A PIECE OF FUTURE

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未読日記1348 『アルテ・ポーヴェラ』

2017-09-04 23:17:26 | 書物
タイトル:アルテ・ポーヴェラ:戦後イタリアにおける芸術・生・政治
タイトル別名:Arte Povera
著者:池野絢子
装丁:大西正一
発行:東京 : 慶應義塾大学出版会
発行日:2016.3
形態:320, 49p, 図版 [8] p ; 22cm
注記:2014年に京都大学大学院人間・環境学研究科に提出した博士論文を加筆修正したもの
   参考文献: 巻末p16-32
   関連年表1962-72年: 巻末p33-40
   関連展覧会出展作品リスト・主要著作目次: 巻末p41-49
内容:
「貧しい芸術」を意味する「アルテ・ポーヴェラ」は、経済成長のいちじるしい、一九六〇年代末のイタリアに興った芸術運動であり、一群の芸術家たちのゆるやかな結びつきを指す。新聞紙や布きれ、木材、鉄、石などの日常的で粗末な素材を好んで用い、作品そのものよりも、コンセプトや制作プロセスを重視した彼らにとって「貧しさ」とは何を意味したのだろうか?ミケランジェロ・ピストレット、ジュリオ・パオリーニ、ヤニス・クネリス、ジュゼッペ・ペネーノ、アリギエロ・ボエッティ、ピーノ・パスカーリなどの作品を徹底調査し、イタリア前衛芸術運動「アルテ・ポーヴェラ」の全貌を明らかにする意欲作。

目次

序論
 
第一章 否定の力 ―― 芸術、テクノロジー、マスメディア
 1 アルテ・ポーヴェラの誕生
 2 ジェルマーノ・チェラントの批評戦略
 3 マスメディアとイメージ
 4 「あべこべの反映」 ―― ミケランジェロ・ピストレット「鏡絵画」におけるスペクタクルの両義性
  
第二章 トリノの地政学
 1 ブリコラージュ ―― 素材と行為
 2 居住空間と都市空間
 3 デポジト・ダルテ・プレゼンテ
 4 「同逸名」 ―― アリギエロ・ボエッティによる地図製作の方法

第三章 実践のパラダイム
 1 作用=行為
 2 言説のポリティクス
 3 ポイエーシスとプラクシス
 4 イメージの「作者たち」 ―― ジュリオ・パオリーニの初期作品をめぐって

第四章 前衛以後の古典主義 ―― 1970年代の転回
 1 アルテ・ポーヴェラ以後
 2 破壊される石膏像 ―― ヤニス・クネリスにおける「イコノクラスム」
 3 反復する石膏像 ―― ジュリオ・パオリーニと「シミュラークル」
 4 石膏像と古典主義 ―― ジョルジョ・デ・キリコと形而上絵画の系譜

第五章 更新されるアルテ・ポーヴェラ ―― 1980年以降の受容
 1 「ノット・アート」 ―― 歴史化と再解釈
 2 ミュージアムの論理
 3 再制作 / 再構築(不)可能性
 4 歴史的庭園と「開かれた修復」 ―― ジュゼッペ・ペノーネ《流形彫刻の庭園》

結論


あとがき
関連展覧会出展作品リスト・主要著作目次
関連年表 1962―72年
参考文献
図版リスト
人名索引

購入日:2017年9月4日
購入店:ブックオフオンライン
購入理由:
 田中真吾展「Expect The Unexpected」(eN arts)レビューの参考文献として購入。
 田中真吾作品をアルテ・ポーヴェラと比較・分析するにあたって、80年代に刊行された『アール・ヴィヴァン』は購入したが、最新の知見を得たいと思ったところ、近年に刊行された本書を思い出す。少々文章が硬く、生真面目さを感じるが、丁寧な記述・分析は参考になる。



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