児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

栃木ステージラボの同窓会とたんけんアリオス

2012年07月29日 | いわき
2月に行った地域創造のステージラボの音楽コースの受講生と講師の皆さんの同窓会をいわきのたんけんアリオスにあわせて行った。たんけんアリオスのような事業は各会館で工夫をして行っている例も多く、また予想外にやっていないところもある。事業の出来がどうのこうのではなく,ホールの姿勢というか方向性を表す企画だと思う。
見に来てくれたのは受講生7名、講師2名、講座の担当1名それと長野君と私。
昨日到着後、北部の四倉で昼食、その後海岸線の比較的被害の大きかった場所を回って小名浜のアクアマリンふくしまとラ・ラ・ミュウを見て、夜は懇親会。今日は午前中のたんけんアリオスを見て、そのあと食事をしながらミーティング。阿南さんが,メールニュース研究会なるレジュメをつくってきてくれてその話をしたり、いろいろと話をしてそれぞれに解散。セッティングなどコーディネートは長野君でほぼ完璧に近かったので、まあみんな楽しんで頂けたかな。
写真はいわき東部の薄礒の中学校(海岸沿い、まだがれきを校庭に積み上げたまま)、と今日のたんけんアリオスの様子。



いわき7/27 音楽部会のための模擬アウトリーチ

2012年07月28日 | いわき
小学校の音楽部会は毎年夏に研修会を開いている。集まりも良い研修会で今年は80人弱の先生が集まった。ここでアリオスのアウトリーチの紹介をさせて頂くとともに、学校の意見や状況などを教えて頂くという目的もあって、今年は邦楽を是非、ということで米澤浩さんと熊澤栄利子さん(尺八と箏)に来て頂いた。相手が先生なのでそれなりに内容には気を遣う。授業の一環としてどんなことができるのかをイメージして頂かないといけないし、でもプロの演奏家がそこに行って本当によい演奏を聴けることも必要である。先生というのは音楽を聴いてもらうときに実に良い聴き手だと思う(音楽が好きかどうかではなく・・)けれども、その分欲張りで厳しいところもあるのである。

米澤さんのやった内容はもう一つのブログに載せているのでそちらを参照。
終了後に、先生から幾つか質問もあり、また意見も出た。米澤さんは昨日横浜に帰ってすぐに「あの部分は先生の意見がもっともなので早速修正しました。フリップも作り直しました」というメールをくれた。こういうところの探求心というかはすごいとおもう。

アウトリーチの話

2012年07月25日 | 徒然
一昨日22日は愛知県幸田まで行ってきまして、地元演奏家のための講座、90分。今日(24日)は朝、今年の邦楽活性化事業の演奏家とのMGで40分ほど話をしました。最近の定番は、音楽家がアウトリーチの内容を考えるときに必要なのは3つのみ,と言う話。
ひとつめは、何故やるのかということ。これは関係者によってその趣旨は違う可能性もある。先生は先生で考え方もある。でも声を荒げる必要はないが、自分でも理由がある方が良い。それは個人的な理由でも、邦楽界のためと言う目的でも、日本の文化のためでも良いけれども、個人的なことを少し一般化するのがよいように思われる。
ふたつめは、何をやるかと言うこと。これが一番アーチストの本体であって、それは本人が決めるしかないことであり、私がとやかく言うものではないと思う。ただ、そのためにアーチスト本人がいかに自分や音楽や楽器について深く考え、伝えるべき事を持てているかと言うことが問われるところでもある。
みっつめは、どうやるかであって、そのやり方は学ぶことも、話し合うことも、練習して上達することもできる技術の問題である。だから、ここでは友人とか先生とか、スタッフとかと話し合う理由があるし、コーディネーターの出番でもある。
以上3つ。まあ3つといっても中はかなりハードだけれどね。
この間あるところで、何をするかを教えてはもらえないのか、と言われたが、それはアーチストとしてはどうなんだろうか。結局アウトリーチだって本番であって「楽に出来る方法」は無いし、もしあってもそれに頼るのはまずいだろう。そのくらい他の人が一緒に考えたくなるようなオーラを期待したいのだけれど・・・
写真は邦楽演奏家とコーディネーターの下打ち合わせ。山崎コーディネータ、中香里さんほか。

宮崎県立劇場のアウトリーチ

2012年07月25日 | 各地にて
宮崎県のアウトリーチも2年目になる。今年はあんまり行けないのだけれど。今回7月18-20日は中学校、障害者施設、老人ホームなど、昨年と違ったパターンのところを3組それぞれ2回づつ見て、反省会もやって、という3日間。
3組とも工夫をして新しいことにも挑戦し,良い感じになってきている。ここは桐原先生というこの事業をやろうと言い出した人が面倒を見てくれている。桐原さんは湯布院音楽祭からのおつきあいのフルーティストでもあるが、この事業ではコーディネート役に徹して、会館の方と一緒に学校に下見に行き、演奏家のランスルーを見てあげて、と本当にきちんとやっているので、あまり口を出すべき事がないくらいである。こういう人が地域にいるてしばらく続いていけば僕の出番はなくなるかもしれない(ちょっと寂しいけれど良いことである。元々そういう状態を目指しているのだから)
サックスの小川和紘さんはこの一年で考え方の質が変わった。おもしろいのだろう。この間リサイタルをしたそうだけれど、そのときにアウトリーチで培った手法を採り入れたところとても好評だった,と言うことで色々興味が出て来たみたい。今回も他の人のアウトリーチを見て(手伝ってくれたりもした)刺激を受けていたようだ。
有川清美さんは、今回老人ホームでのプログラムをどのように持って行くかをずいぶん悩んでいて、ちょっと考えすぎだったかもしれないけれど、本人が思うよりもチャンとしていたと思う。普段からあれこれ考えていることがこういうときに出るのである。
本田さんと日高さんのピアノとクラリネットのデュオ(ショコラーデ)も、あんまり見せてくれないのだけれど、かなり詳細な進行表を考え、つくっているらしい。良いことだ。続けるとどんどん財産になっていくだろう。ある意味とても安定した出来なのだけれど、やや予定調和的な気がする。時々慌ててしまう日高さんのキャラがあってかえって良いかもしれない。



いわき7/17 菅家奈津子さんのカスケードコンサート

2012年07月17日 | いわき

菅家さんには今年の2月にアウトリーチをしに来てもらったのだけれど、昨年度はホールでの有料公演を限定するという方針でいたので特別にコンサートは無しと言うことにしていただいたので、今回はカスケードでのランチタイムのコンサートに来ていただいた。アリオスできちんと彼女の音楽を聴いてもらうのははじめてになる。カスケードはやや響きすぎで、歌は歌詞が聴き取れるか心配な空間なのだけれど、菅家さんの場合心配は不要な人。彼女の歌詞の発音(特に日本語)は非常に自然ではっきりしているので、言葉がとても自然に入ってくる。意味が普通に聞こえてくる状態で鑑賞できるので内容にもスーっと入っていけるのである。今回の彼女の曲は、
1,私を泣かせてください
2,マッティナータ
3,彼女に告げてよ
4,カタリ・カタリ
5,もののけ姫
6,さよならの夏~こくりこ坂から~
7,小さな空
8,カッチーニのアヴェマリア
メゾなのだけれど、テノールっぽいものとかもあって、菅家さんの特質が良く出ているレパートリーである。また、もののけなども彼女が声楽の発声で本気で歌うとみんな襟を正して聴くみたいな感じが出てくる(これは小学生でも同じ・・・)。アニメソングを歌うという感覚ではない。
さて、今年からカスケードコンサートの最初の挨拶をやらされているのだけれど(足立君の陰謀?)、今回は、彼女の声の特質を考えて初めにこんな話をした。
「いまコミュニケーションが大事、ということが言われているけれども、コミュニケーションは他の人との間だけでなく、自分との会話もある。音楽というものは自分のとのコミュニケーションにとても良いので、菅家さんの歌を聴きながらそんなことをちょっと考えて見てください」
出て行った菅家さん、3曲目のあとで「みんなとても静かに聴いてくれて嬉しいのですが、もっと明るい笑顔もみたいです」と言っていました。人間、内省的なときは笑顔にはならないものだよなあ、確かに。

田人小学校(いわきアリオス入場者100万人目のチケット=3年前)

2012年07月10日 | 徒然
この間行ったいわき市の南西の端にちかい田人第2小学校。木の校舎が美しいところです。
学校の廊下にいわきアリオス100万人目の入場者の記念チケットが拡大して堂々と飾ってありました。ちょうど学校としてアリオス見学に来てたのですね。こういうのって嬉しいですねえ。
ちなみに200万人目の秒読みだった昨年3月に地震があり、200万人目のイベントは出来ずじまい。ちょっと残念です。あのあと停電とか、避難所になったりとかでカウントが乱れているのではないかと思うのですが300万人目はやりたいなあ。
アリオスは3カ所の入り口にカウンターが設けられていて、入るときと出るときにカウントされます。ですからカウンターの半分の数が入場者数と言うことになります。

いわき7/4,5 おであり研究会1期生4人の成長

2012年07月06日 | いわき
いわきはこの間地元第2期のオーディションを終えて3人の演奏家を決めたところだけれど、今年は第1期4人の演奏家は2年目、経験を深めてもらう年でもある。今回はこちらの都合もあるけれども、昨日、一昨日で4人にそれぞれ1校づつ行っていただいた。2年目は新しいプログラムを作っていこうという気持ちもあり(みんなもそう思っているみたいだし)打合せとランスルーをやって本番を迎えるという方向。
4人それぞれの感想を・・・
鈴木香保里さんはこの間リサイタルをやったことがとても良かったようだ。音楽づくりが充実したことが話にも良い効果を上げていると思った。話に余裕ができていることとともに、演奏に入るときの切り替えがうまくいくようになっていると思う。

常光今日子さんは、ある意味一番正統的。組み立ての思考回路のようなものができて来つつあるように思う。毎回、詳細な進行案を書いてきてくれる(大体いろいろと考えすぎて内容的にはあふれてしまう傾向があるけれど)のだが、それが良い意味で蓄積できてきたようだ。

紺野裕子さんは今回は新しい構成案でまだ完成されていないけれど、彼女は自分でやりながら作り上げていくタイプ。今年はこのプログラムで完成させていく方向。演奏が安定してきた。ピアソラなどの力強さなどが印象的。

木田奈保子さんは、今年に入って声のメンテナンスをしなおしたのか、声に安定感が戻った。その声が聴き手を圧倒する場面もあって、こどもがびっくりしてしまうくらい。オペラなどではそういう部分も必要だ。語りかけなどは多くの声楽の人と同じように天性のものがある。

4人とも、細かいところで気になる部分はあるにしても、相手が毎回変わるのですべてが思うように行くことがほとんど不可能なアウトリーチという分野、場面では、絶対的な正解を求めると言うよりは、或る方向性(矢じるし)が常に意識されていることの方が特に演奏家にとっては大事。これで良いのかもしれない。
ご苦労様でした。