児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

長崎のガラコン

2008年02月17日 | 各地にて
長崎は年間20数回のアウトリーチ活動を行っている。1人1人の数があんまり多いのは負担でもあるし、緊張感が薄れる(アウトリーチといえども=というかだから、と言うか=演奏側の意欲と緊張感は必須である)事の怖さもある。ということで、今年は6組の演奏家がアウトリーチを行った。東京組半分、地元組半分。昨日はその演奏家にホールできちんと演奏してもらう意図で行っているガラコンサートだった。今年は諸事情から長崎の中央であるブリックホールを離れ、旧三和町の公民館で行った。公民館と言っても600席のそれなりの会館である。
南部地域の、滅多に来ないであろう人たちに聴いてもらったのは良かったと思うのだけれど、やはりこういうガラは中央の方が相応しいかも知れない。あと、演奏家の本拠でやるのはそこに備わっている機能やスケジュールなどからもきちんと出来る。やはり、芸術がそれを行うのに適した(最上とまでは行かなくても)空間とスタッフワークによって支えられて公演できる意味は大きい。そうでないとホールを作る意味が無くなってしまうしね。
とはいえ、なかなか楽しいコンサートになり、演奏家も終演後の打ち上げではずいぶん盛り上がっていました。
ちょうど、長崎はランタンフェスティヴァル(長崎燈会)の真っ最中。写真は眼鏡橋から。

幸田のアウトリーチ

2008年02月14日 | 徒然
中京圏で活動する演奏家による幸田町のアウトリーチ環境整備事業。オーディションで選抜した3組の演奏家によるアウトリーチが今年も小学2年生をターゲットに行われた。昨日今日で3回、再来週3回である。幸田町の小学校は6校なので全部に行くことになる。2年目なので、それほど心配もなく、でも久しぶりだと勘が戻っていないと言うこともある。
今回は学校の音楽室が何処も寒かったのが少し演奏家に辛かったかも知れないが、全体としては考えられたプログラムだった。いろいろと考えさせられる部分もあって興味深い2日間。

アンサンブルシェリー(写真)は木管5重奏と歌とピアノという編成。どちらかというと木管も歌も単独で出来る力は充分にあると思うのだけれど、この編成。焦点は絞りにくい。昨日は特にこれといってまずいところがあるわけではないのだが、何となくまとまりきらない感じがした。こう言うのは案外難しく、何をアドヴァイスするかちょっと迷ってしまうパターンである。今日はメモを取るのをやめて、じっくりと観察したが、今日の子どもの反応は良かった。初めに出ていくときにすでにくすくすと笑いがでた。これは、昔ボロメーSQが保育園でやったときと同じで、子どもの反応がきちんと音楽に反応しての笑いなのでそのあとだらけることがない。
入場の仕方も工夫し、話しかけ方も昨日よりよくなっていて、そのせいで反応が良いのか、反応がいいからそうなったのかはわからないけれど、全体の進行きれいにまとまっていたように思う。まあ、低学年の場合、はじめに「こんにちは」と言うところからかなり勝負が決まってしまう感じもある。
ところで、シェリーにもらった5月のコンサート(名古屋市の財団との共催)で行うチラシに略歴に、「幸田町のアウトリーチ環境整備事業で児玉真氏の研修を受け・・・」と書いてあって吃驚。全く考えもしなかったのだけれど、うーん、そういう事もあるのか・・・。

もう一組、花音は歌とヴァイオリンとピアノ5人組。ヴァイオリンは特にそうしようとしているようには見えないのだが、子どもを惹きつける力がある。今回のメインテーマはヘングレをやることだった。これは編曲もしてもらって、花音版のものを作ったようだ。オペラの一部(ダイジェスト)をアウトリーチという聴き手と一緒の空間でやるのは難しく、どうしても聞く側がやや引き気味になってしまう筈なのだが、花音は思いのほかうまくやったと思う。絵本の置き方、小道具、その他、かなりいろいろと考えたようだ。それでもオペラを見せようとするときに、舞台と子どもの距離が近すぎるというのは、作り込む演出でやるのは僕にはやや自信がない。論理的には可能だと思うのだけれど・・・
最後に子どもと一緒に演奏をしたが、学校の希望だったとはいえ、プログラム的にはすこーし筋が通りきらなかった感じがした。この辺の判断は難しい。
でも2日間いろいろと意見を言いながら(一応指導と言うことになっているらしいが)楽しませてもらった。これからも頑張ってくださいね。



いわきにおります

2008年02月11日 | 徒然
いわきアリオスはまだオープンしていないのに(4月オープン)この3連休も毎日事業があります。
土曜日は内覧会と小山実稚恵さんのピアノ試奏会でしたが、日曜は小山さんの取材とシェイクスピア・プロジェクトのワークショップ(と言うか練習というのか)、今日もそれがあって、あとリハーサル室では3月2日に行うオーケストラの演奏会ランスルーのためのいわき交響楽団の練習。
他の準備の仕事も大変そうだし、毎日誰かが来ているのはまあ当たり前か・・・
こっちは、昨日からすこし気が抜けていますが、前回はステージラボだけで2日間ほど廃人だったことを考えるとよく持っている方だとおもいますね。
原稿は一本あげたけれど、まだまだあるぞ・・と思いながらぐだぐだしているのでありました。
ラボのメンバーからのメールはさっきまでで8件ほどあり、比較的反応が良くて良かったと思います。そういえば、たしか、ラボのあとには受講生のアンケートというのがあったような。それには、コーディネーターの選定は良かったか?とか講師の人選は良かったか?、講義内容はためになったか・・などなど、コーディネーターに厳しい現実を教えてくれるという地域創造のとても親切な報告が来るのでありますよ。
まあ、評価の時代ですから仕方がないのですけれど、「終わったーっ!!あとは知らんぞー!!」と言う感じの時にもらってもねえ。いやなことを思いだしてしまったかな?。


ステージラボといわきのピアノ内覧会

2008年02月10日 | 徒然
1月24日からの怒濤のスケジュールを取りあえず乗り切りました。その間ブログを書く精神的余裕がなかった。
1/24-2/3までは富山県でのアウトリーチフォーラム。これは前便のように終わったけれど、そのあと、黒部に寄り道をしてヴァイオリンの大森潤子さんとピアニスト田村緑さんの小学校でのアウトリーチを見学させてもらい(富山に行って黒部や入善に顔を出さないことがあまり続くと皮肉とか言われるので・・・)黒部のコラーレで入善のSさんとお昼を食べ、コラーレのYさんやSさんとも少し話しをして帰京した。黒部の小学校では、音楽室の棚をあさってステージラボでみんなで歌う曲を発見(翼をください)。田村さんの、あの世代の人たちならば必ず歌えるはず・・・という言葉を信じて、「すみませーん。コピーをお願いできますか?」などと図々しく先生用の伴奏譜をコピーさせて頂き、その場でこれをお願いしますね・・と田村さんに渡す、などという一夜づけ丸出しの準備をして、翌日からステージラボ。
今回のステージラボ音楽コースでは、いつものこととはいえ別のコンセプトでカリキュラムをつくったので、案外緊張した。
田村緑さんには4日間のラボを通しで参加し皆に溶け込んでもらいつつ、最後には彼女のためにみんながアウトリーチプログラムを考えて組み立てるということを行った。プログラミングの内容はほぼ演奏とお話しの組み合わせであるが、それが聴き手に一つの感情的な流れを呼び起こすのだということをみんなに意識してもらいたかった。ここでは元電通におつとめだった新澤氏が非常に良いアドヴァイスをくれて、マーケティング手法を使ってのグループ討論と企画提案という流れが極めてスムースかつ能率的にできた。いつも短時間ではごちゃごちゃしたものしかできないのに、今回はそのまま使えそうな企画案ばかりがあっさり時間内に出来上がってしまい、本当にびっくりした。魔法のよう。
田村さんには「翼をください」だけではなく、ラボの修了証(こんなのは昔はなかったよなあ)を配るときのバックグラウンドまで付けて頂いた(当然威風堂々)。
ラボが終わったら熊本の本田さんが待っていて、一緒にいわきに・・。そのまま自身が選んだスタインウェイピアノの試演会のために練習中の小山実稚恵さんに合流。いわきの大ホールの音響は予想以上によく、クリアで響きがあるので1700席の巨大空間とは思えない音圧感が感じられて、気をよくする。
翌日の昨日はピアノの試演会(内覧会)と音響学会のシンポジウム。平行して小山さんのインタビュー。広報が頑張って昨日の夕方から今朝まで8本のインタビューをつくってしまったのだが、都合5時間半ほど。小山さんはにこやかに一泊延泊して対応してくださった。感謝。
さっき送り出したところ。
なんかみんなや他のスタッフに迷惑をかけつつの様な気がするけれど、息の抜けない2週間強が終了。今日明日はすこしゆっくり出来るので、レジュメとか原稿とかシラバスとか書かなくては。







射水市中太閤山小学校

2008年02月02日 | アウトリーチ
 射水市の最後の訪問校は中太閤山小学校という新しい学校(校舎が新しい)。オープンスクール形式を採用して広く開放的である。
 大体において北方や雪国の学校は内向的で大人しいというのが定説ではあるのだが、フォーラムで行った宮城も、富山も比較的子どもの反応が良く、定説がガセなのか、たまたまラッキーなのか、選んでくれているのか・・・。または、このように手間ひまかけてつくられたプログラムが子どもに良い影響を与えるのか。どれだと思います?
 今回も子どもの反応の良さに助けられたところはあるが、トリオエトワールの3人も長足の進歩である。そろそろ自分たちで反省会をし修正を出来るところまで来ていると思う。
 中太閤山小学校では、2組が終了したあと、先生が「子ども達が握手すれば良かった・・」といっていると言うので、のこのことクラスに行って握手でもしてこようと言うことになった。オープンスクール形式の良いところで、遠くから見つけた子ども達が飛んできた。と言うわけでこの記念写真。まあ、全員というわけではないけれど・・・。良い形でアウトリーチを終わらせてもらって良かった。あとは明日のコンサート。

 しかし、これが終わると来週はステージラボ。何処までこっちの気力体力が持つか、準備が間に合うか・・。フォーラムって予想以上に気を消耗するけれど、こんなだったっけ。