に目を向けること、そのメッセージを発していくことが数少ない出来ることだ、と言うのが考えていることだ。
 学校へのアウトリーチは、震災前から特に方針を変えてやっているわけではないが、中でも市や市民から一番支持されている事業だろうと考えている。欲を言えば色々あるけれど、これは他のものに代えがたいものだと思っている。別に震災があったからだけではない。
 そんなこともあって、震災前から学校の先生にアウトリーチの手法を見てもらうことは意識して音楽部会とかにアプローチをしてきた。先生の研修会でこのような少人数のアウトリーチ手法を浸透させないと長く続けるには困難があるとおっ持っていた。ありがたいことに、いわき教育委員会では、毎年夏に音楽にかぎらず教員の研修会をすることになっていて、4年前に音楽部会長からその研修会にアリオスからモデルになるようなアウトリーチを見せてくれる演奏家を派遣できないか、と言う話があって渡りに水とお願いをすることになった(不足の謝礼はアリオスで負担をしている)。震災の年はさすがに出来なかったが今年は4回目で、「今年は打楽器」という希望があって浜まゆみさんが同じマリンバの金丸寛君と一緒に来てくれた(研修会場にピアノがないという問題があったので)。

 プログラムは以下
・剣の舞  A. ハチャトリアン
・熊蜂の飛行  リムスキー=コルサコフ  arr. M.レス
・アンダーソンメドレー   L. アンダーソン
・カスケイディーズ   S. ジョプリン  arr. P. サルチック (+ Body percussion)
・ボレロ   M. ラヴェル
基本は変わらないけれど、会話力が強化されているのと、新しいアイデアが入ってきていて、その辺は偉いなと思う。

私のいわきアリオスもあと数年になってきたので(多分)、今のうちに、子供への愛情にあふれた、心のあるアーチストをなるべく紹介しておきたいと思うのと、いわき由来や地元の演奏家を育ててアリオスとアウトリーチをやりつつ他の活動もするようになって欲しいというのは、とりあえず大事な二つである。他のことは、スタッフが力をつけてきているので(多分)そのまますすめていけるだろう。

いわき6/1 長瀬賢弘(ピアニスト)のランスルー

2013年06月02日 | いわき
いわきの演奏家第2期の3人のうちの一人、長瀬さんは来週市内4カ所の小中学校にアウトリーチに出かける。第2期本格的にスタート。2月以来の今日のランスルー、思い出しながら、という感じではあったが、その後スタッフ4人とともに意見を言いながら改善をして行けたので、今回の4回でもっとよくなるだろうと推測できる。
今回私は本番につきあえないのだけれど、ランスルーを見て安心したとともにいくつかの課題もよくわかった。今日はそれをいくつかは話し、いくつかは来年への課題とする、という感じ。
だいたいの構想は
月光第1楽章
子犬のワルツ
ピアノコーナー
シンデレラから3曲
基本のテーマは想像力である。でも、この3曲はイメージがだんだん具体的になっていく音楽の時代的流れとともにある。それを子供にいっても解らないこともあるだろうけれども、やり方によってはそのことまで感じ取ってもらえる可能性もある。そんなことを思いながら聞いていたのだけれど。
その辺の整理がつくと、元々力のあるピアニストなので演奏にも好影響があるはずだ。
期待。

いわき5/25 第2回いわき文化復興祭

2013年05月25日 | いわき

 今日明日といわきアリオスでは市の文化協会と共催で「いわき文化復興祭」を実施している。元々秋に文化祭を各地区でやっているのだけれど、設備のしっかりしたアリオスでもやりたいという市民団体の声があって考えていたところに震災があって、復興祭ということで各エリアの代表がアリオスに集まっての二日間と言うことになる。こちらのスタッフもほぼ総出で手伝う。
今年は一階のキッズルームでの企画があり、それぞれ劇団が子ども向けの劇や読み聞かせなどを行う。最初の公演は満杯。5月にしてはやや涼しいけれど天気が良くて良かった。

いわき2/2おでかけアリオスガラコンサートVol2 

2013年02月03日 | いわき
地元の演奏家によるアウトリーチを行う「おでかけアリオス研究会」、一緒に良いアウトリーチのあり方を考えていこうという意味でこういう名前になったのだろうとおもうけれど、悪くないネーミングである。アリオスは大ホールと小ホールしかないので、こういうガラコンサートをを大ホールでやるのは難しいし・・・ということえ小ホールで2回に分けて行うことにした。そもそもは前年度に行うはずだったのだけれど、震災で有料公演を手控えていて昨年は実施せず今年が初めて。9月にやってそのときに2組、今回2組に出演してもらった。もちろん東京から呼んでいる人たちにも出演してもらっているので今回は4組の演奏家、クァルテットスピリタス(sax)、田村緑(piano)といわき組の木田奈保子(sop)、常光今日子(Vn)にそれぞれ20-25分の演奏をしていただいたあと、合同で長尾淳に編曲を頼んだガーシュインメドレー。

今回の研究会の4人のメンバーはこの2年間で時々一緒に演奏するようになった仲間意識の強いメンバーが揃ったので、うまくいったと思える。それぞれがこの2年間で何かをつかんで歩き始めた気がするのでその意味でも第一期としてはすこぶる成功だったといえるだろう。
各地で似たようなことをしているけれども、やはり私としても一応活動の本拠になっているいわきで良い結果を出さないと格好がつかないし、一生懸命になる理由はある。また、オープンからアウトリーチの活動に力を入れてきたので、この事業をすることでスタッフにも考えたり工夫する機会が作れていることが、他のアウトリーチ活動などにも良い影響賀あるのではないかと期待する。

写真は終了後の記念撮影。

ただ憧れを・・・

2013年01月30日 | いわき
先週の土日にいわきで行ったバレエの公演。下村由利恵さんにお願いしたいわきアリオスのダンスリレー事業1年目。地元の方達を公募し彼らと数ヶ月にわたって練習をしてきたくるみ割り人形(クララの夢)の公演は1時間40分くらいに縮めて、下村さんが踊りも随分アレンジして、様々なレベルの人が一緒に舞台に上がれるように工夫してもらったようで、楽しめる公演になった。子ども達が最後に本当に頑張って、それをお母さん達が応援して・・・ということで、2回で600名を超える入場者でまあ客席もほぼ一杯に見える満足な状況になった。
今回は、ロビーに集う人や客席内の雰囲気を意識しつつ公演を見せてもらった。歴史を持つ芸術ジャンルがもつ旧来の名作の威力を感じると共に、充分に楽しめる内容になっていたのにある満足を感じつつ、「ただ憧れを知るものだけが・・・」という言葉が浮かんできて仕方がなかった。ただ憧れを知るものだけが、私の心を分かってくれる・・・という小説の登場人物ミニヨンに仮託したゲーテの詩で、シューベルトやシューマン,チャイコフスキーなども歌曲として作曲した有名な作品。
特にそのことを意識して実現した公演というわけではなかったが、ここ2年アリオスがずっと気にしてきたいわきの子ども達の心の問題に対して一つの(あくまでも一つのではあるが)答えを見つけたような気分。
震災後に文化による心の復興が随分言われてきているけれど、この公演では、バレエという確固たる芸術の歴史と質感(これがとても重要)、それに向かう親や子ども達の気持ちが憧れという言葉で集約できるように感じられた会場の雰囲気。
社会学者の井上俊が1989年に発表した論文に、文化(多分芸術も))の社会的な役割として、適応、超越、自省をあげているけれども、今回はその超越の力を見せつけられた感覚。社会の大きな変化に適応する道具としての文化の機能も大切だけれど、自分を大きく超える存在を意識することによる、敬愛や憧れなどの意味もこういうときだからこそ大きかったようにも思える。この憧れというドイツ語はドイツ人がとても好きな言葉だというが、そこにはいわゆる憧れて到達するエネルギーをもらうと言うだけでなく、若干の諦めに近い感情も含まれているという(日本人の私にはちょっと分かったような分からないような感じだけれども・・・)。

いわき11/16アリオスキッズルームコンサート 田村緑

2012年11月16日 | いわき
いわきアリオスのキッズルームで演奏できるアップライトピアノが何年か前から欲しい と思っていた。今回、仙台のピアノをとどける会からの申し出で戴けることになり、今回田村緑さんに一回目のコンサートをお願いした。田村さんは2年前にもお願いしたのだけれどアリオスにあるグランドピアノはドアが狭くて入らないため、やむを得ず電子ピアノでお願いしたのだが、もうしわけなかったので、リベンジでもある。
40分ほどのプログラム。スタッフとボランティアで8名がハンドベルで共演。
1,ハンドベルできらきら星~きらきら星(木下牧子)
2,パネルの絵を使った動物の謝肉祭、曲当てクイズ
3,ピアノ解体~くるみ割り人形の行進曲
4,音楽絵本 「スイミー」とドビュッシー前奏曲
5,トルコ行進曲
6,ハンドベルつき「カノン」で見送り
あいかわらず見事なものだ。
でもキッズルームのこういうイベントでの使い方はまだまだ工夫が可能だと思う。時間をかけてじっくり良くしていく方向にしたいと思う。

いわき市の街なかコンサートでのOVO NOVO

2012年10月21日 | いわき
昨日今日といわき市平地区いわき駅周辺からアリオスにかけて街中コンサートが各所で開かれている。市民やプロも交えてのコンサートは、ライブハウスやアリオスの中劇場も使って街中で行われる。ここ5年で随分定着してきたように思う。今日は快晴で暑いくらい、湿度も高くないのでこういうイベントには一番の日和である。
アリオスでパーカッショニストの渡辺亮さんは、最初からいずれサンバのグループを作って活動をしていきたいという想いがあって、最初お願いしたコミュニティ活性化プログラムとは必ずしも指向が一致していたわけでは無いのだけれど、彼の明るさと熱意で市内で OVO NOVOというグループが出来、独自に活動を始めている。明確なイメージがアーチストにあると言うことは気持ちがよく私とは何となく馬が合う。
今日は街中コンサートに参加して尼子タクシーの駐車場で10時半から約25分間のイベントに出演。子どもから60才を超える方までが参加し、25分の演奏を休み無しで披露した。活動の初めの頃のことを考えると25分集中していくというのはなかなか大変。演奏する側もそれなりの覚悟がいると思うのだけれど、集中力が切れなかったのはなかなかのものである。まだ人前で演奏することでの工夫はいろいろ出来そうだけれど、まずは充実を喜びたい。

栃木ステージラボの同窓会とたんけんアリオス

2012年07月29日 | いわき
2月に行った地域創造のステージラボの音楽コースの受講生と講師の皆さんの同窓会をいわきのたんけんアリオスにあわせて行った。たんけんアリオスのような事業は各会館で工夫をして行っている例も多く、また予想外にやっていないところもある。事業の出来がどうのこうのではなく,ホールの姿勢というか方向性を表す企画だと思う。
見に来てくれたのは受講生7名、講師2名、講座の担当1名それと長野君と私。
昨日到着後、北部の四倉で昼食、その後海岸線の比較的被害の大きかった場所を回って小名浜のアクアマリンふくしまとラ・ラ・ミュウを見て、夜は懇親会。今日は午前中のたんけんアリオスを見て、そのあと食事をしながらミーティング。阿南さんが,メールニュース研究会なるレジュメをつくってきてくれてその話をしたり、いろいろと話をしてそれぞれに解散。セッティングなどコーディネートは長野君でほぼ完璧に近かったので、まあみんな楽しんで頂けたかな。
写真はいわき東部の薄礒の中学校(海岸沿い、まだがれきを校庭に積み上げたまま)、と今日のたんけんアリオスの様子。



いわき7/27 音楽部会のための模擬アウトリーチ

2012年07月28日 | いわき
小学校の音楽部会は毎年夏に研修会を開いている。集まりも良い研修会で今年は80人弱の先生が集まった。ここでアリオスのアウトリーチの紹介をさせて頂くとともに、学校の意見や状況などを教えて頂くという目的もあって、今年は邦楽を是非、ということで米澤浩さんと熊澤栄利子さん(尺八と箏)に来て頂いた。相手が先生なのでそれなりに内容には気を遣う。授業の一環としてどんなことができるのかをイメージして頂かないといけないし、でもプロの演奏家がそこに行って本当によい演奏を聴けることも必要である。先生というのは音楽を聴いてもらうときに実に良い聴き手だと思う(音楽が好きかどうかではなく・・)けれども、その分欲張りで厳しいところもあるのである。

米澤さんのやった内容はもう一つのブログに載せているのでそちらを参照。
終了後に、先生から幾つか質問もあり、また意見も出た。米澤さんは昨日横浜に帰ってすぐに「あの部分は先生の意見がもっともなので早速修正しました。フリップも作り直しました」というメールをくれた。こういうところの探求心というかはすごいとおもう。