イントロクイズの時間になると地獄である。
人づきあいの中では、ちょいちょい「ゲーム」をする機会というのが出てくる。
仕事関係の忘年会ならビンゴとか、合コンなら王様ゲームとか、そういった類だが、これが困りものである。
もとより、あまりノリのよくないタイプから、こういう「イェーイ!」な場がダメなのだが、中でもマックス苦手なのが、音楽のイントロクイズ。
というと、同年代くらいのオジサ……もとい人生の古強者たちは、
「わかるなあ。オレらもう、今の若い子の曲とか知らないもんね。クイズやるなら、ZARDとかWANDSとか持って来いよ」
などという、われわれ世代が上司などから「宮史郎とぴんからトリオ」の話を聞かされたがごとき、今のヤングにピンとこない、いにしえのボヤキを発するのだが、私の場合、症状はもっとひどい。
もちろん音楽くらいは聴くが、イントロクイズの題材にされるようなヒットソングにはあまり縁がないため、世代とか関係なしに、どんな曲を出されても、そもそもついていけないのだ。
なので、わが同胞たちがヒップホップや米津玄師の新曲に苦戦する中、彼らの言う「ZARDとかWANDS」の他にも、ミスチルやスピッツや長渕剛のような、時代を超えて聴かれているアーティストすらわからない始末なのだ。
いや、そりゃ私だって邦楽だったらミッシェル・ガン・エレファントは大好きだし、ストレイテナーとかサンタラとかナンバーガールとか、GO!GO!7188とか筋肉少女帯とかも聴きますよ。
でもこういうラインアップって、比較的メジャーだけど、絶妙にイントロクイズとかには出ないラインというか、少なくとも私はあまりテレビのクイズ番組などで、聴いたことがない。
カラオケでも、あんまし盛り上がらない。やはりこういうのは、CMソングとかアニメの主題歌とか国民的アイドルとか「全員が知ってる」というのが大事なんだけど、なかなかそうはならないのだ。
答えを聞いた瞬間、みなが「あー」「なるほどー」と共感を生み、「聴いたことはあったんやけどなー」と悔しがるリアクションが取れるような。
どうも私の好みは、そこをはずしているらしい。
こないだもサウナに行ったらテレビで、
「今の若者に昭和・平成時代のアイドルやアーティストが大ブーム!」
みたいな特集をやってたんだけど、そこで取り上げられるのは広瀬香美『ロマンスの神様』とかブラックビスケッツ『タイミング』とか、竹内まりやとか、小田和正とか、杏里とか、やはりサッパリである。
おいおい谷山浩子とか、上々颱風とか、ブランキー・ジェット・シティとか、フェアチャイルドとか、オレが聴いてたような歌はブームにならへんのかい!
うーん、別にマイナーってわけじゃないと思うんだけど、メディアの露出度とかの問題なのかなあ。タイアップとか。
いや、これは音楽のみならず、人生のすべての面においてそうかもしれないが。オヨヨ悲しい。
こうなるともう、ボヤくとしても同世代仲間のように「ZARDとかWANDS」ではなく、
「今の若い子の曲とか知らないもんね。クイズやるなら、ブラームスとかコール・ポーターとかウード・リンデンベルクとかシルビィ・バルタンとか持って来いよ」
などと、時代性もへったくれもない内容になってしまい、クイズには答えられないわ、同世代トークでも置いてけぼりだわ、まさに踏んだり蹴ったりなのであった。
こないだ観た映画『ジュディ 虹の彼方に』(傑作です!)でクイズやってくれたら、全問正解できる自信あるんだけどなあ。
劇中歌の『ゲット・ハッピー』だけじゃなく、『スワニー』とか『サンフランシスコ』とか『アレキサンダーズ・ラグタイムバンド』とか。
だれか、対戦しませんか?