3年半前、いわきの新しいホールのピアノ選びを誰に頼むか、という話になったときに一番先に思い浮かべたのが小山さんだった。彼女は東北生まれと言うこともあって盛岡市のホールのピアノ選びに何故かつきあったことがある。あれは何故そうなったのかよく覚えていないのだけれど、今は亡き盛岡の最上君が突然電話をしてきて、ピアノ選びにつきあって・・と言われたからだと思う。
小山さんとはそれほど親しかったわけではないけれど、まあ興味もあって一緒について行ったのだけれど、最上君に「ピアノはね、買ってからどう維持するかの方が大切なのよ」と何度も何度も言っていたことを思い出す。
今回は小山さんに頼んだけれど、今までいくつかの会館のピアノ選びをお願いすることがあった。カザルスホールは内田光子さんだったし、第一生命ホールでは佐古さんと仲道さんに一大づつ選んでもらうというやや離れ業のようなことをやった。岐阜のメルサホールは関与しなかったけれど、三鷹ではアヴォ・クユムジャン、考えてみれば、それだけの数、新しいホールに関与させてもらったことになる。まあありがたいことと言えば言えるが、良いことなのかどうか・・・
いずれにしろ、ホールのピアノを選ぶと言うことは、単に良いピアノを選択する、という単純なものではない。まず何台もの中から調整されたピアノ数台がそこにあって、その中からしか選べない(というか、調整されていないピアノを選ぶことに意味はない)。それに、ピアノは少なくとも5年程度は変わっていくものだし、季節や状態、使った人の個性などによっても変化していくものだ。その中で、これが良いだろうというのは、小さい子供の才能を見抜くような一種の感性(感)がはたらかないといけないのである。
ピアノ選びがそのような実に人間的な営みであるとすれば、お願いする方も、ホールの個性(これも頼む段階でははっきりしないことも多いわけだ)や演奏家の個性までも勘定に入れてお願いするのであるし、その後のいろいろな演奏家とのつきあい方もある程度思い浮かべておく必要もあるのだ。その意味では、いわきアリオスのスタインウェイは比較的幸福な出会いができて、小山さん本人も私たちも気に入っているという状態が続いている。
アーチストが入れ込んでくれるというのはすばらしい事態であって、今回小山さんもピアノとの再会を楽しみにしてくれていたようだ。
小山さんの強い希望で実現したコンチェルトだけれど、指揮の沼尻竜典さんとトーキョー・モーツアルト・プレイヤーのサポートも良くて、良いコンサートになった。
ショパンの1番とブラームスの2番という2曲の選択はかなり重量級のコンサートだと思うけれど、小山さんが楽しんで弾いてくれていたようなのでまずは満足である。
演奏も後半に聴いたブラームスの演奏は気合いの乗った力演で、お客の気持ちを一気に、ひとまとめにして持って行くエネルギーに満ちていた。それは、今回のCDへのサイン会への列が表していたように思う
(写真はゲネプロ)
小山さんとはそれほど親しかったわけではないけれど、まあ興味もあって一緒について行ったのだけれど、最上君に「ピアノはね、買ってからどう維持するかの方が大切なのよ」と何度も何度も言っていたことを思い出す。
今回は小山さんに頼んだけれど、今までいくつかの会館のピアノ選びをお願いすることがあった。カザルスホールは内田光子さんだったし、第一生命ホールでは佐古さんと仲道さんに一大づつ選んでもらうというやや離れ業のようなことをやった。岐阜のメルサホールは関与しなかったけれど、三鷹ではアヴォ・クユムジャン、考えてみれば、それだけの数、新しいホールに関与させてもらったことになる。まあありがたいことと言えば言えるが、良いことなのかどうか・・・
いずれにしろ、ホールのピアノを選ぶと言うことは、単に良いピアノを選択する、という単純なものではない。まず何台もの中から調整されたピアノ数台がそこにあって、その中からしか選べない(というか、調整されていないピアノを選ぶことに意味はない)。それに、ピアノは少なくとも5年程度は変わっていくものだし、季節や状態、使った人の個性などによっても変化していくものだ。その中で、これが良いだろうというのは、小さい子供の才能を見抜くような一種の感性(感)がはたらかないといけないのである。
ピアノ選びがそのような実に人間的な営みであるとすれば、お願いする方も、ホールの個性(これも頼む段階でははっきりしないことも多いわけだ)や演奏家の個性までも勘定に入れてお願いするのであるし、その後のいろいろな演奏家とのつきあい方もある程度思い浮かべておく必要もあるのだ。その意味では、いわきアリオスのスタインウェイは比較的幸福な出会いができて、小山さん本人も私たちも気に入っているという状態が続いている。
アーチストが入れ込んでくれるというのはすばらしい事態であって、今回小山さんもピアノとの再会を楽しみにしてくれていたようだ。
小山さんの強い希望で実現したコンチェルトだけれど、指揮の沼尻竜典さんとトーキョー・モーツアルト・プレイヤーのサポートも良くて、良いコンサートになった。
ショパンの1番とブラームスの2番という2曲の選択はかなり重量級のコンサートだと思うけれど、小山さんが楽しんで弾いてくれていたようなのでまずは満足である。
演奏も後半に聴いたブラームスの演奏は気合いの乗った力演で、お客の気持ちを一気に、ひとまとめにして持って行くエネルギーに満ちていた。それは、今回のCDへのサイン会への列が表していたように思う
(写真はゲネプロ)