A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

Recording Words 091 餃子

2011-07-28 23:49:27 | ことば
山系君が駅のホームで買い集めて来た物を、あれこれと蓋を開けている。
「貴君はそんなに食うつもりか」
「食べます」
「それは何だ、一寸見せなさい」
「先生食べますか」
「食べなくていいけれど、見たい」
「これは弁当です」
「それは」
「これは餃子です」
「餃子とは何だ」
「餃子を知らないのですか」
「岡山の新名物か」
「そうじゃありません。東京にだって、どこにだってあります」
「一体何なのだ、山羊の糞みたいじゃないか」
「山羊はこんな糞をしますか」
「僕は見た事がないから知らないけれど」
「要するに焼売は南京風で、餃子は北支の、ざっとそう云ったところです」
「いやに明快だな」
「僕は好きなのです。一ついかがです」
「食べたくはないが、おかしな物を食うね貴君は」
「いいです、戴きます」

(内田百『第三阿房列車 (新潮文庫)』、新潮文庫、2004年、pp.212-213)

今日、餃子を食べたので思い出した一節。
百先生と山系君のやりとりがひたすらおかしい。