今日、所用を済ませて近鉄奈良駅まで戻ってきたのが丁度3時だった。
相変わらず、このまま帰るのでは惜しいとの思いで、目の前に現れた
循環バスに乗り込み、それから行先を考えて、高畑近くで降りることにした。
ここには志賀直哉旧居、白毫寺そして国宝の本堂に国宝の仏像を祭る
有名寺院がある。
最初に志賀直哉旧居を訪れ、中はちょっと覗くだけにして、外部から
門のスケッチをした。周辺にはコーヒーをのんで休憩をしたくなる小粋な
店も点在し、平日なのに瀟洒な周辺家並みを楽しむグループも見受けられた。
次に某有名寺院へ行った。
仏像を拝観してから境内での萩などを入れたスケッチをしようと思って
いたのだが、調子を狂わせてしまった。
本堂に入ったが、札所めぐりの団体さん相手に、この寺の人がマイクを
使って長々と説明をしているのに出くわしたのにはまいった。
しかも、自分たちがお守りする信仰の対象を「作品」呼ばわりをしていた。
コーナーで売っている国宝仏像写真にも「ばら売り」、「品切れ」という
言葉遣いの添え書きをしている・・・・。ただの物売りかと思う。
情けない思いで外に出ると、訪問者が門のところまで来たものの、高額の
拝観料に、道中の散策だけで入門を諦めて引き返す人も居るのか、
「・・・・せっかく来られたのですから是非拝観されることをおすすめ
します」と書かれた看板が出ていた。見世物小屋の呼び込みでもあるまい
しと思う。
沢山の人の訪れる寺だから、境内の洗面所のたたずまいにも、せめて
もう少しなんとかされてはと、ご婦人方を気の毒に思う。
スケッチをする気も失せて、寺を後にしたが、思いがけず面白い風景に
出くわすことが出来て、そこで早速スケッチブックを広げることが出来た。
2枚のスケッチを終えたとき、もう日も暮れていて白毫寺までは行け
なかった。
3時間をかけて家の近くまで帰ってきたときに、暗がりを一歩一歩足を
引きずるようにして散歩をする年配の人を追い越した。
何処の誰かは知らなかったが、「こんばんは」と声を掛けたら、大きな声で
返事が返ってきた。
瞬間、お互いの心の通じる対話が成立した。 [006]
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