児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

茂木大輔とシーサー

2013年11月24日 | 徒然

いわきはちょうど紅葉がどんどん落ち始めて、晩秋の雰囲気が漂っています。アリオスの前の公園の雰囲気も良い。こういう時期は好きです。
昨日は茂木大輔さんの「オーケストラ面白名曲ガイド」2回目。山響とも2回目。「絶世の美女クララに捧げる二人からのラブレター」ということで、シューマンのピアノ協奏曲とブラームスの交響曲第1番を取り上げました。クララの名前をこの曲のそこここに隠し、場所によってはクララと連呼するような二人の作品をその解説をしながら聴いてもらうと言う趣向。
茂木さんは、視覚的に提示出来るプロジェクターを使うことによって、不要なしゃべりを少なくするとともに、音楽の時間の流れに寄り添うように情報を提示出来るやり方としてうまく活用して聴き手を音楽の世界に誘導する方法がかなり磨かれてきたように思います。音楽は時間芸術ですから、先に全部話してしまっても意外と思えきれなかったりするのです。それをうまく回避している。
それだけでなく、茂木さんが大学にまで入って指揮を本気で勉強してきた成果はオーケストラのドライブに間違いなく現れていて、昔よりもオケの音が澄んで綺麗になったような気がします。山形交響楽団もドイツの小さな都市のオーケストラの良さを置き換えたような雰囲気のある演奏でした。
終了後の家路につくお客様の顔を見ているとその日の演奏の充実度がわかるのですが、今日は出色のコンサートの一つだったと思えます。シューマン、ブラームスとクララの愛情の話はロマン派の時代を代表する特別なテーマで、人の感情を刺激する効果はとても大きいとはいえ、帰るお客様は興奮するでもなくニコニコするでもない、穏やかな充実感が見えました。あるお客様に、しばらく東京にいて色々なオケを聴いたけれど、山響はもっと呼んで欲しい・・・と熱く言われましたが、まあそういう発言は嬉しいことです。

これとあい前後して、那覇市の協働によるまちづくり推進協議会がいわき市に震災の支援の一環として贈られたティーダシーサーがアリオスに設置されました。大事なものだからちゃんと管理出来るところに起きたいといういわき市の意向で、アリオス内の2階カスケードの一角に配置することになったものですす。写真を見ての通り大きなものです(実はもっと巨大だと思っていてびびっていたのですが)。モダンなロビーとの不思議な調和を感じていただければ・・・です。
茂木大輔とシーサーは全く関係ないのですが・・・。

秋-③

2013年11月16日 | 徒然
11月は26日27日と足立区のわたなべ音楽堂でアウトリーチスキルアップ講座。
個人の建てた小さなホールで70人も入れば一杯な場所だけれど、10数人での講座にはちょうど良い。この二日間は、アウトリーチの概論、演奏家のキャリアマネジメントからみたアウトリーチ。アウトリーチの作り方Seeds編。そのあとグループで話し合い。翌日は加藤直明と白石光隆の模擬アウトリーチを見て、児玉、箕口、白石、加藤で座談。思ったより面白い話しができた。そしてグループで話し合いの後、アウトリーチプログラムの発表、検討と続く。できあがったプランは毎回色々と違った問題があり、問題点が見えやすいものと見えにくいものがある。それをどう整理するかがなかなか大変なのである。
29,30日は北海道の上ノ国。江差追分で有名な江差の一駅手前である。帰ってきて30日は平塚での勉強会第1回。終了後電車に飛び乗り羽田に。途中電車が遅れ冷や汗をかくが何とか徳島行きの最終の飛行機に間に合う。徳島まで行ってそこからローカル線で鴨島という駅まで行く。鴨島のホテルは予想以上にしっかりとシティホテルのようだった。ここは邦楽の事業だが、直前まで土曜日に行うワークショップの尺八への申し込みが無くて一瞬まずいぞ、と対策を考える。でも終わってみれば尺八も6人、箏も20人ほどで思いの外うまく行った。金曜日に行った小学校の先生やこどもがずいぶんきてくれた。この小学校の教頭先生は良く出来る先生で、いつもこどものことが頭から離れない典型的な先生。色々と工夫をしておられるように思う。終わってからすぐに熊本に移動。熊本では翌日の夕方からオーディションで昼間は時間が合ったので、水前寺公園と熊本城に行く。ほとんど初めての観光かもしれぬ。オーディションは最初ははらはらしたけれど終わってみればきちんと3人が選ばれた。彼らの研修は来年3月だが楽しみである。
熊本のあとは島根に移動おんかつフォーラムのシンポジウム。今回はチーフコーディネーターに津村さんになっていただいたので気楽といえば気楽。今までと少し違うシンポジウムになった。こう言うように違ったジャンルの感覚による組み立ては新しさがあって良い。音楽の守備範囲や許容範囲の広さがこういうときに活きるのだとか思う。とはいえ、ワークショップとアウトリーチとが両方とも新しい概念を付加し、少し前の感覚ではついて行けないくらい変わってきていることは間違いない。より効果を重視する姿勢になっていることに改めて気づく。
翌日6日は北九州でステージラボの打合せをOさんと。そのあと、北九州の人、活水の卒業生たちと会って呑む。7日は広島で今年やった研修事業の仕上げとなる会に参加。廿日市と呉の担当者の事例発表がとてもきちんとしていて驚く。ランスルーで話したことやそれによって翌日の本番で演奏家のすることがどう変わり、それがこどもの反応をどう引き出したか、ということを細かく発表してくれて、若い人たちの見ての理解力や情報収集の能力を思い知る。その場で適切なことを言って演奏家の信頼を得ることは今の私の仕事では非常に重要で、かなり集中力と人間力のようなものが試されるし、そこの対応にはそれなりに自信があるが、比較的瞬間芸的になってしまう傾向があるって、それを整理して伝えることに関しては若い人とはほとんど戦えない。ちょっと考えてしまった。終了後すぐに岡山経由で児島まで。おんかつの倉敷市児島の事業で翌日に琴浦西小と東小に松本蘭と新居由佳梨と一緒に行く。心配していたよりもスムースに事が運んでいるようで安心した。お互いに良い刺激になっただろうか。
写真は児島の松本蘭と新居由佳梨。