A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

Recording Words 076 何かパンのようなもの。

2010-03-01 21:42:37 | ことば
パンはほかの食物の味を中性にしてそれを拭い去ってしまう。それ故、比較的時間の長い食事には常にパンが必要である。あらゆる芸術作品にも、そのなかに多様な作用が存在できるように、何かパンのようなものがなければならない。つまり、芸術作品の持つ多様な作用は、それが直接的に継起して、そうした〔パンをあいだで食べるような〕折々の休息や中休みなしに連続すれば、急速にひとを疲らせ、嫌気を起こさせ、結局は芸術の比較的長い食事というものを不可能にしてしまうからである。
(フリードリッヒ・ニーチェ『ニーチェ全集6 人間的、あまりに人間的Ⅱ』中島義生訳、筑摩書房/ちくま学芸文庫、1994年、p.346-347)

「パン」ではなく「米」でも同じ意味である。もちろん「米」でなくてもいい。「何かパンのようなもの」とニーチェは言っているのだから。1つのものを食べ続けるより、「箸休め」や「おやつ」も大事ってことか。「芸術」も休み休みやりましょう。個人的には「人生」も休み休みやりたい。