A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

2007年7月11日18時53分

2007-07-11 22:29:03 | Weblog
虹について研究しよう。
そう考えたことがあった。
結局、さまざまな理由から、虹の研究は進めることができず今に至っている。

虹というのは、「現象」である。
見えるのに、見たいときには見えない。
そこにあるのに、雨や雪のように触れることはできない。
もちろん暑いとか寒いと感じることもない。
虹が見える場所の周辺にいたとしても、見る角度によっては見えないし、もっと近くで見ようと思っても、こちらが動けば虹は遠のいていく。
実に、虹は掴みきれない存在ではないか。

虹の現象学的存在を通して、美術作品を再考してみること。
そして、虹が描かれた、あるいは虹をテーマとした作品を参照することで、虹と美術(芸術)の関係を問いなおしてみること。
芸術は虹のようなものなのか。
物質と視覚現象としての「存在」について考えること。
それは、たしかにそこに見えながら、触れることもできない虹が「ある」ことについての不確かさだった。
存在の不確かさ。曖昧さ。
しかし、それは虹だけだろうか。

そんな思いから資料を集め、思考を虹へと向かわせていたとこだった。
私の思考は虹から一度離れざるをえなかった。
だが今日、偶然にも空が虹を見せてくれたことで、かつての思考の時間が召喚された。その不確かな記憶とともに。

最新の画像もっと見る

post a comment