淡彩スケッチ ひとりあそび

  へたはへたなりに 楽しんでいます    ( by satoyama )
  

薬師寺 東塔     [ 248]

2010-12-28 18:20:54 | 淡彩スケッチ
                       サイズ F4

                  薬師寺を訪れたのは、暮れも押し詰まった、風に風鐸の鳴る寒い日だった。
                  ニュースや天気予報が、第一級の寒波襲来を告げていた。
 
                  前回来た時は、創建時の西塔は消滅したまま、その場には古い心礎が半分土に
                 埋もれて残されていた。
                  この石の中ほどにあるかっては塔の心柱を受けていた窪みに雨水が溜まっていて、
                 東塔を眺め見るときに、水面に映る東塔の影も合わせ見ることができて、絶好の
                 撮影ポイントとして好かれていた。

                  薬師寺で、創建時の遺構を残しているのは東塔だけで、1300年を経ているこの
                 塔の保存、修理の為に、年明けから解体修理が行われ、10年程はお目にかかれない
                 そうである。
                  回廊で囲われた広いスペースの内に建つ、金堂、大講堂、西三重塔をはじめ
                 中門まで、既に改築されていて、それらは東塔の伝える白鳳時代の細部デイテール
                 に則っとっているものの、連子窓の青(あお)色、扉、柱の丹(に)色そして飾り
                 金物の金ピカと、華やいでいる。
                  その中で当の東塔だけが連子窓まで白壁に塗りつぶされたりしながらも懸命に
                 白鳳の姿を今に伝えてくれている。
                  今回の修理が、創建当初への復元改修になるのなら、10年後に逢う東塔は、
                 別人の顔をしていることだろう。

                  裳階(もこし)をつけ、緩やかな勾配の大きな屋根を持つ東塔のスケッチを
                 ほぼ終えて気がついたら、体を痛めるほどに冷え切っていて、吐き気までしていた。
                  やっと落ち着いたのは、西大寺駅まで戻って、熱い立ち食いそばにありついて
                 からであった。



                     目を通してくださりありがとうございました

                     日記@BlogRanking