名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(458);四間飛車に玉頭位取り

2017-03-14 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番米長先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和54年3月、第37期名人挑戦者リーグ(A級順位戦)のプレーオフです。この期は下から二上、大山、米長、森と4人が並んで、下から順番に勝ち抜いて(パラマス方式)挑戦者を決めます。最初が二上大山戦です。つまりここから3連勝が必要です。


大山先生の四間飛車に二上先生は玉頭位取り。珍しい選択です。

昨日と同じで、大山先生は石田流に組み

二上先生は57銀33桂を入れないで6筋の歩交換です。

二上先生は65の位も取るのですが、手数をかけていることになるので今は指さないほうが良さそうです。手が詰まってきてから指す手でしょう。

大山先生はやはり24歩から25歩の筋。

二上先生はおとなしく25歩を打たせて銀を出る、このほうが普通の対応なのです。(昨日は米長先生が意地を張っていたということ。)

二上先生は17桂から25桂を狙うのですが、これは3筋が薄くなるので指しすぎか。位取りの方針と合いません。

もちろん右で互角のやり取りなら位取りが大きくものをいうのですが

大山先生は桂交換から33桂も打ってしまい、と金を作ってやや有利。

あとは6筋を謝り

端も謝ります。米長先生が相手で無ければ我慢するのも平気です。これが二上先生相手にはとても有効で

と金を引き付け竜を作り

竜を引いて47金を誘い(二上先生は玉が薄いのを気にしないタイプ)

23歩にも焦らず と金を使います。

33の桂を取られるのは痛そうですが、とにかく と金を使います。

これで銀と交換になり

86桂には玉を引いて、まだ大山先生が少し良さそうです。二上先生としてはここで56馬としてまだまだだと思うのですが

38歩と壁を作り、55銀を打たせて馬を切って寄せに行く、自玉の薄さを気にしないで、斬り違えていく棋風なのです。

継桂で攻めていき

一手違いを目指します。

大山先生も66歩から19竜と香を取り寄せ合いに行きます。後手玉のほうが手厚くて有利に見えますね。

二上先生の攻めも強烈ですが

合駒に打った香の利きを生かす一瞬のチャンスがあり

投了図。

二上先生は大山先生とは将棋の相性が悪いのです。玉が薄くても動きたいのに、大山先生はじっと我慢してのってくれないので悪い条件でやっと斬り合いに持ち込める、という感じです。位取りの将棋があっていないのだろうと思います。後手をもってならべて、中盤の我慢や、終盤で相手にも指させてなにか狙っているという感じを学ぶところでしょう。相手の棋風を知って誘導している感じがします。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:二上達也9段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5八金(49)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5六歩(57)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6八銀(79)
18 7二銀(71)
19 7七銀(68)
20 4三銀(32)
21 7五歩(76)
22 3五歩(34)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 7六銀(77)
26 3二飛(42)
27 1六歩(17)
28 4二角(33)
29 2六飛(28)
30 3四飛(32)
31 6六歩(67)
32 6四歩(63)
33 6五歩(66)
34 同 歩(64)
35 同 銀(76)
36 5四歩(53)
37 7六銀(65)
38 3三桂(21)
39 5七銀(48)
40 5二金(41)
41 6五歩打
42 5三角(42)
43 6八金(69)
44 2四歩(23)
45 同 歩(25)
46 2五歩打
47 2八飛(26)
48 2四飛(34)
49 4六銀(57)
50 3四飛(24)
51 1七桂(29)
52 4五歩(44)
53 5七銀(46)
54 3六歩(35)
55 2五桂(17)
56 同 桂(33)
57 同 飛(28)
58 2四歩打
59 4五飛(25)
60 3三桂打
61 4六飛(45)
62 3七歩成(36)
63 5五歩(56)
64 3六と(37)
65 6六飛(46)
66 6三歩打
67 9五歩(96)
68 5五歩(54)
69 9四歩(95)
70 9二歩打
71 6七飛(66)
72 3五と(36)
73 5五角(88)
74 4五と(35)
75 6六角(55)
76 3八飛成(34)
77 4六歩(47)
78 4四と(45)
79 5六銀(57)
80 3五龍(38)
81 4七金(58)
82 3八龍(35)
83 2三歩打
84 6四歩(63)
85 同 歩(65)
86 5四と(44)
87 3七金(47)
88 2八龍(38)
89 3三角成(66)
90 6四と(54)
91 6六馬(33)
92 5四銀(43)
93 6五歩打
94 5五歩打
95 6四歩(65)
96 5六歩(55)
97 8六桂打
98 7一玉(82)
99 3八歩打
100 5五銀打
101 同 馬(66)
102 同 銀(54)
103 7四桂打
104 同 歩(73)
105 同 桂(86)
106 7三角打
107 5四歩打
108 6四角(53)
109 6五銀(76)
110 6六歩打
111 7七飛(67)
112 1九龍(28)
113 6四銀(65)
114 同 銀(55)
115 4四角打
116 6二香打
117 5三銀打
118 同 銀(64)
119 同 歩成(54)
120 6七銀打
121 8八玉(78)
122 6八銀(67)
123 6二と(53)
124 同 金(61)
125 6五香打
126 7七銀(68)
127 投了
まで126手で後手の勝ち

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20170314今日の一手(その477);本手と俗手

2017-03-14 | 今日の一手
20170314今日の一手

2月の東海団体リーグから、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
角と金の交換で先手の駒損です。
玉の堅さはわずかに先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は22飛45桂と持ち駒金で3枚。
後手の攻め駒は43角と持ち駒飛で2枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
実際には私が後手番で、三間飛車にされたので右4間、無理に動いて悪くして、右桂を使えたので持ち直したのかな、という感触。22飛と打ち込んで、32角打と粘られたところ。打たなければ53桂成がありました。
駒損ですが、攻め駒は3枚、44歩の拠点があるのでうまく攻めを続けられれば有利になる、というところです。

攻め駒を4枚にできれば優勢になりますが、その4枚目は難しいです。56銀が使えれば理想ですが今は動けないです。戦いながら相手の駒を取るのでしょう。
駒損ですから、基本的にはじっとしていると悪くなるはずです。なにか動く手を探します。


× 備えられたところですが、目につくのは43金です。

43同銀同歩成同角引に44銀

という継続手段があります。76角53桂成に58飛

と目の覚める手がありまして、これは頓死です。

まあ互いに対局中はわかっていなかったので、58飛ではなく87角成68玉53金同銀成

くらいの進行で、86馬~53馬では32飛成があるから、31金でやや後手が指せるのでしょう。
私はこの局面に自信がなく、嫌な感じがしていたので避けました。(飛び込んだら頓死筋を発見されていたかどうか。)


× 実戦では87角成を避けて、88銀76角の後で43金

と打ちました。でも43同銀同歩成同角引に44銀は74飛

があります。「両取り見えない病」ですが、44銀と打つ前に気が付きました。

仕方なく32飛成と角を取り

32同角22角に44歩

44歩の拠点を失ったのが大きく、11香を取って攻め駒を増やしたいのですが、45桂を取られては増えません。わかってはいるけれど、44同角成74飛77馬76金

で馬を取らせ、65銀打以下暴れては見たけれど、形勢が逆転することはありませんでした。


△ 感想戦で指摘されたのは65金。

そんなばかな、という手ですが、65同角同銀同角53桂成

があるのでないこともなく、53同金42飛成52金打41竜51歩

というのは桂損だけ、まだ指せないことはないです。


△ また、77桂76角65銀というのも指摘されました。

これも65同角引同桂同角53桂成

今度は後手が金を持っていないので、53同金とは取りにくいです。33銀打みたいな手もありますが、75桂86金(76銀を避けた)84飛

というのが攻め筋で、88銀86飛同歩87銀68玉88銀成

が78金以下の詰めろ。78歩と受けて76角34角56歩同角65銀

と攻めれば後手のほうが良さそう。(角か飛を受けに使わせないと52成桂が詰めろになります。)


○ でも前の二つは2枚換えで角を取るのですから気が引けます。66歩として

76角には65銀

(65歩もありそう)とするほうが筋が良いです。これなら駒損を回復して攻められそうです。

後手は66歩に31銀として32飛成同銀22角

というほうを選ぶのでしょう。これは形勢互角です。まだ長いですが、11香を取れば4枚目の攻め駒なので先手も十分に指せるはず。


○ 最後は32飛成とすぐに切る手。

32同角に16角

という自陣角が狙いです。対局中は53桂成の筋ばかり考えていたので気が付きませんでしたが。
62玉に52角成同玉43金

と強襲します。43同銀同歩成同玉には22金


後手は最後角で取って44銀に42金

と受けるほうが少し優るか。
43銀成同金32角31飛23角成

というのは互角です。

戻って16角に43歩が普通の受けなんですが

22金41角43歩成同銀31金

で角を取れます。

最後43同金でも31金52角44歩

と攻めることができます。


☆まとめ
43金と打ち込んで銀を剥がす、というのは俗手と呼ばれる種類の手です。守りの駒を剥がすのですが、拠点の歩を失うので少し損な取引なのです。俗手がうまくいくのは形勢が悪くないとき。最低でも形勢互角でない時にやってはいけません。

いきなり43金は嫌な気がしてやめたのですが、頓死筋がありました。

実戦では88銀76角を交換してから打ち込んだのですが、その後両取りの筋があって44銀が成立せず。

65金とか、77桂76角65銀、というのは強引な手で、俗手と言ってもよいかもしれません。2枚換え(自分が2枚指しだす方)で攻めるのはやりたくはないです。


66歩から65歩とか65銀とかを狙うのが本手。手数がかかるとか、強制できないとか、のマイナスはありますが、じっと進めて手がないでしょう、という感じが本筋を感じさせます。56の銀が働きだすという感触もよいです。

盤上の駒を活躍させるのが本手で、持ち駒を使って手っ取り早く攻めるのが俗手というのが区別でしょうか。また考えてみます。

他には角を取って16角というのがあって、44歩の拠点を最大限生かした手です。たまにこういう筋が成立することがあって、自陣角も考えてみるものですね。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする