思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Whirling Blue Dun (ワーリング・ブルー・ダン)

2020-04-18 16:20:48 | 毛針/Flies

Whirling Blue Dunという名前は、日本では聞くことはありません。少なくとも私は聞いたことがありません。

然し乍ら、この名前は英国では釣魚大全(The Compleat Angler)以来、忘れられることなく釣魚本に出てきております。
英国の伝統的な毛針の情報が詰まった「A Dictionary of Trout Flies」によれば、その正体がどんなカゲロウなのか?についてはYellow Dun、Autumn Dun、August Dun等々、過去の識者達はその説を述べているものの、統一された結論はなく、結局は「謎」のまま。しかし、イミテーションに拘ったHalfordは「釣れる毛針」として、何を模しているのか解らないこの毛針のレシピを以下遺しております:
Wings: Medium starling
Hackles: Two ginger cock hackles
Body: Water-rat fur
Whisk: Gallina dyed brown-red
Hook: 16 to 14

更に、他の効果的なレシピとして「A Dictionary」に紹介されているのが:
Wings: Starling, medium, light or dark
Hackle: Ginger cock's
Body: Hare's fur spun on olive or yellow dying silk
Tail: Three whisks ginger cock
Hook: 14

となります。

この毛針を巻いてみることにしました。
イエローのゴッサマー・シルクで何時もの様にスターリングを二重にしてフォーワードに結び、続いてボディを巻き、テイル、ボディと巻きます。

この毛針のボディ、テイル、ウィングの色については色々なバージョンがあるのですが、唯一外してはいけないのがハックルの色。ジンジャーでなければ効果が期待出来ないというのです。そこで、昔の英国のジンジャーハックルで巻くこととします。使ったのはMesseenaから1942年に購入したGolden Dunという名前のコックハックル 。リストは赤みがあり、ファイバーは金色に輝きます。
ジンジャーはレッドと同様に固くて艶の良いものが多く、水面上に高く浮かびます。「ジンジャーでなければダメ」というのも、色の他にそうしたジンジャーハックルの機能的性質があるのかも知れません。

出来上がった毛針。スターリングのウィングは二重ですので魚を掛けてもファイバーがバラバラに壊れることはありません。もしばらけてもオイルを塗ってやるとウィングの形を整えるのは簡単。また、使ったジンジャーのリストの赤みが毛針の前の方に強く出てます。
英国の様に日本でもこの毛針で釣れるのか?何故か日本なのに「Stay at home」と外国語で言われる、「外出自粛」下、実釣の場で試すことは未だ出来ませんが、釣れそうな雰囲気には溢れる毛針であることは同意するものであります。
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4 コメント

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OLD BOOK (ken)
2020-04-21 12:40:24
私もA Dictionary of Trout Fliesは愛読書でトラディショナルパターンを理解した上で現代風にカスタマイズし、楽しんでいます。
そこで質問があります。他にお勧めや影響を受けた本などございましたらご教授いただけませんか?文化の源流を理解した上で遊びたいと常日頃から思っています。突然申し訳ありません!
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昔の本 (budsek)
2020-04-21 22:10:44
ken様
コメントを頂き大変ありがとうございます。
ドライフライとなりますが、まずはFrederic Halfordの"Floating flies and how to dress them"がお勧めです。ドライフライの源流(James Ogdenもありますが。。。)であり、ウイングの結び方、ハックルの結び方等基本的な点は全て記述されておりますので基礎は全て抑えることが出来ると思います。因みにこの本は著作権も消滅したのかhttps://archive.orgで読めますのでお試し下さい。次にはFrank Elderの"The book of the hackle"をお勧め致します。ドライフライの一番大事なパーツであるハックルは分かったようで分からないものだったのですが、この本によりその性質、色、機能、鶏の特性、等等が明らかにされております。ドライフライの材料と巻き方が分かっても材料の特徴・選び方が分からないと片手落ちですので、是非入手される事をお勧め致します。
Skuesの本もお勧めですが、アメリカの実践主義を垣間見せるMarinaroの"A Modern dry fly code"もお勧めです。これらの本を愉しんだ上で"A Dictionary"を読めば昔の方々が積み重ねてきた知識を土台・活用しながら現代の方法・材料でカスタマイズした毛針をより愉しめるのではないかと愚考致します。
コロナで釣りに行けない今日この頃ですが、毛針作りなどでモヤモヤを昇華したいと妄想しております。
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ありがとうございます! (ken)
2020-04-22 01:11:55
とっても詳しく教えてくださり本当にありがとうございます。早速(できれば古いもの)をさがし、手に入れたいと思います。特にハックルの本は(復刻?)かもしれませんがジャケットのデザインが秀逸で手に入れたいと思いました。おっしゃるように材料の特徴、選び方がわかっていなければ楽しみも半減すると感じますし、もう一つ付け加えさせていただけるならばOLD BOOKが目の前に並んでいればより趣味の世界が深く、楽しくなると思っています。遊びくらいは真剣に?やりたいと常日頃思っていますので、、、
教えていただき本当にありがとうございました。
手に入れましたら連絡いたします。
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吉報をお待ち致します (budsek)
2020-04-22 21:46:16
ken様
お返事を頂きまして大変ありがとうございました。ハックルの本ですが復刻されておりませんので、中古で探すしかありませんが、幾つか出物がありますので、余り問題なく入手出来るものと期待致しております。そこにはハニー・ダン、ブルー・ダン、ラスティー・ダン等の色見本があり、1970年代までの当時入手出来たそれらのハックルの色がどのようなものだったかが判ります。戦前まで、或いは20世紀初め迄はよりブルーのハックルがあった事は本ブログでも申し上げておりますが、Frank Elder氏のハックルを実際に所有し眺められる立場より申し上げますと、Elder氏のハックルは素晴らしいと言えます。フランスハックルも良いですが、巻き易さの点ではElder氏のOld English Game Cockの方が上であります。吉報をお待ち致しております。
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