児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

デュオプリマin市町村アカデミー

2006年07月27日 | アウトリーチ
今日は、幕張の市町村アカデミーでデュオプリマ(礒+神谷さん)のミニコンサート。市町村長さんや助役さん向けの研修の一環です。その前に10分だけ話しをしました。10分で講義というのははばかられるのだけれど、一応講師という身分だったので・・・。

びっくりしたのは、演奏の初めに礒さんが「こんにちは-」といったら皆さんが「こんにちは」と返してくれたこと。市長さんとかってなんか、そういう感じでないもので、ちょっとびっくり。

私の話のテーマは、指定管理とかでいろいろ論議されているけれど、会館がある、ということは、市民からみると、生活が変わる、ということではないか、そのためには生活感のあるライフスタイル提案をしていかないといけない。市民の生活感に入っていくためには、アウトリーチなどで、会館のスタッフと演奏家がコミュニティとコミュニケーションを取ると言うことが一番必要なことで、そのために音活は良い企画である・・というまあ宣伝のような話しでした。10分というのは本当に短い。

さて、デュオプリマ(礒、神谷)のふたりは本当に小さい頃から一緒に勉強をし演奏もしてきたし、今もしょっちゅうやってるわけですから、今日やった曲などは目をつむってでも・・というような曲なのでしょうが、実は神谷さんは今朝フランスから帰ってきたばかりでした。会場でゆっくり練習が出来たので問題はないのですが、リハーサルで初めに音が出たときに「息は合っている、でも何かがちょっとだけちぐはぐ」なように感じられた。呼吸が合わない、などということはこれだけ競演していると無いのかもしれないが、まだ、脈拍まであっていない、という感じかな。日本とヨーロッパの時間感覚は違うと行くたびに思うので、そのせいかしら・・。
でも、面白いもので、練習後1時間たっての公演では、それはピタッと合ってました。さすが。こういう微妙な部分はやはり、一つの空間に一緒にいる時間が一定以上あることで自然に合ってくるものだな、と感心。演奏も力の入った良い演奏でした。

今年のセミナーは、参加者も昨年に比べ倍以上だったしなかなか良い会だったと思います。市町村の皆さんはまた明日も講義。座学ですから大変だろうなあと気になります。

アウトリーチっていろいろ

2006年07月27日 | アウトリーチ
今日は東大大学院の方がTANのアウトリーチのことを話しに来ました。11月に学内でフォーラムをする、というのが授業課題だそうで、さすが小林先生、厳しいテーマですねえ。

日本に限らないかもしれないけれど、現象的に言えば、少なくとも日本ではアウトリーチ(的)活動は戦後すぐくらいから始められていて、もう50年以上の歴史があることになります。その間に特に学校をめぐっては少子化など状況の変化が大きかったこともあって、いろいろ工夫がされてきていた、と考えることが出来ます。もちろん「工夫がされてきた」というのはさまざまな状況に合わせて変化してきたことですから、大体、いびつになっていたりする可能性の方が高い。それでも、それが良いこと、という原則論に支えられてきているのは事実です。そして、アウトリーチの言葉が輸入されてからは、この都合の良い言葉は意味の拡散がずいぶん起こっているような気はしますが、新しい血液によって活動が盛んになってきたとも言えます。ただ、アーチストが拠点(っていうのもあるのかどうか)を飛び出して行き、その芸術家の能力を使ってコミュニティという社会に有益な活動をするという意味でアウトリーチは、さまざまな考え方、手法、目的を生みつつ拡散している、というのが現状のような気がします。その中で自分はどの道を正しいとして進むのか、というのが現場の人間の思想のあるべき姿だと思う。
だから、フォーラムも、そのことを理解した上でどこに焦点を当てるかを考えないと、相変わらず上っ面の議論、または現場の与太話(自慢話?)になってしまう可能性もあります。こういう話しなら、私だっていくらでもしゃべれるぞ、という御仁は多く知っている。
彼ら若い研究者がフォーラムのモデレーターとなり、現場の人に「それは何故?」と突っ込むところを見たいような気もしますが、モデレーターも勘の良さを要求されますからねえ。でも、それが怖く無くできてしまうモラトリアム状態の学生である特権というのは、早いうちに行使しておいた方が良いと思いますね。
私は高校生の時の社会科は発表授業で、産業について担当したのが窯業。ガラスやセメントなどの事を調べて発表する事になり、判らないので、まず、旭硝子と日本板硝子、小野田セメントともう一つセメント会社に電話をして、アポイントを取り話を聞きにいきました。面倒だろうに、豪華応接室でたくさんの資料をもらって帰ってきた記憶があります。まあ、6年後の就職採用の布石かもしれませんけど。
閑話休題。このように定義が仕切れていない状況のジャンルでは、問題と答えは現場にしか転がっていない、というのはまあ常識でしょう。東大大学院、どうしていくのか楽しみです。フォーラムは11月22日だそうです。


熊本県の舞台芸術制作セミナー

2006年07月23日 | 徒然
昨日、熊本県立劇場がやっている(そういえば、昔はこういうときに熊本県がやっている、と書いて間違いなかったのに、今年になってから、なんか、そのように書くのは間違いであると指摘されそうな感じではあります)舞台芸術制作セミナーの第2回で、音楽の企画制作とグループミーティングによるワークショップを行ってきた。
今年でもう8年くらいになると思うのだが、今年も40名ほどの参加者がいて(昨日来ていたのは35名ほど)びっくり。2年前にも似たような話をしたことを思いだし、今回が何回目かの受講の方・・と聞いたところ一人も手を挙げなかった。この人数の新しく勉強しようと言う人が続いていることに再度びっくりした。
自分で企画を考えて書いてもらっておくようにお願いしたのだが、出てきた企画は一部を除き、まだまだアイデアの域を出ないものが多く、30分前までどうしようかと気にしていたのだが、みんなが本当に良く聞いてくださったので、久しぶりに「話しやすい(もちろん講師にとって)」講座でした。

今回は、枕に文化(芸術)の作用についての井上俊さんが書いている(多分他の誰かが井上さんの書いた文章について書いていたののまた引きですが)
1,適応
2,超越
3,自省
という3つの意味についてお話しした。最近の芸術論が、お金を出してくれる人や税金を使う事への説明責任という観点から「芸術の社会的効用」という位置づけに偏ってしまいそうなのを気にしているので、こういうところからお話ししていくことが必要ではないかと考えた。私のセミナーでのその後の所謂企画の発想やノウハウの話しは、結局社会的な意味づけに行ってしまうことは間違いなく(実際そうでしたけど)、それだけで解決できない事を意識していないといけない、という非断定の思考はとても重要ではないかと思う。

かつて(もう20年も前か)、将棋の有吉道夫氏が「社会的な適応力が無く(要するに変人)で、でも凄い才能のある将棋指しが出てきたら、間違いなくその人を援護します」といっていたのを思いだした。


東京

2006年07月19日 | 徒然
久方ぶりに東京に2週間近くも(出張無しで)滞在していると、東京のテンポについていけないのではないか、と考えてしまいます。これを年齢の問題と考えるのが本当なのかどうか・・・。まず、東京にいるとするべき仕事の種類が妙に多いのです。あれもこれも、とあるので何か一つくらい落ちていることが良くありますよねえ。それも、自分から飛び込んでコミットするようなフェスティバルとかの仕事の多さとは種類が違う。今年は私のまわりでは「変化の年」のような流れがありますので、特にそう思うのかもしれない。少なくとも、今年4月から肩書きが3つ増えているわけですからテンポが速くなるのも無理はないか。

年齢の衰えというのは、まず一番に決断力に現れるというのは、中国歴史の権威である宮崎市定さんがある本に書いている(南北朝の某皇帝をあらわしています)のですが、最近の自分をみていると案外あたっているような気がします。人に話すと「またあ」と言われる訳ですが、突発事の判断は別として、通常時の機敏さが落ちてきているのはまちがいない。こういうのがじわじわと効いてくるのだろうなあ。

とはいえ、気をつけて自分を鼓舞しておかないといけないのでしょう。



バズ・ファイブ、芝浦工大で吹く

2006年07月11日 | アウトリーチ
トリトン・アーツ・ネットワークは今年から、その活動範囲を少し拡げて、江東区南部(特に豊洲、東雲の方)でのコミュニティ活動をしていこうとしています。NPOを申請に行ったときに、あんまり地域限定だと良くないと言われたこともありますが、晴海を中心とした沿岸という発想からすると、豊洲などは明らかに一番近接した地帯なのです。
豊洲は今年以降数年の間、新しい高層マンションなどの開発が目白押しで、一気に人口が増えるところだと言うこともあります。
その第1弾として、豊洲に移転してきた芝浦工業大学との連携というのはずっと前からやりたかったこと。今日は主に学生を中心に聴いてもらうということで、昼やすみの時間にカフェテリアで金管5重奏を聴いてもらいました。ランチタイムということで、後ろの方の方は、音楽よりも食事という人も居ましたが、明らかに楽しみにしていたであろう学生(多分吹奏楽をやっている人ではないかな)が熱心に聞いてくれたので一安心。このカフェテリアは学食なのですが、一般の方が入ることを特に制限していないようなので、昼休みのあとの時間は幼稚園児とお母さんの30人くらいのグループが来て、食事をしていました。微笑ましい。
バズは、小学校などでは抜群の進行を持っているのですが、今日のような環境では少しとまどったかもしれない。ちょっと話が長かったかな。でも、こういう環境ではやはり金管は圧倒的に強い。良い時間でした。学校の方の対応も非常に親切で、スタッフ一同本当に感謝です。その上、演奏家とスタッフは学食でごちそうにまでなってしまいました。ここの料理はなかなかいけますし、何しろ安い。おすすめです。
芝工大ではまた暮れにも一つ計画があります。年間数度ではありますがTANのサテライトのようになり、いい関係が出来ることを祈っています。



昭和音大今年最後の授業

2006年07月10日 | 徒然
前期の最後の授業が終わりました。
1時限とはいえ、毎週授業が追っかけてくるのは思いの他大変だということに気がつきました。この感じは隔月で原稿を入れることになっていた岐阜メルサホール以来の感覚です。毎週4時間とか持っている先生達は偉いものである、という感想です。
最後の回だったので、これからプロデュースなどをしていくときの気構えとして「プロデューサー10の力」というのを解説付きでみんなにおまけに配り、学校から「無理にやらなくても良いですよ」と言われていた、自分の講義のアンケートもして帰ってきました。
プロデューサー10の力は、分析力、想像力、創造力、行動力、調整力、洞察力、持続力、瞬発力、集中力、魅力。そんなに能力があったら気持ちが悪いのですけどね・・。
アンケートでは、私は見ないからけちょんけちょんに書いても良い、といったのですが、どうだったのでしょうか。しかし、いくら見ないと言っても、自分の授業中にアンケートをとれば、ちょっと悪くは書きにくいのだろうなあ。曽田さんのブログにあったように「理屈っぽくてむかつく!」とでも書いてくれるとおもしろいのだけれど。
まあ、生徒からの評価があるということは、有る意味良いことだと思います。そのうえ、アートマの先生としては「そんなアンケートはしたくない」とは絶対に言えないというのが宿命ですね。
今年初めてだったので、いろいろと思うところはありました。授業方法もまだいろいろと工夫できると思うので、もしクビにならなければ来年は講義の部分を若干参加型にするとか工夫していくことも考えたいと思います。いずれにしろ、今年は厚木で遠いのを我慢したので、来年は新百合の新校舎でやらないと・・・・。









新しい事業

2006年07月07日 | 各地にて
北九州で、地元の演奏家をオーディションしてアウトリーチ活動とコンサートをしてもらうという新事業をお手伝いすることになりまして、5日には19名ほどのテープを聴かせてもらいました(第1次審査です)
初めてのことで、たぶんとまどっている方も多いのではないかと思います。一応19名の応募数はまあまあだと思うし、実際派遣できるのは4-5名だと思うので、良いかなとも思います。まあこういう企画は小さく産んで大きく育てる、というのが良いのでしょう。
決まったら、本気でアウトリーチに必要なスキルを身につけてもらうようにミーティングをしていかないといけません(研修という言葉はなんか偉そうであんまり好きでない)。まあ私の持っているものは全力で伝える、ということにします。本当はもっといろいろな講師を呼べると良いんだけどね。
帰りがけに大阪に立ち寄り、音活で一緒にやるN嬢と食事兼打合せ。気さくな感じが良いですね。聡明な人と見受けました。


AIG長崎

2006年07月01日 | 徒然
AIGのコールセンターが長崎にできた。場所は最近埋め立てで開発されたエリアで、出島の先の県立美術館の横。ここは公園地の一角のような感じであるためか、県の意向で高さとかなどにいろいろと制約があったようだ。しかし、AIGはこのビルの一角に公共的なエリアを設け、NPOに管理してもらうつもりなのだそうだ。面白い試みである。
実は明日の夕方、ここで、今年の長崎市のアウトリーチコンサートのオープニングになるコンサートを行うことになっている。きょうは、そのリハーサル。細長くて、ガラス張りのなかなか難しそうな空間だが、何とか良い場所を見つけた。
AIGグループは墨田区でもスター生命がトリフォニーホールや新日本フィルとの間で、かなり大規模な社会貢献活動を行っており、長崎でも何らかの社会的な活動に結びつくことを考えているようだ。墨田ほどではないにしても、期待しよう。
このビルは5階建てだが、5階のバルコニーは長崎港に面していて、長崎港花火大会の鑑賞地としては、長崎随一であろう。残念ながら社員だけがその楽しみを享受できる(それも抽選)ということだそうだ。いいなあ。