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さるみみ屋

夫サボさん、私さるみみと2000年生まれ長男コナンくん
2004年産次男エナリくんとの「人生楽ありゃ苦もあるさ」日記。

「最後の秘境 東京藝大」読了

2019-05-05 16:03:52 | さるみみ文庫2019
本屋さんでちょっと気になるタイトルだったので手にとって少し立ち読みして
「これは面白そう…」となって買ったのがこの本。
実際に読んでみてなかなか面白かったわね。

東京芸大ってどんなところだろう、と高校生みたいな気持ちで読んだんだけど
芸大を知るきっかけとしては十分な1冊だったと思う。

芸大生の妻を持つ筆者が自分の妻に聞いた芸大の様子に「!」となり、
妻と一緒に大学内を見学したり、芸大の学祭に行って自分でみた内容が前半に語られて
途中からは通っている学生とのインタビューが載せられているので
前半部分とはちょっと違う作りになっていて、読み手としてはどっちか統一してほしいかな、
という気もしなくはなかった。
特にインタビュー部分は、人数をもう少し削って、その代わりすごく興味深い人の話を掘り下げて聞いたり
数年にわたってその様子を追いかけていく方が面白いんじゃないかな、という気はしたけれど、
実際にはさらりと終わっていたのがちょっと勿体無い。

芸大の不思議な話や面白いエピソードはとにかく驚きもあったし、苦笑せずにはいられないけれども
たぶんこの本に出てくるような人たちは、どこのカテゴリにもいて、
たぶん京大も東大に比べたらものすごく面白い人がたくさんいるだろうし、だから芸大だけが特別ということもないし
「最後の秘境」とまで大袈裟な話ではないと思う。

だけど、音楽や美術を志している人たちってあまり身近にはいないから
(それでも私が高校生のときはクラスに何人か美術系や音楽系に進んだ人もいたけれど)
しかもプロを目指している人とか、その人たちがそれまでどんなふうに生きてきて、どんなことを思いながら
生活しているのかとかそのあたりが全然知られていないこともあって、とても面白かったと思う。

芸大祭の様子がものすごく興味深くて、私も実際に行ってみたいな、という気持ちになったわ。
もっと芸大のことを知ってもらいたいという話も中にあったけれど(学長の話も含めて)
ほんとそう思う。東京に住んでいる間に行っておきたかったな、と思う。

うちには高校生の息子がいるわけだけれど、芸大志望ではないし、芸大行けそうなセンスもないし。
でも、美校目指すような子がいたら楽しいかもな〜とちょっと思ったりして(笑)

いずれにせよ、芸大ってこんなところなんだ〜と知るきっかけとしては最高に面白かった。

「感情の老化を防ぐ本」読了

2019-05-02 22:14:47 | さるみみ文庫2019
感情の老化ってどういうことなの?
どうすれば老化を食い止められるの?といったような問いに対して
非常にロジカルな本の展開で読みやすかったのは間違いない。

まあただ、この手の本はやはりこの手の本(意味不明だが)
いろんなアドバイスはいただけたんだけど、どこか昼のワイドショーとか
あさイチみたいな展開で、特に深い感慨はなく。。

悪い本だったというわけではない。
ただ、あえて読むまでもなくどこかで一度は聞いたことあるアドバイス、
というか雑誌とかで特集されているような内容だったな~とかそういうこと。

速攻でブックオフに売っても後悔はない、みたいな感じ。
令和最初の読了がこの本。
うーん、なんかそのことが気になる…


ほんと、全然悪い本ではなかったよ。
いえば言うほど言い訳みたいに聞こえるかもしれないけど、
悪い本ではなかった。「お値段以上」ではなかったと思うだけで。

明日から4連休なのでがっつり本読むぞ!


「蜜蜂と遠雷(下)」読了

2019-04-24 14:44:24 | さるみみ文庫2019
えらいスピードで下巻も読んでしまった。
風間塵の天然すぎ、小学生か?疑惑が変わることもなく
一気にコンクールの演奏曲を聴きながら読んでしまったわさ。

本当にコンクールの予選から本選までを一気に書ききったものだと驚き。
そのことだけで、まず恩田陸すごい、とか思ったわね。
音楽を文章にするすごさもそうだけど、下巻は上巻よりもさらに
そこに風景や街並み、人の息遣いを感じさせながらの表現が加わって
さらに深みを増していったと思う。

中心的な登場人物3人はいずれもすごい天才で「おいおいそうそういるかよ、ここまで天才」
とか思ったりしたけれど、風間塵は難しいにしても、他2人は本当にいるかもね、
というところなのかしらね。

いずれにせよ、とてもよかったと思う。
賛否両論あろうかとは思うけれど、読んでよかったと思う。
最終的にはコンクールの結果は番狂わせなどもなく順当ではあったけれど、
それぞれがそれぞれに成長を感じさせるほっこりした部分もあり、コンクールの厳しさ
音楽の世界の厳しさもあり、なかなかに面白かった。

あれ?ここで一気に読んでしまったがために、GW中に読む本が…
どうしよう…
というのが今の悩みどころ。

「蜜蜂と遠雷(上)」読了

2019-04-23 13:18:55 | さるみみ文庫2019
待望の文庫化だったけれど、そこまで待たなくてもハードカバーのときに
読めばよかったかな、なんてことを思ったりして。
だって結局上下巻で、1巻730円だったからね。

まあそれはいいとして、この上下巻を私は某書店でまとめて購入したのだけれど、
ずっと読みたくて待ち焦がれていて、ワクワクしながら帰宅してすぐに袋から出すと…
あれあれ??
「遠雷」「遠雷」…

なんと私は下巻を2冊買ってしまったのだった!!
ということで慌てて翌日、買った本屋へ持って行き、レシート見せて
「すいません、上巻と交換したいんですけど…」とか。結構恥ずかしい感じに。。

そうした紆余曲折(?)があって読んだこの本。
平野啓一郎の「マチネの終わりに」と同じように音楽がテーマなので
コンクールの課題曲をyoutubeで探して流しながら読む、という感じにしてみた。

登場人物の個性的な感じもよかったけれど、音楽を文字で読める、というところが
やっぱり素敵だと思った。我が家で愛読してるマンガ、BLUE GIANTも
プロのサックスプレーヤーを目指す宮本大の物語なんだけど、
音楽が絵になって読める、そこがすごいと思ってるのよね。

音楽を聴覚以外で表現するってなかなか難しいと思うんだけど、
蜜蜂と遠雷はそういう意味ですごく楽しかったし、コンクールになど出たことはないけれど
緊迫感が伝わるような書かれ方で、とてもよかった。ホントに3日くらいで読み終わったわよ。

ただ、ちょっと気になるのが、天才ということで出てくる「風間塵」くん。
16歳という設定なんだけれど、なんか一応天然扱いではあるものの、
ちょっと子どもっぽすぎないか?と思ったりもする。
この先の展開が楽しみですぐに読みたい気持ちもあるけれど、読み終わったらもったいない気もする。

だけど、あるピアノコンクールの予選から本選までという短い時間軸の中での話で
ここまでの厚さになってることにも改めて驚き。
ハードカバーの時って上下2段になってなかったっけ?「模倣犯」を思い出してた私。
さてさてこの先どうなるのか、下巻も楽しみ~

「ガーディアン」読了。

2019-04-15 21:28:49 | さるみみ文庫2019
薬丸岳作品。

これは、ハードカバーで出たときにサボさんと「どうするよ、買うか?」
と話していたのだけれど、最近の薬丸岳作品にちょっとした疑問符ついていた私たちは
結局文庫になるまで待とう、と結論を出して買わず仕舞い。

で、買った。

で、読んだ。

うーん。サボさんはまだ読んでないので話ができないんだけれど、
今まで少年犯罪とか社会問題に取り組んできた作者だけあって、今回の着眼点も
なかなか面白かったと思うんだけど、なんかね。

まず登場人物の数がめちゃくちゃ多い。
学校が舞台なんだから仕方ないとは思うけど、ハードだね、これ。
しかも途中で気が付いたんだけど、下の名前で書かれてる場面、苗字で書かれている場面と
同じ人物でも、語る側の視点によって違ってたのね!
秋葉先生側サイドからの視点では同じ人物を苗字で描写し、生徒同士の視点では名前なのね。
なんかめちゃくちゃ人物多くないか?って私は途中まで倍でカウントしてたから当然か!
まあ、それに気が付いたとしても人数が多いことに変わりないけれど。。

あと、中学校の中に存在する生徒が作る自警団、という話だったけれど、
中学生の割に大人並みの秘密保持力と犯罪でしょ、それ、みたいな裏工作とか
都合よすぎないか?つうか、そんな「中学生」いるのか?と思われるところが多すぎ。
宮部みゆきの「ソロモンの偽証」並みに不自然さがつきまとう。

テーマは本当に面白いと思うんだけどね。
荒れた学校が急に落ち着いた学校になったのはなぜか、そこには生徒が作る自警団が存在している、
それを教師たちは知らない、という設定ね。
でもその設定の面白さをあまり生かしきれていなかったとも思うのよね。

ちょっとピークオフ感あるかなあ、薬丸岳。。

「子育てで一番大切なこと」読了。

2019-03-06 22:40:50 | さるみみ文庫2019
これは間違いなく良書だった。
だが、タイトルが良くない。中身で語られていることとちょっとずれている。
このタイトルだと、子育て中のお母さんが読むのに適した本みたいに見えるけど
子育て中のお母さんが読んだら未来に不安を感じたりすると思うので全くお勧めしない。

児童福祉に携わっている人、幼児や児童の教育に携わっている人、児童精神科のお医者さん
(あ、ただお医者さんは耳が痛いかもしれないけれど)、児童精神科で働く人、あと官僚とか
そういう人を対象にした方がいいと思うような中身だね。
私も仕事的にこのテーマは大きく関わる部分なので、自分の日常に照らし合わせて
あれこれと感じることが多かった。この先生の著作の中で一番わかりやすくて
賛同できる部分の多かった1冊。


この本で現代日本の子供たちを取り巻く状況が広く知れ渡るといいな、と思うけれど
その子たちが大きくなったときの世界を考えると、
とにかく今何とかしなくちゃという怖さと、自分の無力さも感じずにはいられないけど
一人の人間にできることはさほど多くないと思いながらも
諦めずに目の前の課題をこなしていくことの大切さとか、
改めて明日も頑張ろうという気持ちになっただけでも、私自身はまだ大丈夫。

またどこかの断面で読み返したいと思う。

「向田理髪店」読了

2019-02-25 19:18:23 | さるみみ文庫2019
久々の奥田作品。最後に読んだのは何だったかな?ナオミとカナコだったかな?
あれは面白かったけど、奥田英朗のピークはやっぱり伊良部先生シリーズのあのときだったかと。

今回は北海道の元炭鉱町、おそらく夕張、赤平、芦別とかが混在している
架空の町「苫沢町」を舞台にした人間ドラマという感じね。
財政破たんした町。人口減少、高齢化など北海道のみならず全国の地方都市が抱える
同じような問題を取り上げながらも暗い感じにならず、温かい雰囲気なのはいいんだけど…

これは北海道に住む私たちが見るからそう思うのか、北海道の方言がべたべたすぎて
なんかめちゃくちゃ辛い。そこがどうしても気になってしまう。
じいさんばあさんでも、そこまで言わないでしょ…と思うような過剰反応文体。

それがあるだけで2割引きくらいになってしまう、というか本の世界へ深く潜ることを
妨げられてしまうのよね、これがまた。
気にならない人は気にならないかもしれないけど、なんか北海道を小馬鹿にされてる感じがして
なんとなくいやだったりして。

まあこれは奥田英朗のせいではないんだろうけど…

いや、奥田英朗のせいか。書いてる彼なんだから…

このくらいの分量と内容なら1日2日で読める程度にも関わらずことのほか時間かかっちゃって…

ちょっと違うもの読みたくなったわさ。


ほっこりするドラマ、そうね、それこそ重松清の作品が好きな人ならいいかも。

「院長選挙」読了

2019-01-20 00:03:37 | さるみみ文庫2019
初の作家さん。去年からの積読本だったので手を付けてみるが…
ちょっと想像していた感じではなかったかな。

奥田英朗の「インザプール」など一連の「伊良部先生シリーズ」に近いものと
想像して読み始めたのだけれど、全然違った。

登場人物の書き分けという点でもあまりできていたとは言えず。
登場人物の名前もふざけてるし。

ちょっと、いや、かなり読んだことを後悔してみた。

もうこれ以上は書きたくないわ~

「ある男」読了

2019-01-05 22:34:46 | さるみみ文庫2019
今年2冊目。

この物語は、主人公の弁護士「城戸」がかつて依頼人だった女性から「ある男」について
調べて欲しいという依頼をもらったことから始まる。
「ある男」とは女性の夫で、木の伐採中に事故死したのだが、ひょんなことから
彼が名乗っていた姓名と、語っていたその生い立ちは全く別の人物のものであったと知り
自分の夫は本当はどこの誰だったのか知りたい、という。

ちょうど少し前に、この本を地で行くような事件があったわよね。
死んだ妻が無戸籍者だったという事件ね。
そんなこともあって、結構ワクワクしながら読んだ。

いろんなテーマが盛り込まれていたと思う。
たとえば、人を好きになるときにその人の過去は重要なものなのか、
自分とはいったい何か、とか。
城戸が在日3世というのも、自分のルーツ、自分はいったい何者なのか深く考える過程で
ポイントになる部分だね。まあ物語の直接的な中身には全くないけれど。

本当に平野啓一郎は文章の心地よさがすごい。
表現がとてもきれいだし、物語の展開とかいろんなテーマのちりばめ方、
伏線の回収の仕方が素晴らしいと思う。
彼の「分人思想」もなかなかすごい思想だと思ったけれど、
今まで読んできた一つひとつの作品はどれもクオリティが高い!

今回の作品も期待を裏切らなかったと言える。
うちはサボさんが平野啓一郎の大ファンなので(ハルキストでもあるが)
今まで文庫で読んだものさえもハードカバーで買い直す計画も立てているくらいね。

それは関係ない話だが、とにかくいい本なので断然おすすめ。

「受験と進学の新常識」読了。

2019-01-02 20:39:01 | さるみみ文庫2019
なんか、新年最初の本がこれっていうのもちょっと味気ない感じなんだけど、
それは昨年から読んでてだらだら読み終わらなかったところをようやく読み終わったから、
というだけの話で、これを読もうと思って新年から読んでたわけではない。

変わりゆく中学受験や医学部入試、海外大学への進学についてなど
幅広く書かれていて必要なところだけピックアップして読んでもよかったんだけど
取りあえず一通り、過ぎてしまった中学受験や首都圏しか関係ないネタも読んでみた。

中学受験については地域も違うし年代も違うから状況は大きく変わっているわけだけれど
今二人目の高校受験を前にして思うのは、
反抗期が早めに来る場合は、高校受験でもいいと思うけれど
遅いと高校受験はかなり難儀かな~という感想。

でも子どもの反抗期がいつ来るかなんてわからないわけだし、結局はそれぞれのご家庭が
満足してればそれでいいと思う。

この本で一つ面白かったのが「思考コード」という世界標準の思考力の概念を取り入れて
首都圏中学模試センターが作成したものだったのよね。非常にこの表が興味深くて、
模試や本試の問題がどの思考レベルを子どもたちに求めているのかというところを
みるだけでなく、うちのコナンやエナリがどの思考レベルにあるのかとか
他にもちょっと自分なりに考えることがあって、参考になったし、たぶんこの先も
これは参考にできそうだな、という感じがあった。

子どもたちの受験というのはもう中間地点を越えて残り少なくなったわね。
自分の時代と子供たちの時代も大きく受験事情は当然ちがっていたけど、
コナンの時代と今の小学生ともまた違うんだよな~と痛感。
教育はすごいスピードで変わり続けているんだなあ。

そんな感じで見てた、以上。