A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記586 「リアリティとの戯れ」

2012-03-12 23:39:04 | 書物
タイトル:リアリティとの戯れ -Figurative Paintings-:大阪芸術大学グループ美の冒険者たち なんばパークスアートプログラムvol.8
監修:谷悟、山中俊広
アートディレクション&デザイン:古島佑起(ことばとデザイン
発行:大阪芸術大学
発行日:2012年3月1日
形態:6p ; 30cm
注記:展覧会カタログ、会期・会場:2012年3月23日(金)―4月1日(日)なんばパークス7F
   パークスホール 出品作家:苅谷昌江、小橋陽介、町田夏生、坂本真澄、田岡和也、中嶋寿挙、小松原智史
内容:
「ごあいさつ」谷悟(大阪芸術大学 芸術計画学科 准教授)
「当展趣旨」山中俊広(「リアリティとの戯れ -Figurative Paintings-」展キュレーター)
図版
作家略歴
関連企画

頂いた日:2012年3月忘日
 主催者様より郵送で頂いた1冊。どうもありがとうございます。
 本書は、インディペンデント・キュレーター山中俊広氏のキュレーションによる大阪芸術大学卒業生の展覧会リーフレット。出品作家を見て、この人も大芸だったのかと意外に思う。その理由は、アーティストの質の高さの表われだろう。つまり大学を卒業して、自身の仕事や世界観を確立しているアーティストに大学名など重視されないからだ。本展は、大阪芸大の広報も兼ねた展覧会だとは思うが、逆説的に言えばアーティストは大学名などに惑わされず自分の制作をしている。

 ところで、この企画が「インディペンデント・キュレーター」によるものであることに心から敬意を払いたいと思う。ひと昔前はインディーロック、インディーズ音楽、自主映画(インディペンデント映画)、インディ・ジョーンズ(これは違うか・・)など、「インディペンデント」であることがポリシーや生き方を示していた。だが、近年は商業主義が蔓延し、インディペンデントの存在や意義が薄らいではいないだろうか。ウェブ2.0やSNSなど個人が情報やメッセージを発信する時代では、インディペンデントなどと主張するほどのこともないのかもしれない。
 だが、インディペンデントであることは、既成の価値観や思考ではできないことができる自由と可能性があったはずである。だからこそ、組織には属さず、インディペンデントであることを選んだミュージシャンや映画監督がいた。
 今展の企画は大阪芸大の看板を掲げてはいるが、大学の意に沿うような展示内容とも思われない。性器をモチーフにしたり、グロテスクな描写やイメージを与える作品もある。つまり、反骨精神のあるインディペンデントスピリットが見え隠れするのだ。それは、インディペンデント・キュレーターの仕事だからこそ見えてきた現場の熱さだった。

 余談だが、美術業界の職種は、作家、職人など作り手の仕事は多いが、学芸員・キュレーターなどサポートやファシリテートする裏側の職種はまだまだ少ない。就活や転職に困るくらい、いろんな職種がもっともっと増えればいい。


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