昨年10月に訪れたTalambote川に昨日再度日帰りで行ってきました。
昨年は最上流の駐車場から川を遡り、神の橋を見て折り返し駐車場近くの狭い場所で釣りを試みたのですが、その後地図を見ながらダムの下500mまでの釣り区間を調べてみると最上流の駐車場の一つ下流のキャンプ場駐車場に車を止め、そこから川を遡行出来ることに気づいたためです。
それならば昨年の数十メートルしかない狭い場所で釣りをするよりチャンスが多いのではないかと思った次第。
実は、4月29日にロンドン出張から夜帰国し自宅に着いたのは21:30過ぎ。翌朝07:00発のタンジェ行きの乗り込むには自宅を06:00には出て流しのタクシーを捕まえなければなりません。若くないオジサンの身には辛い強行軍。
ともあれ、運よくタクシーを拾え、Casa Voyageurs駅に06:30前には到着致しました。早朝の駅には未だ多くの人はおりません。
07:00発、09:10着のTGVで292km離れたタンジェに到着。昨年行ったHertzのレンタカー営業所に行き今日の車を借ります。車はKIA Picanto。海外では韓国車が広く普及しております。特に北アフリカでは輸入関税も関税ゼロの欧州車に比べ高いのに価格を抑えてシェアを取る戦略の様子。
そして120km離れたTalambote川に向かいます。
ウィンカーを出さず車線変更をする、急停止する、煽りまくる、といったモロッコ人の荒い運転に身を任せ工事中の区間も多い山岳道路を走ること2時間強、Talambote川のキャンプ場の駐車場に到着。キャンプ場は沢山の人で大混雑。想像を超えた連休のディズニーランド状況に心を暗雲が覆いますが、周りのモロッコ人の好奇の目に晒されつつ出来るだけ早く支度をし川に向かいます。
今日の相棒は先週同様竿はHardy Palakona Kenya 8'、リールはSt. George 3"、DT6のシルクライン。アフリカの赤茶けた大地で繋ぎます。
その川ですが、一見日本の渓流のようでいい感じ。渇水に水草で覆われ動きのないGuigou川で心を折られた後、この光景には嫌でも心をときめかせるものがあります。
フランスハックルを巻いたドライフライを付け、それらしいところに毛鉤を置いていきますが一向に反応がありません。川を見ても魚の気配は感じられません。そうこうしている内に川の両側には灌木が迫り出してきて川幅が狭まります。
乾燥地帯だからなのでしょうか、灌木は川の両側にびっしり生え、通り抜けられそうな場所は余りなく、無理に通ろうとすると身体中に絡みつき竿とラインも持って行かれ大変です。それで一旦川下に戻り岸に上がってから上流を目指す等遡行も大変。そうしていると結構な大場所に辿り着きました。
良さそうに見えますが、ちょっと水が濁りまたどこからか子供達の歓声が聞こえてきます。それでも何度か試しますが反応ゼロ。それで一旦諦め上流に行くと何と上流の淵で地元の子供達が何人も泳いで遊んでいるではありませんか。。。
今回も天に見放された絶望感を分かって頂けたらと思います。
どうも、モロッコには渓流が少ないからか、川辺がある所には人が集まるのですが、そうなると目立つのがこの光景。チュニジアでもそうでしたが、北アフリカの人達はゴミをその辺に放って平気な感じに見受けられます。他にも人糞と思われるものもあったり、汚いことに閉口致します。
全身汗まみれで下流に帰るとディズニーランド状態は更にエスカレート中。渓流にはアスレチックパークの様なものが設けられ、頭巾を被った女性達が大勢集まり子供を遊ばせております。
吊り橋を渡っていく子供達。女性はこの様にほぼ全員頭巾を被っております。
19:00タンジェ発のTGVの暖色のライトを見ながら反省するに、Talambote川は人の居ない去年釣りをした石橋の下の数十メートルしか釣りにならないとの結論を得ました。昨年はそこで一匹の魚を目撃しております。問題はその数十メートルを試すためにまた往復800km以上をかけて行くのかという点。
ロンドン出張の疲れが一気に出て朦朧とするTGVの中、リスクばかりでリターンが著しく少ないその博打をまたやるの?というその問題が更に意識を混濁させて行くのでありました。
お疲れさまでした。
今回も難しい状況であったとの由、身中お察し申し上げます。
ただ、毛鉤の途は釣れない修行のようなものと肝に命じつつ、皆がこの途に足を踏み入れたのではないでしょうか。
かつて、未だバッハを聴いたことのない職場の部下にこう伝えたことがあります。
『貴兄は幸せな人だ。これからバッハに出会う歓びが、貴兄を待っている』
次回釣行こそ、ご釣運に恵まれますように。
nori 拝
PS こないだの週末は広島市内(!!)の渓流で、25cmのアマゴに恵まれました。堰堤下プールの護岸際からバクンと出て、久々に歓びを得ました。ヒレまで赤い、とても美しい体躯でした。広島も良いところですよ。
日光湯川で木っ端ばかりで良型のパーレットが釣れないなんて、贅沢な悩みなのですねぇ…
コメントを頂き大変ありがとうございました。
モロッコの鱒釣りは断片的情報を集めそれを基に色々考えた上で現場に行って確認するという作業になるのですが、仏語の資料を入手しても、アラビア語に適当なアルファベットを振って記述しているので、川の名前も地図になかったりと、山中鹿之助の「我に七難八苦を与え給え」状態でございます。
こうした苦労と資金を費やした挙句に鱒が棲む川を見つけられれば正に天にも昇る気分を味わえるのではないかと思いますが、ダメであれば「山下財宝」の気分かも知れません。
情報の豊富な日本を離れ孤独な修行はまだまだ続きますが、頑張ってみようと思います。
市内に良いサイズのアマゴが泳ぐサミット開催都市というのも羨ましすぎますね。。。
コメントを頂き大変ありがとうございました。
想像以上に鱒の棲む川はカサブランカから遠く険しい道の彼方で、そこにたどり着くための情報もあやふやな断片的なものばかりと、とにかく足で稼いで行くしかない様です。
小田急線で二時間程度の早川が懐かしい、東部日光から車で1時間ちょっとの湯川も懐かしい、地の果てからの思いであります。
しかし、釣れなくても日本人がほぼ行ったことのない場所に行き地元のオジサン、子供達と言葉を交わすのも振り返れば愉しみの一つ。どこかに鱒が私を待っているものと信じて精進したいと思います。
と、ここまで書いてきましたが、鱒が確実に釣れる場所は既に目星がついております。しかしそこはダムに虹鱒が放されている管理釣り場的なところですので、もう少し先に取っておこうと思っております。
すごい情熱と体力をお持ちで、うらやましいほどです。釣りという行為は、振り返ってみると、どんな魚が釣れたかも大事ですが、すべての行程が記憶として刻まれて、良き思い出になりますね。
それと、海外で韓国車のシェアが伸びているんですね。一昔前、テレビなどの家電が、韓国、中国製に世界市場で奪われた悪夢の再来にならないことを願うばかりです。
ロンドン出張の翌日のハードワークで結果ゼロの悲しい結末になりました。カサブランカ・タンジェ間は338kmというものと292kmと二つのバージョンがあり、どっちか良くわかりませんが、Talamboteまで800km〜900kmの往復を日帰りでやるのはさすがに辛いものがあります。もう無理かも知れません。
欧州と北アフリカでは韓国車はかなりポピュラーです。現代車などは尖ったデザインでブイブイ言わせております(バブル期の言葉?)。20世紀の韓国車はブレーキが甘かったり細部の作り込みが粗かったりしたものですが、今はレベルが相当高く変な欧州車よりも良いと思います。