前回(→こちら)の続き。
陸上自衛隊の中でも、もっとも過酷な訓練を行うという
「レンジャー部隊」
にスポットを当てたドキュメンタリー映画『実録レンジャー訓練』がすごい。
映画『フルメタル・ジャケット』を地で行くような笑え……じゃなかった過酷な訓練をこなす隊員たちを見ていると、ただただ敬服するのみというか、とにかく圧倒されます。
ただ見ていて一つ気になるのは、ガチもガチも大ガチの、人間の限界を超えた状況をくぐり抜けて戦うレンジャー部隊の使う言葉だ。
彼らはなにかに首肯するとき、かならずこう声を出すのだ。
「レンジャー!」
とにかくよく耳に入ってくる。
隊員たちは、常から教官の指示通り行動するわけだが、その際の返事が「はい」でも「了解」でもなく「レンジャー」。
何をいわれても「レンジャー!!」。
「匍匐前進500メートル!」
「レンジャー!!」
「敵襲、各自持ち場に着け!」
「レンジャー!!」
「キサマたるんどる! 腕立て伏せ50回!」
「レンジャー!!」。
なんでも「レンジャー!!」。他の言葉は一切不許可。
おいおい、おもしろすぎるではないか。
もちろん冗談ではない。冗談どころか、必死のパッチなのである。
まっくらな密林の中、40キロの荷物かついで言うギャグなど、とても笑えない話だ。
私がこの映画で感動したのは、隊員たちの根性もさることながら、この「レンジャー」という応答が気に入ったからである。
彼らは回転寿司で
「あ、そこのマグロ取って」
「レンジャー!!」
コンビニで、
「お弁当温めますか?」
「レンジャー!!」
女の子に
「わたしのこと、好き?」
「レンジャー!!」
すべて、そう答えるのであろう。
もし教官が深夜の居酒屋で、
「わたしもラテン語で小粋に会話しつつ、二階堂ふみちゃんの首を締めあげて、半死半生になっている彼女に『みんな死ね!』とののしられたいね」
などと語っても、もちろんそのリアクションは「おいおい」「待たんかい」ではなく
「レンジャー!!」
なのである。
なんという訓練された猛者たちなのか。
嗚呼、そうであった。日本の兵隊さんはみそ汁を飲んでいるから、世界一強いのである。
こんな猛者たちがいてくれれば、我が国の守りは完璧であろう。
かくのごとく愉快、もとい勇猛果敢かつ統制の取れた男たちの姿が見られる『実録レンジャー訓練』。
いや、ホンマにすごいです。ようやるわ。
☆おまけ 『実録レンジャー訓練』の本編は→こちらから。