A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記405 「時の宙づり―生・写真・死」

2010-05-28 23:59:40 | 書物
タイトル:時の宙づりー生・写真・死 (SUSPENDING TIME: LifeーPhotographyーDeath))
編集:森陽子(IZU PHOTO MUSEUM)
翻訳:甲斐義明、ジャン・ユンカーマン、ギャビン・フルー
ブックデザイン:林琢真(Deco design)
発行:IZU PHOTO MUSEUM
発行日:2010年4月6日
価格:3200円(税別)
内容:
IZU PHOTO MUSEUM「時の宙づり―生と死のあわいで」展(2010年4月3日―8月20日)に関連し刊行された書籍。

ごあいさつ
Director’s Foreword
「生と死」ジェフリー・バッチェン(「時の宙づり―生と死のあわいで」展ゲスト・キュレーター・写真史家・ニューヨーク市立大学教授)
“Life and Death” Geoffrey Batchen
「スナップ写真の影」甲斐義明(「時の宙づり―生と死のあわいで」展アシスタント・キュレーター)
“The Shadows of Snapshots” Yoshiaki Kai
「生と死・公と死・東洋と西洋のあわいで」小原真史(IZU PHOTO MUSEUM研究員・映像作家)
“Between Life and Death, Public and Private, East and West” Masashi Kohara
謝辞
Acknowledgements
作品所蔵者リスト
List of Lenders
図版写真
Illustration Credits
(本書目次より)

購入日:2010年5月4日
購入店:IZU PHOTO MUSEUM
購入理由:
本年度上半期で見た展覧会の中では最重要と言っても間違いない展覧会の1つ。なぜなら、本展は近年の写真論を語る上では欠かすことのできない「ヴァナキュラー(ある土地に固有の)写真」についての展覧会なのである。アマチュアの手による「影」の写真や写真黎明期に生まれたキャビネット・カード、着彩された写真、メキシコのフォトエスクルトゥーラ、日本の遺影など、これまで写真の周縁に追いやられてきたモノとしての写真たちを見ることができる。これらの写真が纏う生と死の現れにはまさに時が宙吊りにされたような不思議な感覚を経験することができるだろう。
 なお、300点の展示作品のうち、本書ではその中から99点が抜粋されて掲載されている。カタログには「ヴァナキュラー写真」の提唱者であるバッチェン始め本展の開催に尽力した甲斐義明氏、小原真史氏の刺激的かつ奥深い論考が収録されている。必読(カタログはちょいと高いが、無理して買ってしまった・・)。
 IZU PHOTO MUSEUMは三島からバスで25分ほどと遠いが、なかなか見ることのできない作品が多いので、写真を見ること、語ること、考えることに興味関心がある方はぜひ見られたい。