名南将棋大会ブログ 名古屋

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20170821今日の一手(その558);食らいつく感覚

2017-08-21 | 今日の一手

20170821今日の一手

7月8日の名南将棋大会から、HさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
仕掛けから見てみます。

角換わりの後手棒銀で、16歩と25歩を突いていなければ36歩37桂の形で、端攻めは48玉~29飛で受かる、というのが定跡です。16歩と25歩が甘いから端攻めで後手有利、とみて仕掛けました。
(よく見ると後手が42玉を1手多く指しているようで、先後逆なのか1手損しているのかもしれません。)
95同歩同銀同香同香92歩

92歩では94歩か97歩が良く見る手ですが、それでは少し悪いと変化しました。92同飛には83角があります。98香成に79金(省略すべきか)52金(としないほうが良かった)91歩成89成香同金26香同飛44角

25歩と突いているのは受けを考えたら悪い形です。26に香を捨てて両取り(先に44角で26香狙いもある)がありました。28飛77角成48玉86歩81と同飛45桂87歩成で問題図です。

☆ 形勢判断をします。
歩2枚と香の交換で(歩切れなのでカウントします)馬と と金を作られています。先手の駒損です。
玉の堅さはやや後手のほうが堅そうです。
先手の攻め駒は45桂と持ち駒角銀香香で5枚。歩がないので攻めにくいですが5枚あればよいでしょう。
後手の攻め駒は77馬と持ち駒銀桂で3枚。87と81飛はまだ先手玉に向かっていません。

総合すればやや後手有利です。

☆ 大局観として
駒損ですし、後手から78と で攻められるので、ゆっくりしているわけにはいきません。先手玉を固めておく手は考えないほうが良いでしょう。
駒得を狙うよりも後手玉を攻略したいのです。後手陣の弱点はどこでしょうか?

なお、先手玉は35桂(~27銀)の傷があります。守るなら36歩が有効な手ですが、78と でまずいです。この傷があるので腰掛銀(その前の47銀の形で攻められるのですが)は棒銀と相性が悪いです。先手腰掛銀後手棒銀ならば右玉を見て端攻めはやや無理で、74歩~75歩ならば攻め合いにできる、というのが常識になっています。


× 24歩は同歩で(24同銀もよくわかりませんが)

持ち駒の香を使って攻めたいわけで、香を渡すと歩切れなので25香を狙われます。この突き捨ては多分後からでも入りますし、今は突き捨てないほうが良さそうです。


× 実戦は33桂成と自然に攻めたようですが33同馬で

後手玉が堅くなってしまいました。72角86飛66香に62金

馬が守りについたので、強く角を取りに来られました。ここから51銀(勝負手)同玉63角成同金同香成42玉に22香

と勝負手を連発しましたが、31玉21香成同玉45桂22馬

馬の守りが強すぎて攻め切れませんでした。


× 馬を引かれないようにする工夫は66角

と合わせる手ですが、66同馬同歩35桂36銀77と79金87飛成

攻めが1手遅れるわけで、67と を見られて寄せ合い負けです。


× 66銀なら

馬を切られにくいですが、76馬79香77と

88香87歩77香54馬

守ったようでも88歩成がありますし、攻め駒が減ってしまいました。


○ 有力なのは56香と据えて

53の地点を狙う手です。これなら45桂も働きます。44銀に72銀

飛車を捨てられたら重い銀ですが、今なら飛車を逃げるしかないです。82飛(84飛86飛なども)61銀不成

と使えるのが良い感じです。金をかわすと71角があります。52金を取って53桂成からの殺到を狙います。

85飛とかわせば96角

86飛63角成同金同銀成78と同金同馬53香成

と角を切って攻めていけば寄り筋です。(31玉に24歩同歩23歩)

後手が銀を逃げず(53を守らず)に78となら

78同金同馬55香打41桂53香成

桂を打たせて清算するのが工夫したところで、53同桂同桂成同金同香成同玉45桂42玉53角

41玉に33桂不成同桂21銀

と寄せていきます。


○ 56香を打たずに72銀もあって

やはり82飛には61銀不成

と使います。

85飛には

前にやった96角もありますが、66香51桂61銀不成62金71角

という攻め方もあります。66香51桂を交換しているので馬を守りに使われないのです。
61金53角成41玉33桂不成同桂62銀52金56香

と食いついてしまえば勝ち筋です。


× 72角と打てば

82飛には83銀72飛同銀不成

飛を取れるのがメリットです。

ただし86飛などかわされると

61角成78と同金同馬56香

同じように迫るのですが、52馬がもったいない感じ(61銀で52銀成とするのとは違う)で、44銀62銀89飛成

馬を切る変化がないと攻めにくいのです。89飛成にはなにか駒を打って受ける必要があるわけで、これは後手有利です。


☆ まとめ
「終盤は駒の損得よりも速度」ということは(例外のほうが多そうですが)寄せ合いを考えるなら心がけておくほうが良いです。
攻めるなら多少の駒損でも食いついてしまえばよい、けれども攻め駒の数は気にしましょう。この問題では33桂成は駒得でも後手陣が堅くなって失敗です。後手から見ると33桂成とされるのは駒損だけれども33同馬で堅くなるからよし、と見ていたわけです。

5枚の攻め駒があったので、56香と据えて、53の地点で清算するのを決め手に寄せを組み立てます。清算すると攻め駒が1枚減りますが、まだ4枚あるので大丈夫です。
香から使うのは、持ち駒に香が2枚あるから+小さな駒から使う という2つの原則に合致しています。持ち駒が多い場合は複数ある駒を使うほうが後の選択肢が多いわけです。小さな駒から使えば渡した時の反撃が弱いですし、残った戦力もまだ強いわけです。

ということで56香が本線。72銀82飛61銀不成と再活用することを組み合わせます。また、56香を含みに72銀を先に打つのも成立しました。
変化によっては66香と打ち、77馬の利き筋を止める手も考えます。

72角と角から使うのは、飛車を捨てられにくいというメリットはあるのですが、この場合は逃げられた後に61角成がやや甘い(52馬と切ると戦力不足、数はあるけれど性能が悪い)感じで少し足りません。

そういう攻め筋を考え、組み合わせながら後手玉に食いついていく順を選びましょう。


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