A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記186 「芸術の意味」

2008-05-11 22:35:12 | 書物
タイトル:芸術の意味
著者:ハーバート・リード 滝口修造訳
カバー写真:ヘンリー・ムーア作
発行:みすず書房
発行日:1992年12月10日(新装初版1990年7月10日)
内容:
矛盾と対立とにみちたモダン・アートの意義を理解するうえに、感受性に貫かれたハーバート・リードの評論活動は独自な普遍性と影響力をもっている。本質的にロマン主義者のリードはシュルレアリスムの運動に積極的に接近し、また一方では構成主義のなかに究極の美の現われを認め、またインダストリアル・デザインと機能的美学を推進するかたわら新しい美術教育の理論を展開したのであった。
 「芸術の意味」は著者の最初の造形芸術論といってよいもので、1931年にロンドンのフェーバー&フェーバー社から刊行された。詩人として出発したリードは第一次世界大戦に出征し、1918年に帰還すると、その翌年に大蔵省に就職して1922年まで勤務した。そののちヴィクトリア・アンド・アルバート美術館に転職、陶器とステンドグラスの部門を扱うことになった。陶器のような地味で自意識の少ない芸術は、絵画の傑作よりも時代をよく代表していること、しかもこうした限られた一分野の綿密な研究は却って芸術全体を把握するのに理想的な方法であることを悟った、とリードは述懐している。こうしてBBCの週刊誌「リスナー」に連載しはじめた造形芸術論が、この「芸術の意味」であった。
 この邦訳は1957年の初刷いらい、多くの版を重ねて、美術史をまなぶ人の必読書となった。芸術が生活の大きな重要部分となった現在、美術史の流れ全体をみわたし、かつ一貫した詩人の魂による解明は、たえず人間の原点を指し示している点で、何人にもよい伴侶となるであろう。
(本書カバー裏解説より)

B6判 タテ182mm×ヨコ128mm/216頁

購入日:2008年4月29日
購入店:飯島書店(東京都目黒区鷹番)
購入理由:
仕事場の上司が参考文献として某大学のシラバスにあげていた1冊。その人とは親以上に年が離れているにも関わらず、不思議と芸術の趣味が合う。まだ読んだことのないのリードのこの本もその上司の選んだ本であれば読んでみようかな、と思った。大学のシラバスで教科書や参考文献として挙げられている本を、担当教授のオススメ本として読むような人はいないのだろうが、私はそう解釈してしまう。学生時代も自分が教わる教員の本は調べてほとんど読んだし、教科書や参考文献に指定されている本は(よほどつまらない本以外は)ほとんど読んでみた。よく部屋の書棚を見ればその人のことがわかるというが、そんなことでわかってたまるかとは思うが、ある面では当たっているとも思う。この世の中に膨大に存在する書籍の中から、何を選び購入するかに読み手の「趣味」が自ずと出てしまうのであろう。つまり、今回の「購入理由」にあてはめると、膨大にある書籍の中から何を教科書・参考文献として指定するかというところに私は「趣味」を読み取ってしまうのだ。

そんなわけで読もうと思いながらも熱心に探していたわけでもないのに、あっさり古本屋で見つけ購入した。内容はハーバート・リード版美学/美術史事典という構成で、全3部90項目にわたり項目別に書かれている。「芸術の意味」とは、私もいまだに知らないのでここでおさらいしてみるものいいかもしれない。なお、ハーバート・リードでもう一冊『彫刻とは何か』(新装社)という本も読みたくて探している。こちらは残念ながらなかなか見つからない。



最新の画像もっと見る

post a comment