児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

京都府綾部のアウトリーチフォーラム

2010年05月29日 | 徒然
本年のアウトリーチフォーラムが始まっている。主催は京都府で、府は綾部という中丹地域の府が建設した会館をベースキャンプに選んだ。
綾部市は福知山の少し手前、立地的には中丹の中心にある。天橋立など丹後方面にも行きやすく、京都からも1時間強という立地は便利ではあるが、町としては決して大きな町ではない。
そのせいかどうか、この町は好きな町である。まず中心を流れる由良川が美しい。町はグンゼで栄えた時代の風情を残していて自然も色濃く残っている。こういうこじんまりとしたところは良い。
中丹文化会館の事務局長の加柴さんは公文協のセミナーなどでも講師の常連とも言える人。ホールの世界では有名人あろう。山の上にある中丹文化会館に周辺地域からも多くの人が鑑賞に来ているのは彼の手法が有効に働いている証だと思う。
比較的興業をきちんとやる人、という印象の彼なのだけれど、一昨日の交流会で「はじめは地域交流型、というのがよくわからなかったけれど、実際に演奏家の顔を見てだんだん理解してきた」と挨拶してくれたのはとてもうれしかった。
加柴さんの芸術に対する思いはきわめて正統的だ。彼と話しをしていると自分が取り組んでいるアウトリーチとかコミュニティとかはなんか、ひねった方から持って行っているような思いに駆られるときもある。

さて、此処のフォーラムは昨日で2日目が終わったところである。夕方くらいになって構成のことに本気で取り組み始めてきた感じがする。
そうすると話すこととか話し方が意識されてくるのだと思うけれども、それを明後日までかけてシェイプアップするという感じかな。
写真は初日の交流会の模様(壇上はSQ)

尾道の中川賢一

2010年05月28日 | 各地にて
尾道の中川賢一
今年度の尾道の企画のスタートは中川賢一さん。最初のつもりとは様々な事情から少し変更を余儀なくされたのだけれど、
今回の中川さんは、瀬戸田の子供向けのコンサート(小中学生をベルカントホールに集めて)、あとはショパンのアナリーゼ的な「音楽探偵中川賢一、ショパンの謎を探る」と「ピアノと絵本で遊ぼ!」と題するミニコンサート。
両方とも中川さんは聴き手に対するきちんとしたメッセージを持ち、そのために様々な工夫を準備してくる、という構成。
アナリーゼは一般向きの企画、絵本は親子がメインの対象。
しかし、現場で創る作業が一定以上ある企画は現場は案外大変である。申し訳ないと思うのだけれど、現場力をつけるには結局その判断力や、想像力などが必須に必要なのである。
その意味では今回は、中川さんのマネージャー北山さんの大きな協力や担当の新苗さんの力(制作力、絵本に関わる想像力など)で良い形で出来た。
写真は絵本(絵本は大型絵本を2冊使用)。
読み手はお寺の住職の別府さん(また味のある人を見つけた)。大型絵本も5-60人ならばそれなりのインパクトを持てるかなと思う。とべバッタは短いけれど秀逸だったので、来年2月にも出来ないかなと思っている。

一応、絵本の回の進行を
1,ジュトゥヴ
   曲について。月が池の中に写っていてそれが風でゆらゆら・・・
2,月の光
   ポロネーズのリズムをたたいてみる。
3,軍隊ポロネーズ
   楽譜を掲示して、それを追いながら
4,バーリントンエンドレを思って(クルターク)
   絵本2つ
5、すてきな3人組(グリークの小品集を利用)
6,とべバッタ(プーランクのノベレッテのメロディを使用するがアドリブ)
   楽器や手をたたきながら
7,プリンク・プレンク・プランク
   ボディパーカッションで
8,トルコ行進曲
以上



直方のワークショップ

2010年05月18日 | 各地にて
直方は「のうがた」と皆さんおっしゃるのであるが、パソコンでのうがたと打っても能型からとらか出てこない。一応古くからある市なのだけれど・・・。直方は北九州からそれほど遠くないし、すぐ手前の長崎街道の宿場町木屋瀬(こやのせ)は北九州のアウトリーチで過去2回来ていて、その先がもう直方市なのでなんか馴染みがあるような気分
閑話休題(最近閑話が多いな)。地域創造の音活支援の助成のその先のプログラムとして考えられた事業は今年はワークショップを通したプログラム。。
アーチストは田村さんである。アウトリーチとワークショップとコンサートという3題話し風なテーマはなかなか大変そうだ。学校をワークショップと連動して複数回行くようにしたら、と言ったのが良かったのか悪かったのか、演奏家にはやや過重なプログラムになっているかもしれぬ。出来合いのプログラムが多くない音楽を聴くためのワークショップ(いわゆる楽器のワークショップのように練習していくと言うものではないので)はなかなか体力が必要だし構成上の難すかしさもあるように見受けられた。
とはいえ、これはアイデアと引き出しを持っている田村さんの他に出来そうな実演家は居ないかもしれないし、すごく頑張っていると思う。どんなことが怒るか興味深いし、またこういうのがまた財産になっていくと良いのだけれど・・・
会館のユメニティ直方で行われている小学生対象のワークショップの参加者は8名、すごくピアノを習っていて・・という感じには見えない。それ故か純粋にピアノの面白さを感じてくれているかのようだった。次回は曲についての話だそうで、田村さんがどう料理するか楽しみなのだけれど、結局私が顔をだせるのはワークショップでは1回しか無理みたい。
写真はワークショップの様子。アップライトピアノは、この講座のために寄付をして頂いたアップライトで、壊しても良い自由に使ってくださいというもの(もちろん子供のために使うのですけれど)。しかし解体したピアノがこれだけ響く(倍音が鳴り放題)と言うことをはじめて経験した。おもしろい。


北九州、新しい登録演奏家のアウトリーチ

2010年05月17日 | アウトリーチ
北九州は昨年の秋に演奏家を選んで今年の3月に研修会をやった。比較的反応が良かったのは、最近使っているシートのおかげかどうか判らないけれども、研修そのものはやや効率的になっているかもしれない。しかし、その分、個々人への愛着のようなものは4年前の最初の回より薄くなっているかもしれない。この辺が難しいところである。何しろ、「感動はそのためにかけた時間に比例する」のと同じように、心の問題であるつきあいが深いように感じる、というのも手間がいくらかかったかと言うことに案外密接な関係があるであろうから。
まあ、一目惚れ・・みたいなのもあるし、不思議と第一印象でその後ずっとが決まってしまうようなところもあるから、その辺は公式と考えるのは難しいだろうけれど。
閑話休題。
北九州の今年の演奏家はみんなそれぞれ戦略を考え、工夫をしてやってきた。だから、比較的充実感があるプログラムになっていた。それをどのように定着させ充実させるかは今後の問題だけれども、第一歩としては案外よかったのではないかと思う。本来、私のここでの仕事は、演奏家やスタッフの頭や心の回路を作って、そのあとは自分でどんどん工夫ができるようにすること。回路ができれば、あと恐れるのはマンネリだけであって、それについても、それを回避する回路ができれば大丈夫なわけである。
まあ、そこまで行くのはなかなか全員と言うわけにはいかないけれど、それなりの効果はあるように思う。今回のはじめの一歩のような経験で、アウトリーチがつまらないと思わなければ大丈夫だろう。
写真は今年度第一回目の西村さん(フルート)
この学校では先生が非常に熱心に準備をしようとしてくださった。「響ホールからこんにちは」のタイトル通りに、子供にコンサート体験をさせたいとして、チケットを作り当日教室の入口でもぎったり、フルートの音をみんなに聞かせたいと、自分の楽器を持ってこようとしたり、いろいろと子供の好奇心を高めるような事をしてくださった。そのおかげか非常に反応も良い子たちで、一回目としては上手くいきすぎかもしれない位。2年かけていろいろなノウハウを経験していってほしいと思っているので、あんまり良すぎても却って私としては戸惑ったりもするのであるが、先生の熱意には脱帽である。

いわき市文化センターの改修工事

2010年05月05日 | いわき
いわきの文化施設の工事は3年にわたってアリオス大ホールの新築と音楽館の改修(小ホール)、中劇場の新築、2ブロック手前の文化センターの中ホールへの改修という3段階のプロジェクトだったのだけれどアリオスオープン2周年の今年は文化センターの改修再オープンということになっている。正式オープンの前に市民の文化団体に使ってもらう「お試しデー」が4月29日にあった。
小山さんのゲネプロの合間にちょっと覗きに行ったのだけれど、なかなかきれいに出来上がっていて、予想通りなかなか良いホールに仕上がったようである。
まだ少し音が生っぽい感じはあるけれど、椅子もすばらしく座りやすくなったし、音響的にもバランスがとれた会場になったように思う。今までより音楽専用に近くなっている(というか音楽専用だな)ので、聴き手にもシビアに聴かれるかもしれないけれど、500席弱の中ホールは一部の人には待望のホールだろう(アリオスには1700と200しかないので)。
今日は時間がなかったので女声合唱の一曲を聴いただけだけ。でも響きの個性(方向性)は大体つかめたかな。

ペレーニのチェロ

2010年05月04日 | 徒然
4月30日に本当に久しぶりに青葉台のフィリアホールに行ってきた。駅を降りて、ああそうだった、と思う出すくらい長く降り立っていないことになる。
ペレーニも久しぶり。彼は前回の時はトッパンでやったのだがそのときはいけなかった。今回はたまたま30日の夜に東京で時間があったので、多分4-5年ぶりだと思う。
自分で招聘していたのは1995年くらいから2002年までの3,4回だったから、彼の40代後半から50代というチェリストにとって一番良い時期につきあってきたのだな、と思っていたのだけれど
演奏を聴いてちょっと認識を改めた。彼は1948年生まれだからまだ62歳。と言うことはまだまだ20年とかは演奏していくのだろう。実際、菜食中心で「アルコールを飲むと脳の細胞が何千も死ぬ」といって節制をしているわけだから、まだまだ衰えることはないだろう。
実際に今回の演奏は非常にすばらしかった、としか言いようがない。弾いたのはバッハの組曲6番、ブリテンの舞伴奏のソナタ、コダーイの舞伴奏のソナタの3曲。どれも長く充実した曲である。
無伴奏だから特に集中力は双方に要求されるのだけれど、無伴奏にしては長い2時間を超えるようなプログラムを客席がまんじりともせずに聞くというのはなかなか無い光景である。
バッハでは村人たちの踊りが一瞬見えたような気がした。ブリテンはあんまりおもしろいと思ったことがないのだけれど今回はわかりやすく興味を持たせてもらった。コダーイは彼の十八番でいつ聴いても引き込まれてしまうのだけれど、今回も同様。しかし、本当に隙がないので聴く方もそれなりのエネルギーと集中力が必要なのだけれど、そこで貰えるものもすごく多いと言うのがこういう演奏家の価値だと思う。
ふだん、芸術を社会に活かす、というはなしばかりしているとこういうことに疎くなると言うリスクがあるので、ときにこのタイプの演奏家も聴かないと・・・

アリオスGWフェスティヴァル2

2010年05月03日 | いわき
 GWフェスティヴァルの2日目は、アリオス前の公園での演奏を含めオープンスペースの演奏があり、最後にアンサンブルでのカジュアルな曲目を小ホールでやって終了した。
当日券の売れ行きもよく、目標とした人数を超える人たちが集まって自然体で楽しんでくれたので、アリオスとしては市民のライフスタイル提案型の良い企画になったと思う。
演奏家にとっては2日間に4回の演奏というのはアウトリーチなどではよくあるパターンであるけれど、じつはなかなかハードなスケジュールで、気持ちよくやってくれたスペランツァに感謝である。演奏家のフレンドリーな雰囲気が全体に伝わってきて良かったと思う。まあ、進行とか話とかはもっと考えられていても良いかな・・・という部分もあって、せっかく好いディレクターのバックアップもあるので、そこのシェープアップを考えるともっと良くなると思う。
 公園での演奏(写真)ではPAの作りが絶妙。アリオスは岡田さんという全国区の音響が居て、その専門的なノウハウでクラシカルな音楽にもきちんと対応してくださるので安心。クラシックのPAはなかなか満足できることがないのだけれど、響きが前に出てこない屋外のPAを厚くも薄くもなく、ちょっと音量が小さいかなと一瞬思うのだけれど、音作りが暴力的でなく、聴き手の意識がさりげなくそちらの方へ向かうようにうまくコントロールされていてうれしい。少ない機材をうまく使うがゆえの自然さなのだと思うけれど、なかなかこういうPAには出会わないので・・・。

いわきアリオスGWフェスティヴァル

2010年05月01日 | いわき
今日と明日。アリオスではN響メンバーの室内楽(スペランツァ)の演奏とかえっこバザールなどいくつかのイベントを組み合わせて、小さなフェスティヴァルをやっている。
さっき0歳からのコンサートが大ホールで終わったばかり。700人を超す親子が集まったた。会場内はさながらピクニック状態ではあったけれど(もちろん飲食はなし)、聞くぞ!という感じではなくもっとおもいおもいな楽しみ方をしていたのかもしれない。緩やかなゴールデンウィークの過ごし方としての時間があったように思う。
今日の夕方は、ショパンとシューマンの、明日の午後はカジュアルクラシックコンサートと続く。カスケードでは打楽器、弦楽器などの体験コーナーが市民の人たちの手で開かれていて、そこにN響のメンバーが来て子供に教えたりしている絵はなかなか良いものである。かえっこなどで作った人との関係がいろいろと生きている感じがする。
写真は山内さんが子供に体験をさせているところ(この楽器は山内さんが車に積んで持ってきてくれたもの)