思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Oued Chorfa釣行(2023年5月6日)

2023-05-12 01:38:17 | アフリカ釣行記/Fishing Trips in Africa

5月6日(土)、モロッコは北のOued Chorfaへの釣行を決行致しました。
4月30日(日)のTalambote川での敗戦から一週間弱で同じモロッコ北部の観光名所シャウエン(Chefchauen)の近場の山岳地帯にある別の川ですが、地図をチェックした限り川に車でアプローチ出来そうなため選んだもの。但し、主要国道から脇道に逸れることとかなりの山岳地帯であることが不安の種です。

上の地図ではモロッコ北端と言って良いTangerから南東に向かい進むと緑色の文字で書いてあるOued Chorfaが見えます。今回目指すのはそこ。Tangerから160kmの距離、時間は3時間30分程度の運転です。

早朝のTanger駅。

前の週に車を借りたばかりのHertzのレンタカー営業所で今回充てがわれたのはDaciaの車。ダチアはルーマニアの車メーカー。チャウシェスク独裁政権時代よりルノーの古いモデルのライセンス生産を行っており、共産政権崩壊後はルノーが買収し、主にルノーの廉価版の車を作っております。

この車を走らせ川を目指したのですが、国道N2号線はシャウエンあたりまでは未だ良いのですがそれを超えると断崖絶壁の脇を這う細い道路に変わり、舗装も悪くアフリカ運転歴もある程度ある流石の私でも運転中に胃が持ち上がるような恐怖を感じます。

そして3時間超の運転の果てに辿り着いたのがOued Chorfaが流れる渓谷の入り口。遥か下に渓流が流れているのが見えました。

ダチアで川に向かい砂利道を進んで行きますが、もうこれ以上行くのは無理というガタガタで細い場所に来てしまいました。車の向きを切り返しを繰り返し何とか逆向きに変え、他の車の邪魔にならない所まで戻り駐車、そこから渓谷を足で降ります。

渓谷を目指しガタガタの細道を下るとそこにはトヨタのピックアップが止まっているではありませんか。悪路走破性に優れた日本の技術が生んだ名車。アフリカのみならず世界の途上国で戦車の代わりにロケットランチャーや機関銃を荷台に積んで使われている理由が良く分かります。

こんな思いをしてカサブランカからほぼ往復1,000kmの場所に辿り着いた私を待っていたのは人懐こい地元の少年達。
私が釣りを始めた橋の近くを上流からやって来て、多分、これから釣り場に連れて行ってやるからついて来い、というようなことをモロッコ方言アラビア語で言っております。その言葉には田舎の人の強制力を伴った純粋な善意があり、外国人にこの川を楽しんでもらいたいという感が伝わります。

もうこの時点で私は釣りを諦めているのですが、この川で少年たちが狙っているのは最大でも15cm程度のハヤの仲間。それを穂先もない竹の棒の先端にビニールをつけ、そのビニールの弾力を穂先替りにしてか、ナイロン糸を結び、噛み潰しに鉤を付け、餌は粘土の様な練り餌。

その仕掛けで川の水深のあるところを狙っていき、アタリを感じたら合せるというやり方で狙っていますが、中々釣れません。
その内、石と灌木をかき分けかき分け下流に降って行き、私はヘロヘロでもうこれ以上は行かないのでサヨナラというと、鉤をくれとのオネダリ。2020年に佐渡で使ったゼンマイ胴の毛鉤を少年達其々一つずつ与え、サヨナラしました。

左端に映るKenyaが物悲しさをそれとはなく伝えておりますが、この外国人が全く来ないど田舎で触れるモロッコの人々との交流が北アフリカの山岳地帯の景色と一緒に記憶に残る旅にはなりました。
それにしても、モロッコで鱒に会えるのは何時になることやら。。。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ここが正念場ですね。 (yugawaski)
2023-05-12 22:47:53
何とも珍しいクルマですね。
それはともかく、アングラーズガイドのケニアトラウトのページを眺めている分には、誰も釣り人がいない川でさぞかし凄いパラダイスが待っているものと思いきや、なかなか難しい世界なのですね。
私だったらとっくに釣りに行くこと自体を諦めてしまっているかもしれません。
これに比べたら、往復500キロでも高速主体の快適ドライブで天然のブルックが釣れてしまう極東の島国の釣り事情も捨てたものではないですね。
ここが正念場、我慢のしどきというところでしょうか。
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まだ修行の途半ば (budsek)
2023-05-13 18:39:49
yugawaski様
コメントを頂き大変ありがとうございました。
実は、この釣行の翌日、チュニジアに出張し疲労困憊で数日前戻ってまいりました。今日まで来客あり今週末は大人しく致しますが、鱒を見ることが出来るまで週末の苦行を出来る限り行おうかと思っております。
ケニアの川は多分釣りクラブが管理していたものであろうと想像致します。さもなくば地元民が釣ったりしてパラダイスは維持出来ないのではないでしょうか。
或いは、ライオンとかの猛獣が徘徊する故、鱒が手付かずだったりして。。。
日本も20世紀中はフィッシングプレッシャーも高く大変でしたが、今は大きな魚が放流されたり、繁殖したりと外国に負けない釣り場環境があるように思えます。オーストリアの渓流や山岳湖沼には負けますものの。。。
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お疲れさまでした その2 (nori)
2023-05-14 20:35:21
budsekさま

またまたお疲れさまでした。
往年のミュージカル「ラマンチャの男」の劇中で、英国の名優ピーター・オトゥール演じるドンキホーテが、名曲THE IMPOSSIBLE DREAMを絶唱するあのシーン、今も脳裏に焼き付いて忘れ得ません。

To dream the impossible dream, To fight the unbeatable foe,
To bear with unbearable sorrow, To run where the brave dare not go,
To right the unrightable wrong, To be better far than you are,
To try when your arms are too weary, To reach the unreachable star!
This is my quest to follow that star!

貴殿の行く末に幸多からんことを願います。

nori 拝
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The possible dream (budsek)
2023-05-15 00:52:57
nori様
コメントを頂き大変ありがとうございました。
ピーター・オトゥールというとアラビアのロレンスのイメージが強いのですが、ラマンチャの男も演じられていたのですね。
最南端に生息する天然の鱒を北アフリカのアトラス山脈に求める私の欣求の旅が、善意に溢れた子供たちが立ちはだかる渓流等の幾多の困難にめげず何時の日か実を結ぶことを祈念しつつ、疲れた体を列車とレンタカーに預け、冒険を続けたいと思います。
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魂の釣り (flyukulele)
2023-05-18 17:14:08
こんにちは。勇者さえ行かない場所で、腕が疲れても竿を振ってきたのには、頭が下がります。ユーチューブなどにある「大物入れ食い動画」などより、はるかに面白く、ほとんど井伏鱒二さんの世界です。地元の子供の、竹の棒に、穂先の替わりにビニールを使うというのも、ワイルドな発想で、これが馬の尻尾だと、日本の原始テンカラだったかもしれないですね。またの釣行記、楽しみにしています。
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むーん (budsek)
2023-05-19 03:21:00
flyukulele様
コメントを頂き大変ありがとうございました。
殆ど知らない国の全然知らない遥か彼方の田舎を体に鞭打って回っておりますが、未だ何の成果もなく、会社でしたら損失ミニマイズのため損切りしてもう二度とやるなと言われる企画です。ホント。
これがプロジェクトXのような展開を見せるのかどうかはもう一踏ん張り必要と思いますものの、損切りという理性との葛藤に悩むオジサンでございます。
しかし、穂先の替わりにビニールを使うという発想は必要は発明の母という感じで確かに面白かったですね。
引き続き頑張ります。
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