児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

昔のアウトリーチのビデオ

2011年10月31日 | 徒然
今日大學で昔のアウトリーチのビデオをみたのだが、未だ5年程度なのにずいぶん印象が変わるものだ。そもそもそのとき起こっていたことを全く忘れていると言う根本的な部分もあり、それは非常に問題なのであるが、それ以上にいろいろ要求水準が上がって来ているのだろう。
大學の授業は自分にとっても貴重な時間で、気がつかなかったことにきがついたり、まとめる言葉を思いついたりする。
今日のまとめは、アウトリーチの大事な要素は、対話、知識、鑑賞(発見)、参加。そのために必要なのは、よい演奏、よい場所、よい構成、よい情報。かな。
来週はどこに行って何をしようと考えるか、と言うことをやろうかと思う。

尾道 地元演奏家のアウトリーチ

2011年10月31日 | アウトリーチ

尾道で広島の演奏家によるアウトリーチを実施した。6月に研修会をやり、一度ランスルー(というか話し合いの感じもあったが)をやってみて実際学校や幼稚園に行ってもらったのだけれど、演奏家もそれなりに緊張をしていたと思うけれどもこっちも緊張した。まあこういう緊張感は決して悪いことではない。
甲田姉妹と仲谷さんのピアノトリオは、みんな話すのは無理・・という感じすらあったのだけれど、きちんと子供と会話をして進められたしなかなかおもしろかった。山下さんと松尾さんも2年前の安芸区の時以来で心配したけれど、子供の前に出るときちんと実力を発揮していた。まだ話すことと演奏との切り替えに苦労をしているようにもみえるけれど、構成プランとしてはよくできていると思った。

こういうあたりは本当に東響から呼ぶ演奏家ともそれほど遜色はない。こういう機会をおもしろいと思って、そこにやりがいが出てくればもっと演奏の方もよくなるはずだと思う。そこのところの熱意(アーネストとでも呼ぼうか)は変わらずに持っていてほしいと思う。


ポール・メイエと吉野直子さんの音楽

2011年10月21日 | 各地にて
先週16日に、フランスのクラリネットの名手ポール・メイエとハープの吉野直子さんのコンサートが尾道市の瀬戸田ベルカントホールであって、一年ぶりにゆったりとした時間が過ごせた。メイエとはカルミナカルテットと1997年だったかに一緒の旅をして以来の仕事でのつきあい。カルミナカルテットの強い推薦で実現したのだけれど、今回久しぶりに聞いて「やっぱりすごい!」と舌を巻いた。二人とも初めての共演で、あそこまでの音楽を作ってしまうのだから確かにすごいのだけれど、ハープの音色.音量に合わせて吹き出すメイエの音の柔らかさがとっても印象的。高い方がきつくならず、低い方も全くがさつにならずにあそこまでピアニッシモを出すところをみてしまうと、恐れ入るしかないかもしれない。
とくに、サンサーンスのクラリネットソナタをハープとやるというこのアイデアはどちらのものかわからないけれど本当にすばらしかった。ハープとの方があうかもしれない、と思わせる位の演奏。誰か他のところでもやってみないかな・・・。(写真はリハーサル)

邦楽活性化事業(埼玉)

2011年10月21日 | 各地にて
埼玉県と地域創造がおこなっている邦楽活性化事業(フォーラム方式である)が火曜から今日まで「手法開発研修会」というかたちで行われた。
今日は仕上げで、浦和の小学校で、今回選抜された3組のグループがアウトリーチを行った。それぞれが個性的なプランで組み立ててきて、子供たちの反応もよく、集中力を持って聞いてもらえたのでよかったとおもう。ほっとした。気持ちのよい和室もあり、一組だけそこでやらせていただいた。

一組目の吉川由里子さんのチームはこのあと入間市でアウトリーチとワークショップを行う。その他藤井さんチームは富士見市で、鈴木さんチームは川口市で市町村のプログラムを行い、来年2月5日にまた全員が集まってガラコンサートを行うというスケジュールだから、夏の全体研修会から数えても半年以上の事業ということになる。でもこの時間というのは非常に重要で、文化や芸術の特質でもある。一緒にいる時間があって初めて文化的な動きが出てくるわけだ。文化というのが、複数の人間が一定の頻度で生活の中で行ってきたこと、と考えると、人と人とが時間をかけることで自然にできあがってくるルールだったり、感情だったり、またそれによってできてくるものだったりが、型式として意識されて初めて文化になると考えてもよい。それは当たり前のことだ。
今日のアウトリーチでは、吉川チームの親しみやすさと笑顔、藤井チームの芸と人との関わり合い、鈴木チームの芸術作品の深みと人間的な個性・・・とそれぞれのおもしろみが巧まずして出ていた。人選の妙というよりも偶然的ではあるのだけれど、天の配剤とでもいうべきか、帰りの電車の中でコーディネーターと盛り上がってしまった。

こういう機会を継続的に(しぶとく)作っていけると邦楽界も変わってくるのではないか・・・という期待も含めて今年3年目の事業の成功を期待する。
(写真は藤井さんのグループの様子)

長崎 柴田健一さんの冒険

2011年10月13日 | アウトリーチ
昨日から長崎に来ている。3ヶ月ぶりかな。10年目の今年は行く回数はやや回数が少ないが、それでもアウトリーチはしっかりとやっていて、30回近くのアウトリーチが実施されている。興味を持つサポーターもいてくれて今日も活水女子大のアートマ4年生が見学県手伝いできてくれていた。
今日は2回目の登録になる柴田健一さん。はじめの時は、ちょうどプロとしてやっていくために、仕事を辞めました,と言うタイミングだったけれども、熱心に活動をしてくださった。これをきっかけにして長崎のジャズの世界では一定の地位を築いているのは、長崎市の広報での後押しもあったけれども、ほとんどは彼自身の努力であろう。偉いものだ。
2回目の登録と言うことは、ある意味では安心だけれど、次のステップに進んで頂きたいという気持ちはこちら側にもあって、新しいプログラミングに挑戦するようにお話をしていた。
2週間前に出てきたプログラム案は曲目はそれほど変えてはいないけれども、中で子どもたちに伝える事と伝え方についてはかなり考えたな、というもので、やや不安もあったけれども今日やってみて非常にうまく行き始めていると感じられた。まだ工夫が必要かもしれないし、精度も上げていくことは考えるにしても方向性はこれでいい。と言うより、自分で考えて工夫をする,と言うことが身についてくれば、私の役割はほとんど終わったようなものなのである。

今回ははっきりと2つのテーマをおいて、一つはトロンボーンを知って貰う事、もう一つはジャズの肝であるアドリブの楽しさを感じて貰う事。前者は以前からやっているけれども、後者はなかなか踏み込めない部分だったので、今回本格的に取り組んでくれたのは嬉しいことだった。演奏は白石光隆君の折り紙付き(ああいう音の出し方をする人は少なくなったよなあ、良いねえ。という感想があった)。もう50になると言うけれども、今後も緊張感を持った演奏活動を続けて欲しいものだ。

いわき10/10 紺野さんとのMG

2011年10月10日 | 徒然
昨日今日は比較的穏やかないわき。
今朝はフルートの紺野裕子さんと11月にやるアウトリーチのプログラム打合せ。今回、ピアノはやはり登録の鈴木香保里さんで、特に鈴木さんにとってピアノを弾く側から紺野さんのアクティビティを見るのは良い刺激になるだろう。紺野さんはあれこれと考えて迷うところはあるけれども、経験の豊富さから子どもの前では強いところがあるのでまあそれほど心配ではない。しゃべり方がソフトなのでちょっと勘違いしそうになるが非常に芯の強いところがあるのだ。進行プランは比較的王道のやりかただけれど工夫があって面白い。聴き手の意識の流れがスムースになっているか、と言う話しをする。最近はこの話しが多いな。もっと色々と開発しないといけない。
とはいえ、気持ちの流れがスムースなだけではつまらない物語なのであって、スムースでないことが混ざる部分も必要なのだけれど、そこの塩梅は難しい。
11月3日にランスルーをやって、翌々週に実際に学校に行ってもらう。今回は山間の小さな小中一貫校のようなところが2校あって、9学年を一緒にやるということになる。おんかつではあんまり見かけないパターンであるが、確かにこのくらいの少人数の地域だと子ども全員が親戚みたいな感覚があるので、何とかなるのではないか。
こういう時には高学年よりに対象をイメージしておいた方がよい、と言うのが経験値で、小さい子どもが「判らないけれどもお兄ちゃんたちは判って聴いているみたい」と思ってもらう方が、大きい方が「なんだ当たりまえじゃん。くだらないことをやっている」と思われるよりもよほど良い効果がある,と思う。

いわき10/5 常光今日子さんのアウトリーチ

2011年10月07日 | いわき
昨年度オーディションで選び、半年少しづつ研修をして1月に学校にいってもらったのだけれど本格的には今回が初のアウトリーチになる常光さん。彼女は今はほとんど東京にいて、演奏とか教えるなどでがんばっている。前日にランスルーをして、5,6日と4校にいってもらった。よく考えられたきちんとしたプログラムで、伝える、と言うことではよくできていると思う。本人も子供とのやりとりを楽しんでいたのでよかったと思う。演奏家が楽しめて考える面白さがわかってくる過程を見ているのはこちらも楽しいのだ。次のステップとしては想像力をうまく引き出す方向だけれど、次の機会には挑戦してみるとよいと思う。そういう話しができる状態だと思うので、おわったあとにそんな話しをした。
彼女のヴァイオリンを始めたころの話しとか、コンクールのお話しとかは子供にきちんとメッセージが渡せていてとてもよい。そこで彼女が出してくる1/16のヴァイオリンも効果的。写真は子供に小さなヴァイオリンを見せた瞬間。「かわいい!」と声があがるところである。

クアチュール・べー(サックス4重奏団)について

2011年10月01日 | アウトリーチ
尾道でのクアチュール・べーのアウトリーチ6回が終わって帰ってきた。今回はなんとか季候も暑すぎずに良かった。
尾道のアウトリーチは、学校教育関係者よりも子育て支援課のバックアップがしっかりしていることもあり、大体午前中が保育所、午後に学校に行くというパターンが定番になりつつある。今日も子育て支援課の人が見に来てくれたが、毎回別の人が来ているのは「良いからみんなも見ておくように」という姿勢で考えてくれるのではないかと心強い気がする。今回も3日6回のうち3回は保育所、残りが小学校、中学校、定時制高校の3カ所。
クアチュール・べーの保育所の進行がなかなか良くて感心した。サックスという楽器の強みもあるにしても、クラシカルなオリジナルを2曲(楽章)いれて、それでも子どもたちが最後まで一生懸命聴いているのはなかなか珍しい光景なのである。
写真は9月30日の保育園の写真。ポニョで踊っているところ。