名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(468);石田流に持久戦

2017-03-24 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和54年5月、大内延介先生と第20期王位戦です。


大内先生が三間飛車なので、大山先生は居飛車。

36歩を受けないのが大山先生好みですが。大内先生の早い動きです。

行きがかり上仕方ないとはいえ、大山先生は右金を前面に出していきます。

46金戦法、というわけではありませんが、近いです。抑え込もうとしています。

角を転回して35の地点に増援。

飛車はとりあえず押し込みました。

少し駒組みで

桂を交換しに行き

その一方で、48の銀を47~58と立て直します。緩急自在の指し回し。

大内先生が動きだしました。

大山先生はその動きを抑えつつ、銀を盛り上げていきます。

この両取りは微妙なところですが(56銀右が普通かも)

桂銀交換になれば一応成功。ただし後手の攻め駒が増えていきます。

大山先生は馬が好きです。

74桂で銀を取り返されますが、手厚く銀を打って

馬を引く。かなりうまくいった感じですが、大内先生の57銀が好打です。飛車を取ると56角の王手飛車の筋があります。

11馬に47角があり

飛車の取り合い。銀取りには銀取りで返し、とても良い勝負です。

この王手には歩ではなく香を合駒するのが好手で

大山先生が手番を得たわけです。

先ほどの62歩は手堅いのですが、壁ができてしまいました。端攻めが厳しいです。大内先生は46歩から92歩で謝るのでは気合が悪い、と角を打ち

66角成が攻防に見えるのですが、端攻めはかなり厳しく

シンプルに清算して迫っていけばよいようです。

攻め駒は十分あるので馬を逃げればまた剥がしていくだけ。

王手飛車がかかってしまうのが大内先生の泣き所です。

82飛まで決めて飛車を取ればよく

投了図。

臨機の対応策でしたが、大山先生の面白い指し方でした。こういう将棋は並べていて楽しいです。存分に指していますが、大内先生もうまくさばいて見ごたえのある応酬でした。
大内先生が39飛と打った位置、63歩と低く受けたところ、その二つを逆用する大山先生の端攻めがかなり厳しく、あっという間の終局でした。歩を入手して謝ったらまだまだでしょうね。そういうことをしないのが大内先生らしいところでもありますが。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:大内延介8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 3五歩(34)
5 5六歩(57)
6 3二飛(82)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 2六歩(27)
18 3六歩(35)
19 同 歩(37)
20 同 飛(32)
21 5七金(58)
22 3四飛(36)
23 6八銀(79)
24 1四歩(13)
25 4六金(57)
26 1三角(22)
27 6五歩(66)
28 3三桂(21)
29 6六角(88)
30 1五歩(14)
31 5七角(66)
32 4四歩(43)
33 3五歩打
34 1四飛(34)
35 3八飛(28)
36 4三銀(42)
37 7七桂(89)
38 5二金(41)
39 3六金(46)
40 3四歩打
41 6六角(57)
42 7二銀(71)
43 3四歩(35)
44 同 飛(14)
45 3五歩打
46 1四飛(34)
47 4六歩(47)
48 5四歩(53)
49 3七桂(29)
50 3一角(13)
51 2五桂(37)
52 3二歩打
53 4七銀(48)
54 5三角(31)
55 5八銀(47)
56 6四歩(63)
57 同 歩(65)
58 4五歩(44)
59 3三桂成(25)
60 同 歩(32)
61 5七銀(58)
62 5五歩(54)
63 同 歩(56)
64 6四角(53)
65 6七銀(68)
66 4四銀(43)
67 5六桂打
68 5五角(64)
69 4四桂(56)
70 6六角(55)
71 同 銀(57)
72 4四飛(14)
73 5五角打
74 5四飛(44)
75 3三角成(55)
76 7四桂打
77 6五銀打
78 6六桂(74)
79 同 馬(33)
80 5七銀打
81 1一馬(66)
82 4七角打
83 5四銀(65)
84 3八角成(47)
85 5八歩打
86 6六歩打
87 同 銀(67)
88 5六馬(38)
89 6七香打
90 6六銀成(57)
91 同 馬(11)
92 同 馬(56)
93 同 香(67)
94 3九飛打
95 5九桂打
96 6二歩打
97 9五歩(96)
98 4八角打
99 9四歩(95)
100 6六角成(48)
101 6七歩打
102 4八馬(66)
103 9三銀打
104 同 桂(81)
105 同 歩成(94)
106 同 香(91)
107 同 香成(99)
108 同 馬(48)
109 8五桂打
110 8四馬(93)
111 9三角打
112 同 馬(84)
113 同 桂成(85)
114 同 玉(82)
115 9九香打
116 9四歩打
117 8五桂(77)
118 8二玉(93)
119 9三角打
120 8一玉(82)
121 8二飛打
122 9一玉(81)
123 3九角成(93)
124 7七銀打
125 同 玉(78)
126 3三角打
127 6六馬(39)
128 投了
まで127手で先手の勝ち

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20170324今日の一手(その482);自然な手から考える

2017-03-24 | 今日の一手
20170324今日の一手

2014年8月の東海団体リーグから、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
飛桂と角金の交換で、損得はほぼありません。わずかに先手駒得というべきかもしれませんが、終盤なので重視しなくてもよいでしょう。
玉の堅さは先手のほうが少し堅いです。
先手の攻め駒は66角45金と持ち駒角で3枚。
後手の攻め駒は76銀84桂と持ち駒飛で3枚。

やや先手よしです。

☆ 大局観として
後手に攻められて大分苦しかったのですが、飛車を角で取ってもらったのですっきりして、先手玉が堅い分だけ有利です。76に銀を打たれて攻撃続行されたところです。

終盤ですから駒得を考えるのは方向違い。攻めながらあるいは受けながら駒得になるなら理想的ですが。
攻め合いにするには攻め駒が足りませんが、銀がぶつかっているのでもう一枚増えそう、ということで攻めるのもあります。
後手の攻め駒は3枚ですから、受けるのもありそうです。そのときは34金同銀とすると攻め駒を渡すことになりますから逆に注意が必要です。

つまり、攻めるのもあり、受けるのもあり、ただし互いの攻め駒の枚数(4枚にする、させない)に注意が必要です。できれば攻防の手を指すとわかりやすくなります。


○ 銀を打たれたところですから取る手からみてみます。76同銀には同桂

こういう時は下に逃げてはいけません。87玉(あるいは77玉)に88歩76玉89歩成

と進めるものです。が、34金に84桂と打たれてから

67玉34銀は厄介ですね。

手順前後していて、76玉の前に34金同銀として、76玉89歩成82飛

とするのが攻防の手で、84桂を防ぎつつ44角以下の攻めを見ています。これなら先手優勢です。


× 85歩同桂86歩

というのは怖い受け方で、後手の攻め駒が4枚になっています。87歩(これを取ると87同金同銀成同玉79飛が両取り)79玉29飛49歩

結構大丈夫そうなのですが、67銀成同銀19飛成85歩76香77桂打88銀

桂馬を一つ取っても香を補充されて攻められます。88同金同歩成同玉86銀78銀打28竜に84歩

もう一枚桂馬を取って後手の攻め駒は3枚。77香成同桂76桂79玉87歩89香12玉

で飛車取りを催促されると金を渡しづらく、金を逃げるしかないか。まだ難しいとはいえ後手に攻められるだけですから先手不利でしょう。


△ 受けるなら駒を打つ方が良く、98角

は変な位置ですが、後手から端攻めがないので打ちやすいです。87歩同金67銀成同銀29飛49歩

金銀の連結がなくなって薄いようでも、後手から攻める筋が少ないし、銀も受けに使えるので大丈夫そう。飛車を取って桂香を全部取り切れば勝ちです。


× 角を打って受けるなら58角の方が使えそうなのですが、87歩を取れないのです。

(取ると79飛が両取りになる。)79玉29飛49歩67銀成同銀88銀同金同歩成同玉26飛成

というのは先手玉が薄く見えます。これは自信なし。


○ 攻めるなら34金が駒得で自然です。

34同銀44角33金打53角成

というのが後手玉を固めさせてばからしく思えたのですが、金を使わせたので後手の攻撃力が増えていません。87歩には97玉が好手。95歩には76銀

で上が抜けています。つまり76同桂87玉29飛くらいで、強く41銀

と打てば、59飛成に32銀成同金77角の王手竜があり、先手優勢です。


59飛成ではなく42銀と受けたら、32銀成同金44馬33銀77馬

と馬を引き付けてからゆっくり攻めればよいです。

もっとも44角としないで82飛

と打つ方が攻防でわかりやすいかもしれません。87歩にはやはり97玉で、95歩には84飛成

です。44竜がとても厳しい攻めになっています。

95歩ではだめなので88金

としがみつかれたら、44角33桂53角成

が詰めろ。


× 33歩はひねった手で

形勢が良い時にはやらないほうが良いです。33同飛44金同銀同角87歩

は対応に困ります。


△ 実戦では61角

と攻防(のように)に打ちました。94角成とすれば受けきり、ということもありますが、34金同銀に同角成があるので、飛車を逃げてくださいという手です。97歩79玉(ここでも97玉が良かった)24飛

で飛車を逃がしたように見えるのですが、94角成以下受けるのではなく(26飛84馬67銀成同銀66飛同銀45歩でまずい)


94角成ではなく、25歩同飛44金

が狙いの手で、2枚の角が良く働いています。29飛成43金12玉49歩

で優勢。銀を得しましたし、後手玉はかなり受けにくいのです。(以下は31金32歩22金31銀という寄せです。)

ではそれでよいのかといえば、25歩に29飛

あるいは24飛の前でもよいのですが飛車打を先に決めておいて、49歩25飛行44金同銀25角成同飛成44角33金打53角成

というのはかなり大変です。この形、79玉ではなくて97玉ならまあまあという感じですが。


☆ まとめ
形勢有利なら自然な手が良いというのが基本です。
もし形勢が悪いなら不自然な手も考える、というのはあります。

相手のいいなりのようでも、76同銀同桂87玉と上に逃げだす順が自然な手の組み合わせです。

あるいは34金同銀と取るのも駒得ですから自然です。ただしその後は44角でもよくなりますが、82飛のほうが攻防でわかりやすいです。

取れるものを取らないで、98角と受けるとか、61角と打っておくとかは(これは取りに取りを重ねる手で、逃げられるとひどいことになりことも多い。ただし逃げる手を強制できるので好手になる場合もある。)ちょっとひねった感じです。

もっとひねると、飛車を逃がす33歩とか、85歩同桂86歩と攻めを呼び込むとかは疑問手です。

飛車を取ったら82飛が攻防になる、ということも意識しておくとよいです。84の桂を取る、(あるいはまた打たせない)というのが味がよいのです。84桂は先手玉の上部を押さえて、とても働いている攻め駒なのです。なお、一段目に81飛と打つよりは、後手玉をにらむ82飛のほうが攻めに働きやすいです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする