「いい小説が売れない、それは読者の質が落ちたからだっていうけれど、人間の知性の質っていうのはそんな簡単に落ちないですよ。ただ時代時代によって方向が分散するだけなんです。この時代の人はみんなばかだったけど、この時代の人はみんな賢かったとか、そんなことはあるわけがないんだもん。知性の質の総量っていうのは同じなんですよ。それがいろんなところに振り分けられるんだけど、今は小説のほうにたまたま来ないというだけの話で、じゃあ水路を造って、来させればいいんだよね。」
柴田元幸編訳『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』アルク、2004年、274-5頁。
内田樹『街場のメディア論』光文社(光文社新書)、2010年、126-127頁。
孫引きで恐縮だが、傾聴に値する発言である。内田はこう書く「「読者は消費者である。それゆえ、できるだけ安く、できるだけ口当たりが良く、できるだけ知的負荷が少なく、刺激の多い娯楽を求めている」という読者を見下した設定そのものが今日の出版危機の本質的な原因ではないかと僕は思っています。」
これは美術界でも同様だろう。
たしかに、大衆的なものに耳目が集まるのは現実である。だが、それでも作品や展示の質の成否を読者や鑑賞者に転嫁してはならないと思う。読者や鑑賞者を信頼すること。これは大衆を生んだ近代以降、もっとも難しいことかもしれない。
柴田元幸編訳『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』アルク、2004年、274-5頁。
内田樹『街場のメディア論』光文社(光文社新書)、2010年、126-127頁。
孫引きで恐縮だが、傾聴に値する発言である。内田はこう書く「「読者は消費者である。それゆえ、できるだけ安く、できるだけ口当たりが良く、できるだけ知的負荷が少なく、刺激の多い娯楽を求めている」という読者を見下した設定そのものが今日の出版危機の本質的な原因ではないかと僕は思っています。」
これは美術界でも同様だろう。
たしかに、大衆的なものに耳目が集まるのは現実である。だが、それでも作品や展示の質の成否を読者や鑑賞者に転嫁してはならないと思う。読者や鑑賞者を信頼すること。これは大衆を生んだ近代以降、もっとも難しいことかもしれない。
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