前回【→こちら】に続いて「男」ダビド・フェレール戦記の第3弾。
実力は充分だが、ナダルやフェデラーなど「4強」という厚い壁にはばまれ、なかなか2番手グループから抜け出せないフェレール。
だが、そこで腐らないのが彼の立派なところだ。
ライバルが強力だろうが、ビッグタイトルになかなか手が届かなかろうが、常に気持ちを萎えさせることなく全力で戦うのが彼のスタイル。
グランドスラムやジャパンオープンだけでなく、ファイトあふれるフェレールの本領をもっと学びたければ、団体戦を見るのがいいかもしれない。
基本的に個人戦であり、歴史的にオリンピックとも縁が薄かったせいか、なかなか「国を背負って戦う」という熱さと結びつかないテニスであるが、デビスカップは別である。
国別対抗で行われるこの団体戦は、ウィンブルドンなどとはまたちがった熱気がある。
一度見ていただければわかるが、その会場は、普段はクールなテニスの会場とは思えない、サッカーのワールドカップのような歓声と怒号に包まれる。
ダビド・フェレールはそこで無類の力を発揮する。他の国とくらべて仲間意識の強いスペインの選手は、必然団体戦には大きな力を見せることとなるのだ。
デ杯といえば、一昔前はトップ選手は出たがらない大会だったが、スペインに関してはナダルが積極的にエントリーしたことから、「無敵艦隊」が実現。ここ10年で4回の優勝を誇る常勝チームとなった。
このデ杯での栄冠を支えてきたのが、なにをかくそうダビド・フェレールなのだ。
デ杯は初日シングルス2本、2日目ダブルス、最終日シングルス2本の、3日で計5本勝負というシステムになっている。
これだと一人のエースが単複フル回転すれば勝てるケースもあるが、そういったエース依存のやり方はリスキーでもある。
その選手が調子を落としたり、果ては欠場したりすると、どうしても戦力が大幅にけずられてしまう。
その点、スペインはナダルにフェレールという、シングルスに「ダブルエース」をそろえていたのだから、強くないわけがない。
ましてやそれがスペインのホームで、真っ赤なクレーコートを敷かれて待たれていた日には、勝てる気がしないというもの。
ダブルスを死ぬ気で取ったとして、土のコートでナダルとフェレールから4戦して2勝以上する。
気の遠くなるような夢である。相手からすればいっそ家で寝ていた方がマシなくらいであろう。それくらい、絶望的なスペインのオーダーなのだ。
そんな「ミスター・デ杯」であるダビド・フェレールのすごさは、優勝を逃した2012年度の戦いからもかいま見える。
ナダルの欠場で大きな穴があいてしまったスペインチームだが、燃える男フェレールの大車輪の活躍で2年連続の決勝に。
そこではイワン・レンドルの時代以来、30年ぶりの悲願を成し遂げるべく勝ち上がってきたチェコ相手に、フルセットの末に屈しはしたが、フェレールはシングルスで2勝をあげ気を吐いた。
それどころか、フェレールは大会を通じても、シングルスで一度も負けていなかったのだ。
スペインチームはデ杯を取れなかったが、ダビド・フェレールはその誇りにかけて、一度もコート上では膝を屈しなかった。
まさに試合に勝って勝負に負けた。
嗚呼、なんてカッコええんや……。
スペインは、ナダルの穴を見事にフェレールが埋めて戦ったのだが、おしむらくは専門誌も指摘するように2番手の「フェレールの穴」が埋められなかった。
それほどに、この「絶対的なナンバー2」が、スペイン勝利のキーポイントだったのだ。
判官びいきとともに、
「仲間のために熱い男」
「チームのために日陰に徹する男」
というのも、日本人のハートにはドスンとくる。
独眼鉄先輩の問いに、私は自信を持って「それは、ダビド・フェレールのことである」と答えたい。
人気、実力ともに、フェレールは世界でももっと評価されていい男だ。それには、とにもかくにもグランドスラム優勝が必要だろう。
一番期待が大きいのがフレンチ・オープンであろうが、もうすぐ開幕のオーストラリアン・オープンでのテニスも悪くはない。
好漢の、メルボルンでの大暴れに期待だ。
実力は充分だが、ナダルやフェデラーなど「4強」という厚い壁にはばまれ、なかなか2番手グループから抜け出せないフェレール。
だが、そこで腐らないのが彼の立派なところだ。
ライバルが強力だろうが、ビッグタイトルになかなか手が届かなかろうが、常に気持ちを萎えさせることなく全力で戦うのが彼のスタイル。
グランドスラムやジャパンオープンだけでなく、ファイトあふれるフェレールの本領をもっと学びたければ、団体戦を見るのがいいかもしれない。
基本的に個人戦であり、歴史的にオリンピックとも縁が薄かったせいか、なかなか「国を背負って戦う」という熱さと結びつかないテニスであるが、デビスカップは別である。
国別対抗で行われるこの団体戦は、ウィンブルドンなどとはまたちがった熱気がある。
一度見ていただければわかるが、その会場は、普段はクールなテニスの会場とは思えない、サッカーのワールドカップのような歓声と怒号に包まれる。
ダビド・フェレールはそこで無類の力を発揮する。他の国とくらべて仲間意識の強いスペインの選手は、必然団体戦には大きな力を見せることとなるのだ。
デ杯といえば、一昔前はトップ選手は出たがらない大会だったが、スペインに関してはナダルが積極的にエントリーしたことから、「無敵艦隊」が実現。ここ10年で4回の優勝を誇る常勝チームとなった。
このデ杯での栄冠を支えてきたのが、なにをかくそうダビド・フェレールなのだ。
デ杯は初日シングルス2本、2日目ダブルス、最終日シングルス2本の、3日で計5本勝負というシステムになっている。
これだと一人のエースが単複フル回転すれば勝てるケースもあるが、そういったエース依存のやり方はリスキーでもある。
その選手が調子を落としたり、果ては欠場したりすると、どうしても戦力が大幅にけずられてしまう。
その点、スペインはナダルにフェレールという、シングルスに「ダブルエース」をそろえていたのだから、強くないわけがない。
ましてやそれがスペインのホームで、真っ赤なクレーコートを敷かれて待たれていた日には、勝てる気がしないというもの。
ダブルスを死ぬ気で取ったとして、土のコートでナダルとフェレールから4戦して2勝以上する。
気の遠くなるような夢である。相手からすればいっそ家で寝ていた方がマシなくらいであろう。それくらい、絶望的なスペインのオーダーなのだ。
そんな「ミスター・デ杯」であるダビド・フェレールのすごさは、優勝を逃した2012年度の戦いからもかいま見える。
ナダルの欠場で大きな穴があいてしまったスペインチームだが、燃える男フェレールの大車輪の活躍で2年連続の決勝に。
そこではイワン・レンドルの時代以来、30年ぶりの悲願を成し遂げるべく勝ち上がってきたチェコ相手に、フルセットの末に屈しはしたが、フェレールはシングルスで2勝をあげ気を吐いた。
それどころか、フェレールは大会を通じても、シングルスで一度も負けていなかったのだ。
スペインチームはデ杯を取れなかったが、ダビド・フェレールはその誇りにかけて、一度もコート上では膝を屈しなかった。
まさに試合に勝って勝負に負けた。
嗚呼、なんてカッコええんや……。
スペインは、ナダルの穴を見事にフェレールが埋めて戦ったのだが、おしむらくは専門誌も指摘するように2番手の「フェレールの穴」が埋められなかった。
それほどに、この「絶対的なナンバー2」が、スペイン勝利のキーポイントだったのだ。
判官びいきとともに、
「仲間のために熱い男」
「チームのために日陰に徹する男」
というのも、日本人のハートにはドスンとくる。
独眼鉄先輩の問いに、私は自信を持って「それは、ダビド・フェレールのことである」と答えたい。
人気、実力ともに、フェレールは世界でももっと評価されていい男だ。それには、とにもかくにもグランドスラム優勝が必要だろう。
一番期待が大きいのがフレンチ・オープンであろうが、もうすぐ開幕のオーストラリアン・オープンでのテニスも悪くはない。
好漢の、メルボルンでの大暴れに期待だ。