名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(446);四間飛車に引き角から穴熊

2017-03-02 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番森先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和53年11月、有吉道夫先生と第28期王将戦です。


大山先生の四間飛車に

有吉先生は玉頭位取りか、というところで大山先生が位取りを拒否しました。

引き角になり

有吉先生は棒銀から穴熊に組み替えです。このころは居飛穴も結構見かけるようになりました。ブームはもう少しあとですが。

今なら57角~48銀~59銀~68銀と固めそうですが、有吉先生は銀冠に組み替えて

しばらく千日手模様でしたが、大山先生から動いてきなさいと歩を突きました。ここまですでに70手。

46歩33角77角42飛というやりとりで4筋の戦いに。ここで有吉先生は24歩同歩を入れたいのですが、24歩46歩23歩成44角は気になったか

35歩を先にしましたが、44角で35角を狙われ

36銀46歩に24歩、これは取るわけもなく

と金の作り合いでどちらが良いか。12と か32と の選択も悩ましいです。

32とから飛車を成って

22飛から飛交換、飛車を打ち合って

大山先生は竜を引き付けます。22角を取られないならまだまだ。

角は交換することになり

大山先生はずっと銀を取らないで飛車を封じます。

有吉先生もやっと銀を逃げて

24角で と金取りでしたが、これに59角成が不思議な手。と金は逃げるのが普通です。

86歩にも角を出るのがぴったりで、見落としかと思ったのですが

ここに両取りがあって、すっきりしていると見たんですね。

大山先生の駒得で、左桂が銀と交換できているのですから有利なはず。有吉先生は角を打ち

馬を作って頑張ります。とにかく玉を堅くするのが好きですね。

あとは右桂を使えれば勝負になりそう。

ところが馬が死ぬのをうっかり。

香を取っても両取りで返され

それでも銀を打って頑張ります。駒損でここに打つのは辛いのですが。

金を剥がして

88香も攻防の感じですが、大山先生は手堅いです。

大山先生は端に手を付けて

金打ちを強要して

端を再び攻めたところで投了図。178手、長い戦いでした。


大山先生の穴熊退治、駒得を急がないでじっと飛車を封じるとか、大事な と金を捨ててすっきり受けるとか、固めさせて端攻めだけで寄せるとか、いろいろ勉強になりますね。しっかり受けて寄せ合いにしませんでした。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:有吉道夫8段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4三銀(32)
9 7八玉(68)
10 4二飛(82)
11 5六歩(57)
12 6二玉(51)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 6八銀(79)
16 7二銀(71)
17 7七銀(68)
18 7四歩(73)
19 7九角(88)
20 3三角(22)
21 2五歩(26)
22 2二飛(42)
23 3六歩(37)
24 6四歩(63)
25 5八金(49)
26 5二金(41)
27 6六歩(67)
28 6三金(52)
29 6七金(58)
30 7一玉(62)
31 3七銀(48)
32 5一角(33)
33 8八玉(78)
34 8二玉(71)
35 7八金(69)
36 1四歩(13)
37 1六歩(17)
38 8四歩(83)
39 8六歩(87)
40 5四歩(53)
41 9八香(99)
42 8三銀(72)
43 9九玉(88)
44 7二金(61)
45 8八銀(77)
46 5二銀(43)
47 8七銀(88)
48 5三銀(52)
49 6八角(79)
50 7三角(51)
51 7七角(68)
52 1二香(11)
53 1八香(19)
54 5一角(73)
55 2六飛(28)
56 6二角(51)
57 2八飛(26)
58 7三角(62)
59 2七飛(28)
60 5一角(73)
61 4六銀(37)
62 3二飛(22)
63 6八角(77)
64 3一飛(32)
65 3七銀(46)
66 3二飛(31)
67 2八飛(27)
68 2二飛(32)
69 2六飛(28)
70 4五歩(44)
71 4六歩(47)
72 3三角(51)
73 7七角(68)
74 4二飛(22)
75 3五歩(36)
76 4四角(33)
77 3六銀(37)
78 4六歩(45)
79 2四歩(25)
80 4七歩成(46)
81 2三歩成(24)
82 4六と(47)
83 3二と(23)
84 同 飛(42)
85 2一飛成(26)
86 2二飛(32)
87 同 龍(21)
88 同 角(44)
89 2一飛打
90 2八飛打
91 3四歩(35)
92 2三飛成(28)
93 4四歩打
94 3二龍(23)
95 6一飛成(21)
96 4四角(22)
97 6五歩(66)
98 6二金(63)
99 4四角(77)
100 同 銀(53)
101 1一龍(61)
102 2一歩打
103 8五歩(86)
104 4八角打
105 2五銀(36)
106 8五歩(84)
107 2四角打
108 5九角成(48)
109 4六角(24)
110 8六歩(85)
111 6四角(46)
112 7三金(62)
113 8六角(64)
114 同 馬(59)
115 同 銀(87)
116 8五歩打
117 7七銀(86)
118 6九角打
119 6八金(67)
120 2五角成(69)
121 4五歩打
122 6七歩打
123 同 金(68)
124 5三銀(44)
125 3三角打
126 2三龍(32)
127 2六歩打
128 3四馬(25)
129 6六角成(33)
130 6四歩打
131 8四歩打
132 同 銀(83)
133 3五歩打
134 同 馬(34)
135 1七桂(29)
136 6五歩(64)
137 同 馬(66)
138 6四銀(53)
139 5四馬(65)
140 4三銀打
141 同 馬(54)
142 同 龍(23)
143 1二龍(11)
144 4五馬(35)
145 2一龍(12)
146 1八馬(45)
147 6五歩打
148 4八龍(43)
149 6八銀打
150 6五銀(64)
151 8三歩打
152 同 金(73)
153 6六歩打
154 5四銀(65)
155 6四桂打
156 6三銀(54)
157 7二桂成(64)
158 同 銀(63)
159 8八香打
160 6一歩打
161 2二龍(21)
162 4二歩打
163 2五桂(17)
164 9五歩(94)
165 同 歩(96)
166 9七歩打
167 同 香(98)
168 9六歩打
169 同 香(97)
170 6九角打
171 7九金打
172 3六角成(69)
173 3三龍(22)
174 9二香打
175 8七金(78)
176 9八歩打
177 同 玉(99)
178 9四歩打
179 投了
まで178手で後手の勝ち

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20170302今日の一手(その471);寄せのセオリー(9)

2017-03-02 | 今日の一手
20170302今日の一手

2月5日の名南将棋大会から、NさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答
少し前から。

四間飛車穴熊に左美濃の対抗で、銀冠に組まずに急戦になりました。飛角の交換の後、互いに飛車を打ち込んで桂馬を取り合い、先手のJさんが17香と逃げた(こうやって香を取るのを遅らせることが有効な場合もあります)ら84桂の手筋(控えの桂)。
68桂と受けても先手が十分ではないかとも思いましたが、Jさんは踏み込みよく84同角同歩83桂

と穴熊崩しです。83同銀71竜72金の時に75桂なら

決まっていたのですが、61竜と逃げて43角が攻防で難しくなりました。そこから72竜と切って(43角を打たせないですぐに72竜でもよかった)絡んでいって問題図です。

☆ 形勢判断をします。
飛角歩と金桂の交換で、成桂と竜を作りあっています。先手の駒損です。
玉の堅さは先手のほうがかなり堅いです。
先手の攻め駒は83金63成桂と持ち駒桂で3枚。
後手の攻め駒は29竜43角と持ち駒飛角金で5枚。十分です。

総合すれば2つ上回っているので後手有利か、といえばそうでもなく、終盤では駒の損得の評価が小さいので、形勢は互角。あるいは玉の堅さがかなり違うので先手有利、と判断してもよいです。

寄せ合いとみて、何手で詰めろになるか考えてみると、後手玉は73金で詰めろ。現状2手すき。先手玉は39飛~69飛成でも詰まないかもしれません。持ち駒や配置ですぐに変わってくるのですが、3手すき以上とりあえず4手すきです。
ですから先手が有利、と言えるのですが、こう判断できるのは互いの攻め駒が4枚以上あるときです。先手の攻め駒は3枚しかないので、後手が受けきれる可能性があり、寄せ合いにならないかもしれません。

☆ 大局観として
結局は後手玉を寄せられるかどうか、そこにかかっています。攻め駒が3枚ですが、後手の守備駒が少ないのでかなり受けにくいのです。
こういう時は持ち駒の金銀の枚数が重要でして、先手は持ち駒が桂馬しかなくてちょっと使いづらい。後手は金を1枚持っているのでまだ受けが利きそう、という条件もあり、かなり難しいのです。
パズルのように思って、読んでいくしかありません。こういう時には寄せのセオリーが指針になります。


○ いきなり詰むわけではないので、詰めろを考えましょう。後手玉に詰めろをかけるのは73金です。(これは寄せのセオリーで、2手で直接後手玉に迫ることになります。)

これは薄い詰めろ(すぐに防がれそう)に見えて指しにくいのです。82金なら83桂同金同金

問題図から互いの持ち駒の桂と金が交換になり(1歩もらいましたし)、先手は攻めやすくなり、後手は受けにくくなりました。具体的には72成桂が詰めろ。72の地点を受けても72金と打つ筋があり、後手は防戦困難です。

73金には同桂しかないのですが、それでも83桂

と打って銀を剥がします。(単に73同成桂では難しいところ。)82玉71桂成は取るしかなさそう、71同玉に62銀

こっちから打って桂馬を取り返します。81玉73銀成71金74桂12飛62桂成

桂馬を成桂にできれば寄せきれます。


× 72金も詰めろ。

でもこれは72同銀同成桂82金

となると、72成桂から迫るのよりも後手の持ち駒に金があるので劣ります。次の72成桂を参考に。


△ 普通は72成桂で

71の銀を取れば詰めろ。(2手かけて71の銀を取りに行った手ということになります。)
72同銀同金82金63銀12飛

持ち駒の桂を使うチャンスがなくて、難しいです。82金同玉62金

としておいて、まだこれからですがこの先が見えません。と言って後手も飛車を手放してしまったし、互いに難しいです。


△ あるいは73成桂も普通で、

次に74桂で詰めろ。(後手玉に3手かけて迫っている計算です。)73同桂同金82銀

83桂を打つチャンスがありませんでした。82同金しかなさそうで、同玉55桂54角66桂

ちょっと遠くから桂馬を打って成桂が作れるかどうか。先は長いです。


× 実戦は96桂

として、次に84桂が詰めろ。良さそうな手ですがやや遅いです。(これは寄せのセオリーで3手かけて後手玉に迫った、あるいは92香を2手かけて取りに行ったということになります。)
後手は85金と防いだのですが、84桂同金同金82歩

という図は先手が少し良さそう。

実戦では85金の受けに77桂と跳ねて76金

と進んだのですが、これは84桂で先手玉は詰まず、後手玉は詰めろで受けにくい、よって先手優勢でした。けれど先手のJさんは危険だとみて59金引としっかり受けたつもりが54角打

が詰めろになって、形勢逆転です。79玉から早逃げも効果がなく、詰めろ詰めろで追われて負けてしまいました。

では96桂85金77桂で先手優勢だったかといえばそうではなく、69竜

と切って、69同銀に76金が詰めろ。78銀に54角打も詰めろ。

飛車を渡しても構わないので、後手の勝ち筋だったのです。

もっと戻って96桂には82金

と受けるほうが普通ですね。82同金同玉で、それは84桂と跳ねても厳しくないので後手が有望です。なかなか詰めろになりません。

× 84金82歩85桂

として端を攻めるのも確実に見えます。(これも2手分かけて92の香を取りに行くことになります。)狙いは94歩同歩93歩。99香も働けば4枚目の攻め駒ですし、よい手にも見えますが。
83金と受けられて、同金同歩にどうするか。72金同銀同成桂82金63銀61金

85の桂を使えなくて切れ筋です。


この図まで戻って、94歩から端を攻めると、94同歩93歩同香同桂成同桂98香打84桂

攻め駒は増えそうだけれど、76桂を防ぐのは難しく、持ち駒の金を使うようでは望み薄です。

戻って73桂成から攻めても、73同桂同成桂84桂

で同じようなもの。
84の歩を取ってしまったので、桂を渡すと84桂がある、というのがまずいようです。


× 99香を使うには、94歩同歩同香

というのも考えられなくはないですが、94同香93歩に99角

これは先手玉が詰んでしまいます。


× 他には53成桂と遠回りしての角取りは44角

で取られてしまいますし


× 前の筋を避けて66銀と固めていると61角

で後手玉も堅くなっていきます。


☆ まとめ
考える手掛かりは寄せのセオリーです。

厳しい手から考えるので、

すぐに王手(92金や82金しかない)は無効。
73金や72金あるいは84金もそうですが、金を移動すれば83桂が王手です。この中で比較検討すれば73金が最善のようで、しっかり手が続きます。

92香を攻めるなら、
いきなり92金は無効、
94歩同歩同香は自玉が危ないです。持ち歩があれば端で工作できるところですが。
実戦は96桂~84桂と2手かけて香をねらいましたが、85金が怪しい受けでドラマがありました。82金と受けられたら84桂と跳ねる手がつまらないので、結局92香を攻める手はうまくいきません。

81桂を攻める、あるいは71銀を攻めるのは72金か72成桂です。
セオリーは小さい駒からで、その意味では72成桂ですが、成桂は銀に替わるので後手は受けにくくなるはず。でも先手は持ち駒の桂をうまく使えないのです。


このパズルを解くカギは持ち駒の桂をうまく使えるかどうか。攻め駒は3枚しかないので当然です。83金と63成桂だけでは攻めが切れてしまいます。
持ち駒の桂で71銀取りの手があればよく、それは73金から83桂でした。
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