名南将棋大会ブログ 名古屋

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将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(456);石田流に矢倉引き角

2017-03-12 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和54年2月、大内延介先生と第37期名人挑戦者リーグです。

久しぶりにどちらが飛車を振るかというやり取りで、大内先生が三間飛車で石田流を目指します。

大山先生は66歩としているので持久戦のようですが、左美濃とか穴熊ではなく

玉頭位取りかと思えたのですが、矢倉で引き角です。石田流に対しては珍しい対策です。

大内先生は2筋の歩を交換し

3筋の歩も交換します。

大山先生は手損は気にせずじっくり歩を押し上げていきます。こういう指し方は大山先生だけでしょう。

2筋の歩も伸ばして攻めを誘います。大内先生が4筋から仕掛ければ大山先生は金を動員します。

飛車も使うのは振り飛車感覚でしょうか。

銀を2筋に繰り替えて

棒銀で使います。これは最近(2004、一昨年女流棋戦でもみました)でもみられた、石田崩しの棒金の代案、銀を使う構想です。阿部隆先生はこの棋譜を知って考えたのかなあ?

ゆっくりしていると端攻めで13の角を追われてしまうので、大内先生は攻撃続行あるのみ。36歩と突きだせば、大山先生は金で守ります。

37歩成同金46歩、これで45桂を狙うのですが

35歩同銀46金。これで大山先生は駒得になりそう。

飛車交換ですが、大山先生は銀を得しています。

大内先生は と金を使い、大山先生の43歩はそれに対抗して41飛から42歩成の意味。33銀成と桂を取っているのは遅いのですね。

大内先生は13角を使いたい、飛車を切って角を打ちます。

35角から58と、これで68と を防ぎにくいだろうと。

大山先生はここで角を取るのが良いタイミングで、馬を引かせます。

と金を作れば

手順に馬を守りに使われたようですが、大山先生は大きな駒得です。52馬が攻めに使えないのも大きいのです。

大内先生は左桂を加えれば攻め駒が4枚になりそうで、大山先生は受けきれるかどうか。

79金から馬を引き付けて

左桂を攻めに使われたようですが、69の銀を取れば

攻め駒は3枚。歩を使った攻めもないので、受けきれそうです。

大内先生は2枚換えで角を取って攻めるのですが、攻め駒は2枚に。

竜取りが目当てでしたか。でも竜を逃げれば99馬では88銀から馬を取られそうです。

結局29の桂を取るくらいの手ではどうしようもありません。あとは大山先生が寄せる番で、12飛から

62歩を逃げたので平凡に銀を打ち込んで

アマチュアのような攻めですが、自玉に怖いところがないので余裕です。

投了図。

大山先生の、見たことのない石田流対策でした。昔のひねり飛車、あるいは棒金戦法などで居飛車の玉が薄くて苦労することを思えば、金銀2枚の矢倉でもしっかりしているということなのでしょう。覚えておいて使ってみたくなります。
石田流から2筋や3筋の歩を交換しないときはどう指すのでしょう。あとで出てこないかなあ、と期待しておきます。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:大内延介8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 3五歩(34)
5 5六歩(57)
6 3二飛(82)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6七金(58)
18 6四歩(63)
19 2六歩(27)
20 7二銀(71)
21 2五歩(26)
22 3四飛(32)
23 6八銀(79)
24 3三桂(21)
25 7九角(88)
26 1四歩(13)
27 7七銀(68)
28 5二金(41)
29 8八玉(78)
30 1三角(22)
31 7八金(69)
32 2四歩(23)
33 同 歩(25)
34 同 飛(34)
35 2六歩打
36 3四飛(24)
37 4六歩(47)
38 3六歩(35)
39 同 歩(37)
40 同 飛(34)
41 3七歩打
42 3四飛(36)
43 4七銀(48)
44 4四歩(43)
45 3六歩(37)
46 4三銀(42)
47 2五歩(26)
48 4五歩(44)
49 5七金(67)
50 3五歩打
51 3八飛(28)
52 3六歩(35)
53 同 銀(47)
54 3五歩打
55 2七銀(36)
56 4四銀(43)
57 2六銀(27)
58 3六歩(35)
59 4七金(57)
60 3七歩成(36)
61 同 金(47)
62 4六歩(45)
63 3五歩打
64 同 銀(44)
65 4六金(37)
66 3七歩打
67 3五銀(26)
68 3八歩成(37)
69 3四銀(35)
70 4九飛打
71 3五歩打
72 4八と(38)
73 4三歩打
74 7九飛成(49)
75 同 金(78)
76 5七角打
77 3六金(46)
78 3五角(13)
79 7八金(79)
80 5八と(48)
81 4一飛打
82 6八と(58)
83 同 銀(77)
84 同 角成(57)
85 3五金(36)
86 同 馬(68)
87 4二歩成(43)
88 3四馬(35)
89 5二と(42)
90 同 馬(34)
91 1一飛成(41)
92 4五桂(33)
93 1三角打
94 6九銀打
95 6八金(78)
96 5八金打
97 7九金打
98 6八金(58)
99 同 角成(13)
100 5八金打
101 3五馬(68)
102 5七桂成(45)
103 6九金(79)
104 同 金(58)
105 5七馬(35)
106 7九銀打
107 同 馬(57)
108 同 金(69)
109 同 玉(88)
110 5七角打
111 6八香打
112 6七金打
113 7七銀打
114 6八金(67)
115 同 銀(77)
116 6六角成(57)
117 3一龍(11)
118 5六馬(66)
119 6七銀打
120 2九馬(56)
121 1二飛打
122 4二歩打
123 6二歩打
124 5一金(61)
125 6一銀打
126 同 銀(72)
127 同 歩成(62)
128 同 金(51)
129 6三金打
130 同 馬(52)
131 6一龍(31)
132 6二銀打
133 7五桂打
134 投了
まで133手で先手の勝ち

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20170312今日の一手(その476);互いに何手すきか考える

2017-03-12 | 今日の一手
20170312今日の一手

2月の東海団体リーグから、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の3歩得です。後手に持ち歩があるのでカウントせず、損得なしとします。
玉の堅さは(後手の攻め駒がないとすれば)同程度。
先手の攻め駒は57飛46角で2枚。45桂も加えるかどうか。3枚弱。
後手の攻め駒は69角1枚。79銀や85桂も加えてよいでしょう。ほぼ3枚。

総合すれば互角です。

何手で詰めろになるか数えてみると、
後手玉は53桂成~62成桂で詰めろ。現状3手すきです。
先手玉は96歩で詰めろ、ではないですね、わずかに詰まないので3手すきです。
つまり先手番なので寄せ合えば1手勝ち。まだ互いに攻め駒が4枚ではないので正確さは低いですが、先手有利です。


☆ 大局観として
後手は攻め駒3枚、もう一枚増やすために95歩と突いて、91香も攻め駒にしようとしたところです。その前の問題の続きで、79の銀を取ればこんな怖いことにはなっていなかったのですが、98玉しかないと勘違いして当然端攻めがやってきました。
対局中は寄せ合いで行けるとは少しも思っていなくて、どうやって受けるかだけ考えていました。何手で詰めろになるか、考えてみるものですね。互いに残り数分(30分切れ負けでした)の状況では難しいところではありますが。
受けるなら後手の攻め駒を減らすことです。69角か79銀か85桂か、もしかすると91香か、を取って受けることを考えます。


× 95同歩は

対局中はまったく考えていませんでしたが、一番素直な応手です。でもこれで91香は攻め駒にカウントできるので、後手の攻めが速くなる可能性があります。97歩同桂95香に88歩くらい。

96歩は同香なので効果なしです。97桂成同金86桂89玉97香成

必至がかかってしまいました。後手の攻め駒が4枚になると受けが無くなる、ということの確認です。


× 86歩は

85の桂を取ろうという意味。96歩85歩97歩成同桂96歩

78桂97歩成同金58角成

で詰めろ、ほぼ受けなし。と考えていたら


何のことはない、いきなり87角成で詰んでいます。


△ 実戦では56飛と浮いて

79の銀取りです。これを外せれば何とかなりそう、68歩にどうしようか、と考えていたのですが。
かまわず96歩79角97歩成同桂同桂成

と攻められました。金で取るのは負けでしょう、97同角85桂に96歩同香88玉97香成同香99角

まずいのですが、ここで私の残り時間3分切ったところ。後手は残り1分。79玉87角成68玉77桂成57玉

これは1分では詰まされないので一応勝ち。手順省略で、後手は詰めろが続かなくなって64桂

から寄せて勝ちました。

戻って後手は57玉の後、67成桂同金に55歩同飛44銀56飛55歩

と上から押さえつけていけば攻防になるので、持ち時間があれば勝ちです。

さて戻って56飛に68歩がどうか。

68同角に58角成同飛68銀成同飛79角

78飛96歩79飛97金同桂同歩成

これは取れず、89玉87とで先手の負け。

戻って79角に46角

で粘るしかないです。96歩にも88銀

と投入します。68角成同角69飛79角打97金同桂同歩成同銀同桂成同金同香成同玉

という感じ。後手有利ですがまだ長いです。

(68歩に53桂成以下の変化があるのですが、それは後で。)


× 69角取りに行くのは59金ですが

(後手は68歩もありますが、)36角成に47歩と受けるしかないのがつらいところ。96歩69金46馬同歩に68角

でも後手が良さそうですし、

68角を打たないで、97歩成同桂同桂成同金同香成同玉96歩同玉95歩87玉88金77玉85桂86玉68角

かなり長いのですが、要するに清算して追いかけて68角の筋でも寄りです。


○ 実は寄せ合いが有力で、53桂成

先手は攻め駒が少ないのでこれくらいしか攻める手はないのですが、53同金には82歩同金53飛成96歩79角

ついでに飛車が移動できるので79角の受けが生じる、攻防の手になるのです。桂馬を渡したのですが、先手玉に詰めろが続かないので優勢です。

後手は53桂成を取らずに96歩

しかないでしょう。62成桂97歩成同桂同桂成89玉

と逃げて先手玉が詰みません。後手玉は72成桂以下詰めろ。62同金左には51飛成61歩97香

が詰めろ、97同香成ともできませんから、94歩とか後手を引く受けしかなく、78桂で勝ち。



前の変化、実戦の56飛に68歩としたら53桂成

がどうか、というのをやってみます。
53同金同飛成96歩に51竜

この時に61歩が二歩になるので打てないのです。桂合いでは62竜を取りかえせません。

つまり53桂成は取れず。58角成です。

これを挨拶せずに、62成桂が詰めろ。同金右

としないと(62同金左だと)、51飛成で合駒請求されます。金桂を持っているので先手玉は簡単な詰めろ。
82飛71玉62飛成

62同玉73金51玉64角

が詰めろ逃れの詰めろ。58馬を取る余裕ができて先手優勢です。



☆ まとめ
相手の攻め駒が4枚に満たないうちなら受けられる可能性が高くなります。4枚の攻めは切れないという命題の裏ですね。
96歩と取り込まれる前に、85桂か79銀か69角を取りにして、96歩の時に取ってどうか。
それを考えるのですが、一番有力なのは56飛(飛車はどこでもよいのですが)として角で79銀を取る変化。79角が受けにも利くのです。

寄せ合いで勝てるとは全く考えていませんでしたが、攻めるなら53桂成で、62成桂が詰めろなんですね。持ち時間があればですが、何手で詰めろになるかは終盤になればいつも考えておくとよいです。できればもっと前に、余裕があるうちから考えておくというのがテクニックです。



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