名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(474); 四間飛車に棒銀

2017-03-30 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番米長先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和54年6月、勝浦修先生と第18期十段戦です。


大山先生は四間飛車ばかり。勝浦先生は棒銀です。

棒銀の対策はほとんど袖飛車です。つまり何度もこういう局面を見るわけですが、小さな違いがあり

勝浦先生は金を上がって手堅く受けました。

金2枚でしっかり受けたので、大山先生は左側に。

勝浦先生の2枚の金が形が悪いので、銀をぶつけてしまいました。勝浦先生は72飛と反撃を見た受けです。

金の位置を直してから45歩。これでさばき合いです。

飛車をまわるのは良い感じですが、この瞬間は金銀がまとまっているので後手玉のほうが堅く

馬取りに35歩で返されてしまいました。馬を取ると2枚換えになりそう。97角も遊んでいるので、大山先生ピンチです。

34歩から43歩を利かせ

25銀打、ごつい返し方です。

でも桂馬を取られては辛そう。

馬の存在が大きすぎます。

角を使い、歩を垂らし、形になってきましたが

結局金を逃げるのでは足りません。48銀が拠点になり

詰めろ。勝浦先生優勢です。

飛車をぶつけるのが決め手で

飛車の利きがそれると詰みがありました。

勝浦先生の快勝譜。大山先生の袖飛車は玉が薄いので他に真似をする人がいないのですが、本局はしっかり囲ったはず、が簡単に崩されてしまいました。さばき合いの方針がまずかったようです。勝浦先生の鋭い攻めが見事に決まりました。カミソリと呼ばれたシャープな攻めです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:勝浦修8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5二金(61)
13 2八玉(38)
14 5四歩(53)
15 6七銀(78)
16 7四歩(73)
17 3八銀(39)
18 4二銀(31)
19 4六歩(47)
20 8五歩(84)
21 7七角(88)
22 7三銀(62)
23 9六歩(97)
24 9四歩(93)
25 3六歩(37)
26 5三銀(42)
27 4七銀(38)
28 1四歩(13)
29 1六歩(17)
30 4二金(41)
31 3八飛(68)
32 4四歩(43)
33 3五歩(36)
34 同 歩(34)
35 同 飛(38)
36 3三金(42)
37 3九飛(35)
38 3四歩打
39 5八金(69)
40 7五歩(74)
41 3六銀(47)
42 4三金(52)
43 3八金(49)
44 7四銀(73)
45 7九飛(39)
46 7六歩(75)
47 同 銀(67)
48 7五歩打
49 6五銀(76)
50 7二飛(82)
51 4七金(58)
52 4二金(43)
53 7四銀(65)
54 同 飛(72)
55 8八角(77)
56 4三金(33)
57 9七角(88)
58 4五歩(44)
59 3七桂(29)
60 4六歩(45)
61 同 金(47)
62 6六角(22)
63 3三歩打
64 同 桂(21)
65 6九飛(79)
66 5七角成(66)
67 4七金(46)
68 3五歩(34)
69 3四歩打
70 同 金(43)
71 4三歩打
72 5二金(42)
73 2五銀打
74 3六歩(35)
75 3四銀(25)
76 3七歩成(36)
77 同 金(38)
78 3六歩打
79 同 金(47)
80 3五歩打
81 8八角(97)
82 4四歩打
83 3三銀成(34)
84 同 玉(32)
85 2五桂打
86 3二玉(33)
87 3四歩打
88 2一桂打
89 4六金(36)
90 4八銀打
91 4七金(46)
92 3九銀打
93 1八玉(28)
94 4七馬(57)
95 同 金(37)
96 2八銀打
97 1七角打
98 6四飛(74)
99 同 飛(69)
100 1七銀成(28)
101 同 玉(18)
102 2八銀(39)
103 投了
まで102手で後手の勝ち

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20170330今日の一手(その485);形勢判断の大切さ

2017-03-30 | 今日の一手
20170330今日の一手

3月5日の名南将棋大会から、SさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆形勢判断をします。
銀と角歩の交換です。後手に持ち歩があるので歩はカウントしませんし、竜を作られているものの、少し先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は77角と88角も数えてよいでしょう。終盤なので敵玉に迫っているものだけ数え、74銀は入れません。持ち駒飛桂と合わせて4枚あります。
後手の攻め駒は78竜と持ち駒銀で2枚。

総合すれば互角か、やや先手もちです。

☆ 大局観として
玉の堅さはかなり劣っているのですが、攻め駒が4枚あるので攻撃力が十分にあります。つまり、駒得で持久戦にもっていくというよりも、後手玉を攻略したい、と考えます。いきなりやるのは早いですが、33角成同桂同角成同玉という筋が含みです。そうなれば玉の堅さは同等、駒損でも攻め駒の数は4枚のままですから、攻めが続けばよいのです。
2手前は88の角が手持ちで後手89飛の形、後手の79飛成での77角取りに88角打78竜としたのが問題図ですが、角を打たされたのではなく、攻め駒を0手で配置できた、と考えます。33角成と行く前に何を指しておくか、という問題です。


○ 81飛は普通の手ですね。

余裕があるのなら大駒は敵陣に打ち込んでおくと後の攻めが楽になります。
後手は79銀では33角成同桂97角

で79銀が空振りです。

86歩同歩87歩

とするくらい。33角成同桂同角成同玉25桂打

25同歩同桂42玉33銀

駒損の攻めですが、攻め駒4枚はキープできています。ですからこの攻めは切れません。74の銀も働きそうですし、先手優勢。

といっても後手はあまり良い手がなくて、57銀と攻めても68歩

で銀を渡すだけです。


△ 61飛は51金引

があるので81飛よりわずかに劣るか。91飛成として悪いことはないのですが。81飛にも61歩同飛成51金引を考えるかもしれないところ(歩切れになるので後が困る)ですから、飛車は離して打ったほうが良さそうです。
71飛でもよいですが、角を渡して93角と打たれるかもしれません。ですから81飛のほうが少しよいのでしょう。
91飛成86歩同歩87歩に33角成同桂同角成同銀

という図は53桂と攻めるのでしょう。後手57銀からの寄せ合いは難しいです。最後の33角成は指し過ぎで、一回66角かもしれません。


○ 35歩は後手玉の小びんを攻める手で

この天守閣美濃の急所です。35同歩には34歩同玉46桂23玉34歩

33銀は動けないのですから、後手に受けがありません。

後手は35歩を手抜くしかないのですが、79銀は

33角成同桂同角成、同銀は21飛

があるので

最後の33角成を同玉と取って34歩

34同玉は46桂が入るので意味がなく(先手は桂馬が余っています)、22玉61飛42金寄33銀

と攻めていけば寄りです。

戻って35歩に57銀はやはり68歩

ですから、適当な手がありません。


△ 46桂と打っておくのは

力をためた手ですが、86歩同歩87歩に33角成同桂同角成同玉35歩

と攻めることになり、3つ前の図なら46桂と打たないで34歩と取り込んで攻められたのですから、1手遅いです。持ち駒の桂歩の数が多いので、先に46桂と据えておく効果が薄いのです。ただし形勢は先手有利。


× 73銀成(あるいは不成)は

桂馬を取る自然な手ですが、すでに持ち駒に桂があり、ここで1手かける意味は小さいです。すでに攻め駒は4枚あるので、5枚にする効果もほとんどないです。
86歩同歩87歩に33角成同桂同角成同玉35歩

とすれば形勢が悪いわけでもないのですが、持ち駒の桂が2枚でも3枚でも影響ないですね。


△ 実戦では58飛と合わせました。

58同竜同金上を期待した受けの手なのですが、67竜でもよくわかりません。
実戦では67銀78飛同銀成

となれば78成銀は遊ぶので、33角成同桂同角成同玉35歩

とすれば78成銀が78竜だったのですから先手の得でしょう。

あるいは角を切らずに35歩

としても、角1枚は残っているので、次の34歩が厳しいのですからこれも先手有利です。

実戦ではHさんは攻めることを考えなかったのでしょう、73銀不成

と桂を取り、88成銀同角78飛

ここで97角ならまだ指せました。79銀76飛成71飛46角

これが両取りです。玉の堅さが縮まらず、駒損を回復されて先手の負けになりました。


☆ まとめ
問題図で先手不利と思ってしまうと、駒得だからなにか受けて長期戦で頑張ろう、と考えることになりそうです。でもそれは2枚角を狙われて、次第に駒損になりやすく、玉の堅さも違うのですから、かなり苦しい展開です。
ちゃんと互いの攻め駒の数を数えましょう。先手の攻め駒は4枚、後手は2枚しかないのです。

33角成同桂同角成同玉の形を思い浮かべて、そこで何を指しておきたいか。
81飛が入っていれば、25桂打から攻められます。
35歩が入っていれば、34歩から攻められます。
ですからこの二つが最有力。

61飛は51金引があるので少しややこしく
46桂と置いておくのは、結局35歩なので少し遅いか。(46の地点を埋めておくという効果はある。)
73銀成は1手パスに近く
実戦の58飛(あるいは68飛も同じか)は得かどうか微妙です。

序盤で

後手は天守閣美濃から33銀と固めないですぐに攻めを考えた、というのは実戦例はかなり少ないはず。後手は4枚の金銀で囲ってはいるのですが、34の地点を攻められるともろいのです。理想は33銀~44歩~43金。さらには12玉~23銀~32金と固めるのは、34の地点を強化しているのです。
さらには26歩と突いてあれば25歩同歩24歩と攻める筋もあり、これが藤井システムの一部ですね。天守閣美濃は藤井システムで絶滅しました。とはいっても、みなさん忘れたころならうまくいくかもしれません。
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