前回(→こちら)の続き。
『総天然色ウルトラQ』が地上波で放送されている。
現在、関西のKBS京都で毎週土曜日の深夜に放送されているのだが、録画したそれをおせんべいや、かりんとうをいただきながら鑑賞するのが、独身貴族の日曜日の優雅な楽しみだ。
それにしても、『ウルトラQ』はやはりおもしろい。
大の怪獣ファンである私は、もちろんのこと本家モノクロ版『ウルトラQ』のDVD全巻を保持しているが、このたびカラーバージョンを見てみると、これはこれでいいもの。
よく保守的な映画ファンは『ローマの休日』や『市民ケーン』といった古典的名作のカラー版が出ると
「邪道だ!」
と怒ったりするが、私は全然OKである。
もちろん着色の出来が悪かったりするのは問題だし、
ビリー・ワイルダー『お熱いのがお好き』
アルフレッド・ヒッチコック『サイコ』
みたいな「あえてモノクロ」な作品なら、まだその意見もわからなくもないけど(まあ、それでも別に色つけてもいいと思いますが)、そんな文句つけるようなことでもないような。
「カラー版しかなくなる」
これは困るけど、どっちもあるんだったら、見比べて好きなほうを取ればいいだけだしねえ。
カラーだろうがモノクロだろうが、「いいものはいい」が本質であろう。
でもって、あらためて何度も見たはずの『ウルトラQ』を再度色付きで見直しているわけだが、いやあ、やっぱりおもしろいです、これは。
第1話のゴメスとか、これを一発目に見せられたら子供が食いつかないはずはないと身震いする。
ナメゴンは超不気味でコワいうえに、現在にも通じる風刺もきいてるし、子供のころは
「怪獣じゃなくてただのサルじゃん!」
と不満だったゴローは今見ると切ないし、M1号とか普通に人気出そうなゆるキャラだし、今見ても全然古さを感じさせない。
まったくの余談だが、『おそ松さん』の一松はあの目を「半目」とか「ジト目」と表現されてたけど、怪獣ファンからいわせればあれは「ぺギラ目」やね。
もしくは「ツインテール目」。
なんて、毎週末は楽しく特撮タイムを満喫しているのだが、『Q』を知らないヤングからすると、
「それって、思い出補正かかってるんやないの?」
なんて笑われそうだ。
いわゆる
「ゴジラは核の脅威を描いた第一作が一番」
「ガンダムは最初のヤツ以外認めない」
そういう「オールドファンの偏狭な主張」ではないかと。
私はリアルタイム世代でなく、レンタルビデオ(DVDじゃないんだよ)で見た口だからそこまで「原理主義」かどうかはわからないが、『ウルトラQ』は今見ても普通に面白いのではないかとは思う。
そう言い切れるのは、昔、岡崎京子さんの『くちびるから散弾銃』を読んだから。
バブル時代を舞台に、ちょっとイケイケの女子3人が、しゃべりまくるこのマンガ。
キャラ的に合ってないのは承知だが、一時期けっこう岡崎京子さんにはハマっていたこともあって愛読していたのだが、その中で『ウルトラQ』が出てきて驚いたもの。
たしか「夜更かし」がテーマで、
「深夜になにげなくやってる古い映画とかドラマって、つい見ちゃうよねー」
といった「あるある」ネタの中に、
「そうそう、『ウルトラQ』とかね」
というセリフが出てくるのだ。
ここを読んだとき、思わず目を見張ったもの。
バブル女子と特撮なんて水と油というか、モンタギュー家とキャピュレット家、ナチと共産党並みにそりが合わないと思ってたけど、まさか岡崎マンガで融合を果たすとは思わなかった。
まさに歴史的和解といえよう。
へー、岡崎先生『ウルトラQ』とか見はるんやー。
そう、つまるところ『ウルトラQ』は女子も、しかも文化系趣味など見向きもしない(『くちびるから散弾銃』でも「本が好きな男子はキモイ」みたいな話があった)バブル系女子から見ても、それなりにおもしろいわけだ。
なら、なかなか見る機会のない、この古典を見逃す手はあるまい。
そう、怪獣に興味ある人もない人も、オタク男子もギャルも、週末は『ウルトラQ』でアンバランスゾーンを堪能しましょう!
(『けいおん』『怪奇大作戦』編に続く→こちら)
おまけ ネットで見られるカラー版の第3話(ナメゴン)→こちら
第16話(ガラモン)は→こちら
モノクロ版第18話(パゴス)は→こちら