Our World Time

とりあえず申しておかねばならないこと、ふたつ

2010年05月11日 | Weblog


▼この個人ブログのコメント欄について、5月8日の午前に、「都合の良いコメントだけは表示される」というコメントが投稿されました。
 以来、コメントを「表示」と「保留」に分ける、ぼくの作業をいったん中断しています。(したがって自動的に、そのあとのコメントはすべて表示されず、「保留」になっています)
 なぜか。

 コメント欄を新しい方式にしてから、コメントの投稿数は大きく減りました。
 投稿されたコメントは、これまで以上にすべてをしっかり読み、その大半を表示してきました。
 保留の扱いにしているのは、ぼくではない他の人への非難が含まれていたり、他の人の髪の色など身体的なことに触れられていたり、他のサイトへの誘導がコメントの中心になっていたり、というコメントに限られています。
 他のサイトへの誘導は、それがあっては絶対に困ります、というわけではありません。しかし、その誘導が中心になっているコメントは、なるべくなら、このような個人ブログのコメント欄ではなく掲示板などでおこなってください。

 自分に都合の良いコメントだけを表示する、そのようなアンフェアなことは、ぼくはやりません。
 5月8日に投稿された上記のコメントを目にしたとき、時間をさいて念入りに読んで、考えている作業への熱意を、正直すこし削がれました。深い疲れを感じました。

 作業の中断中に、これからどうするかを、あらためて考えます。
 このまま続ければ、純粋に支援してくださるコメントも、まるで都合の良いコメント、下手をすると「ちょうちん持ち」のように誤解される怖れもあります。
 そうなれば、純な気持ちで投稿されたかたがたに申し訳がたちません。

 コメントはいただくけれども一切を非表示にする、そういう方式にするのか、あるいはこのまま分けることを続けるのか、すこし考えさせてください。


▼一部の評論ブログに、ぼくが官房機密費を受け取っていたのではないかという書き込みがありました。事実無根であり、名誉毀損そのものですから、法的な対処も検討しています。

 これは野中広務・元官房長官が「政治評論家たちに官房機密費を渡した」と証言されたことを元にして、そのような書き込みをしているものです。

 しかし、そもそも野中さんが官房長官だったのは、小渕内閣当時で1998年7月30日から99年10月5日までです。
 この当時、ぼくは共同通信から三菱総研に移籍(98年1月)して1年目と2年目で、まだテレビにも出ていません。
 関西テレビの選挙特番に初めて出たのが、2000年6月(6月25日の総選挙)です。
 そのさらに翌年の2001年10月に、初めてのノンフィクション書籍「日本の防衛戦略」(対談本)を出版し、それを読んだTVタックルのディレクターから話が来て、TVタックルに初めて出ることになりました。
 したがって、野中さんが官房長官を務め、著名にして世に影響力のある政治評論家たちにカネを渡していた当時、ぼくはまだ、メディアに顔すら出していない、ひとりの研究員に過ぎず、官房長官から注目される理由すらありません。

 野中証言のなかで、実名が出てくるのは、お金を返したという田原総一朗さんだけですが、この田原さんたちとぼくとは、大きく年齢と世代が違います。
 それを勝手に同じフィールドで働いてきたと思い込んでの、中傷です。

 ほんとうは、ぼくは政治評論家だったことも、ただの一度もありません。しかしマスメディアなどで勝手に「政治評論家」という間違った肩書きを付けられることはあります。それでも、せめて最低限のことは調べてから、批判するならしてほしいと思います。
 不当な中傷を受けるのは年中行事ですが、ふつうのネットユーザーのほうが、書き込む前に、せめてぼくの略歴ぐらいは調べるひとが多いのではないでしょうか。
 ぼくは履歴を全面的に公開しているのですから。

 一方で、野中証言の意味するところは、きわめて重大です。
 官房機密費は仮に領収書が要らないカネとしても、不正に使って良いということでは全くありません。
 時の政権が、自らにまさしく「都合の良いコメント」をテレビなどでしてもらうために、わたしたちの税金を、政治評論家たちに渡していたというのは、不正そのものです。
 その場合、官房機密費だからといって法的責任あるいは倫理上の責任を逃れられるわけではありません。
 これは賄賂です。
 カネをもらった政治評論家が、もしも政府の審議会委員などの公職に就いていれば、解釈にもよるでしょうが、刑法上の賄賂にもなり得ると、ぼくは考えます。公職に就いていなくても国民の健全な常識とモラルからすれば賄賂の一種と言えるでしょう。

 野中さんには、渡していた責任もあるのですから、誰に渡したか、その名前をすべて、一人残らず直ちに公開すべきです。
 それをせずに中途半端に明かすから、上記のような名誉毀損も起きるとも言えます。

 ぼくはメディアに顔を出すようになったあとも、いかなる政権からも官房機密費を渡したいという申し出があったことは、ただの一度もありません。
 ぼくに渡そうとすれば、その申し出自体を必ず国民に、世に公開します。
 それは「贈賄の申し込み」と同じだからです。
 ぼくは、海上保安庁の公式な政策アドバイザーのほか、核セキュリティの具体策を講じる政府の部会やワーキンググループの専門委員を務めています。実務家としての務めですから、政権交代の前も後も、すなわち政権交代の影響を受けずに、一貫して務めています。
 だから自民党政権であろうが民主党政権であろうが、どんな政権下であっても、公職を持つぼくに、官房機密費を渡したいという申し出があれば、ぼくは直ちに、刑法の禁じる「贈賄の申し込み」と受け止めて、その政権の行為を公表します。

 ですから、仮に政権がぼくに多少の関心を持つことがあっても(…それもないと思いますが)、この公表を怖れて、そのような申し出はできないだろうと思います。

 官房機密費は、野中官房長官の小渕政権当時だけではなく、歴代の自民党政権で続き、政権交代後の現政権でも続いています。
 この際、野中証言をきっかけに、すくなくともメディアの人間にカネを渡した実態は、すべて明らかにすべきです。
 もらった人は、全員、国民のまえに出されるべきです。


▼以上、ふたつのことは、あらためてもう一度、詳しく書きます。
 きょうは、取り急ぎ、最低限のことを記しました。