さるみみ屋

夫サボさん、私さるみみと2000年生まれ長男コナンくん
2004年産次男エナリくんとの「人生楽ありゃ苦もあるさ」日記。

「私に似た人」読了

2015-08-25 08:24:25 | さるみみ文庫2015
ひさびさの貫井徳郎。
最後に読んだのは「新月譚」だったはず。
デビュー作の「慟哭」はよかったけど「乱反射」も「新月譚」もちょっと…な感じ。
この本は、中京テレビで放送された「わがままな本棚」という番組の中で
オードリー若林が紹介していた本だったんだよね。
(ちなみにこれ、私はyou tubeで見たんだけど、北海道で放送しなかったんじゃないか)

このわがままな本棚、って番組自体あんまりテレビを見ない私にとっても
ものすごく面白かったいい番組だって思えるものだった。
若林と今をときめくピース又吉が進行役になって作家と対談しながら本を紹介する番組なんだけど
知っている作品に関しては「こういう見方をする人がいるんだ」って思ったりするし
知らない本が紹介されていると「へえ、読んでみよう」って気になったりで。
そう、その「わがままな本棚」の1回目の放送で紹介されてて、速攻図書館で予約。
すぐに来たわね。

本の帯にあるあらすじ…

小規模なテロが頻発するようになった日本。ひとつひとつの事件は単なる無差別殺人のようだが、
実行犯たちは一様に、自らの命をなげうって冷たい社会に抵抗する「レジスタント」と称していた。
彼らはいわゆる貧困層に属しており、職場や地域に居場所を見つけられないという共通点が見いだせるものの、
実社会における接点はなく、特定の組織が関与している形跡もなかった。いつしか人々は
犯行の方法が稚拙で計画性もなく、その規模も小さいことから、一連の事件を「小口テロ」と呼び始める…

その小口テロに関わる人たち、たとえばテロに巻き込まれて死んでしまった女性の元彼、
その実行犯、実行犯が派遣社員として働いていた工場の責任者の妻、
テロについて捜査している公安警察官など、さまざまな立場の人10人が出てくる短編作品。

序盤から中盤にかけては本当に面白くて、この作品はどこに着地するんだろう、
小口テロの「首謀者」というかそれを唆す人の存在が徐々に明らかになるなかで
それが誰なんだろうか、とかかなりワクワクしながら読んでたんだけど、
意外に最後はあっさりさくっと終わってしまった感じがあるかな。

まあそれはそれでいいのかもしれないけど、貧困とか格差をテーマにしているところが
結構ハードだなあ、って思ってただけに、なんとなく物足りなさもあったかも。
でも、テロを唆した人が複数いたり、それぞれのテロ実行犯とネット上での接点しかないところとか
そういうのがいかにも現代社会だよね~って感じでうすら寒さは残る。
そしてタイトルの「私に似た人」っていうのもミソで、たぶん私たちのように普通に生活している人と
紙一重の存在なんだろうな、ってことは思ったね。

それでもちょっと最後がね。
物足りなかった感じはある。
薬丸岳や葉真中顕作品の読み応えと比較すると「すっごくよかった~」ってところまでではないかも。

久々読書でしたわ。