A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記24 澁澤龍彦 幻想美術館

2007-05-07 23:10:22 | 書物
タイトル:澁澤龍彦 幻想美術館
監修・著者:巌谷國士
出版社:平凡社
発行日:2007年4月12日
内容:*同名の展覧会図録。
驚異の部屋、美とエロスの宇宙へ

7つの展示室-
マニエリスム、シュルレアリスム、江戸~昭和の日本美術、人形、童画、写真、ポスター、オブジェ‥‥‥
澁澤龍彦が熱愛し称賛した古今東西の美術家の傑作・異色作310点を一挙掲載!
精緻な解説に加え、特別企画★「名鑑 澁澤龍彦をめぐる260人」
(帯コピーより。)

購入日:2007年5月4日
購入店:埼玉県立近代美術館ミュージアムショップ
購入理由:
ここまで本を買ってるとほとほと生活に困るくらいなのだが、気がつくと買っている・・・。
残念ながら展覧会自体は、それほど満足のいくものではない。たしかに、私は澁澤龍彦に格別興味、関心があったわけではない。だが私とて、遺作となった「高丘親王航海記」の読書体験は数少ない甘美な思い出として残っている。だが、それは展覧会を見るということとは別の話だ。澁澤のようにマニエリスム、シュルレアリスムや幻想的魔術的作品に、興味がないわけでないが、残念ながらこの展覧会を見る限り興味は湧かないし、そういった事柄を知るには彼の著作を読んだ本がいいかもしれない。その理由のひとつは、出品されている作品が彼らの代表作ではないということ、日本人作家のシュルレアリスム的作品に私が嫌悪感を感じたことか。澁澤の著作では、取り上げている作品は当然代表作であったり、海外美術館所蔵の充実した時期の作品を取り上げているわけで、このような日本の美術館、画廊所蔵作品中心のセレクトでは、展覧会内容に限界があろう。
ではなぜ、それほど満足のいかなかった展覧会の図録を購入したかというと、やはり資料的価値の高いこの本に魅かれてしまったからかもしれない。この本を紐解けば澁澤の生涯が簡潔にわかるし、同時代を生きた芸術家、文学者、批評家との交流が資料によって浮き彫りになり、澁澤龍彦が生きた時代が、その時代を知らない私には生き生きと感じることができたことが大きい。つまり、「澁澤龍彦」とはなんだったのか?それを僅かながら感じることができる書物なのだ。
なお、この書物(美術館)を通してバルテュス、ルドン、ハンス・ベルメールにあらためて驚き、澁澤が晩年興味を持っていたという酒井抱一、伊藤若冲ら日本美術への関心には興味を魅かれた。彼の著作は膨大にあるため、彼のよい読者とは言えない私にはまだまだ読まなければならない本がたくさん残っている。


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