今夏の甲子園優勝校・京都国際高校は、本当の国際高校です。今日の東京新聞は、「祝優勝・京都国際高校」と題して、前川喜平氏はコラムで書いていますので、紹介します。
祝優勝・京都国際高校
前川喜平
夏の甲子園。優勝は京都国際高校だった。関東第一高校は一歩及ばず準優勝。都庁展望室室で観戦した小池都知事は「優勝インタビュー」の機会を逸して残念だっただろう。
京都国際高校の前身は在日コリアンの民族学校「京都韓国学園」。2004年に学校教育法1条に基づく中学校・高等学校になったが、今も校歌は韓国語。韓国の伊大統領からは優勝を祝うメッセージも寄せられた。
同校は、英語、韓国語、日本語のトリリンガル教育や異文化理解、人権学習などを通じて真の国際人の育成を目指しているという。民族教育に重点を置く朝鮮学校とは異なる路線だが、こういう学校も貴重な存在だ。
同校の校歌をめぐっては、ネット上に差別的な投稿が多数見られた。日本海を「トンヘ(東海)」と呼び、ハングク(韓国)の学園」と称していること、それを「東の海」「韓日の学び舎」と訳したことなどを「問題視」し、「反日学校」「出場辞退させろ」など罵る内容だ。許しがたいヘイト行為である。日本海をトンヘと呼ぶのは表現の自由だ。何の問題もない。歌詞の「意訳」には、無用な摩擦を避けようとする苦心の跡がうかがえる。
西脇京都府知事が差別的投稿は許さないとして削除を要請したのは、政治リーダーとして当然の態度だ。これが小池知事だったら、同じ態度をとるだろうか。
(現代教育行政研究会代表)