A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

TOUCHING WORD 086

2009-03-19 11:55:23 | ことば
勇気をふたたび燃やし、聖なる希望の焔をふたたびともさなければなりません。太陽はまたのぼり、大地はふたたび花咲き、鳥は巣をつくり、母親はわが子にほほえみかけるのですから、人間である勇気を持とうではありませんか。そしてそのほかのことは星の数をかぞえ給うた方〔=神〕に任せようではありませんか。わたくしはこの幻滅の時代に、勇気がくじけるのを感じるすべての人々に向かっていうために熱烈な言葉を見つけることができればいいのですが。―お前の勇気をふるい起こし、なおも希望を抱くがよい、最も希望を抱く大胆さを有する者は最も誤まることの少ない者であることが確かだ。最も素朴な希望といえども最も理論的な絶望よりはいっそう真実に近い。
(シャルル・ヴァグネル『簡素な生活』大塚幸男訳、講談社/講談社学術文庫、2001.5、p.55-56)

使い古されたはずの「希望」と「勇気」という言葉に熱を入れる。

未読日記236 「古今亭志ん生 壱」

2009-03-19 11:46:35 | 書物
タイトル:隔週刊CDマガジン 落語 昭和の名人 決定版②古今亭志ん生 壱
編集人:宮本晃
監修:保田武宏
寄席文字:橘左近
CDマスタリング:草柳俊一
アート・ディレクション:渡辺行雄
デザイン:片岡良子
編集:小坂眞吾(小学館)、内田清子
制作企画:速水健司
資材:高橋浩子
制作:田中敏隆、南幸代
宣伝:長谷川一、山田卓司
販売:豊栖雅文、竹中敏雄
広告:林祐一
発行:株式会社小学館
印刷:大日本印刷株式会社
製本:共同製本株式会社
発行日:2009年2月3日
価格:1190円(税込み)
内容:
人生そのものが落語だった
五代目 古今亭志ん生(1890~1973)壱
○酒と博打で質通い… 志ん生びんぼう物語
○CD鑑賞ガイド 破天荒な人生を笑いに

落語をもっと面白くする連載3本立て
田中優子○一両って、何万円?
五街道雲助○荷の担ぎ方
山本進○落語家の元祖

創刊記念特別付録
○聴きながら眺める200年前の江戸 江戸一目図屏風
○笑う前に知っておきたい基本の「き」 落語の基礎知識

CD(65分)
火焔太鼓…亭主の逆襲
替り目…やっぱり女房が好き
唐茄子屋政談…吉原恋し若旦那

購入日:2009年3月4日
購入店:中目黒ブックセンター
購入理由:
志ん生は前号の三代目古今亭志ん朝の父親である。「人生そのものが落語だった」とコピーにあるように、とにかく破天荒な人生で、落語も飄々としたおもしろさでめっぽう面白い。「替り目」など笑い泣きしてしまうほどかあいらしい小品だ。本来、この噺は続きがあるそうなのだが、志ん生は途中で終わらせてしまうため、演題の意味がわからないのだが、そんなこととは関係なくおもしろいものはおもしろい。


TOUCHING WORD 085

2009-03-19 11:28:56 | ことば
人類は信頼によって生きているのです。存在するというほかならぬそのことによって、人類は人類の存在することを望んだ《意思》を信頼しているのです。
(シャルル・ヴァグネル『簡素な生活』大塚幸男訳、講談社/講談社学術文庫2001.5、p.49)

ヴァグネルは言う。
「花や、木や、動物たちは、強い落ちつきと、全き安心とをもって生きています。落ちてくる雨にも、目ざめる朝にも、海へ流れる小川にも、信頼の念があります。」(p.48-49)
それは、存在すること自体の信頼である。朝が来るのも、夜の闇が来るのも、存在することへの信頼がある。
なにやら超越した思考に神秘主義的な面を感じるだろうか。だが、この脱人間中心主義な思考には拝聴すべきものがある。
わたしはあなたの<存在>を信頼しています。

未読日記235 「古今亭志ん朝 壱」

2009-03-19 11:20:01 | 書物
タイトル:隔週刊 落語 昭和の名人 決定版「古今亭志ん朝 壱」
編集人:宮本晃
監修:保田武宏
寄席文字:橘左近
CD制作:株式会社ソニー・ミュージックダイレクト
アート・ディレクション:渡辺行雄
デザイン:片岡良子
編集:小坂眞吾(小学館)、内田清子
制作企画:速水健司
資材:高橋浩子
制作:田中敏隆、南幸代
宣伝:長谷川一、山田卓司
販売:豊栖雅文、竹中敏雄
広告:林祐一
発行:株式会社小学館
印刷:大日本印刷株式会社
製本:共同製本株式会社
発行日:2009年1月20日
価格:490円(税込み)
内容:
正調江戸弁、落語のスタンダード
三代目古今亭志ん朝 壱
○高座に咲いた江戸の華 志ん朝の芸と人生
○話芸のツボが丸わかり CD鑑賞ガイド
落語をもっと面白くする連載3本立て
 田中優子「江戸のしきたり」
 五街道雲助「噺の「お約束」」
 山本進「落語の履歴書」

CD(65分)
「夢金」…雪の夜、大川で
「品川心中」…騙す女、引っかかる男

全26巻、26人、約75席。名人の十八番を選りすぐって、落語の本当の魅力を1年間、お茶の間に届けます。
全26巻/オールカラー20ページ+落語CD(2~4席)
隔週火曜日発売 第2巻より価格各1190円(税込)
シリーズの特徴
1、昭和~平成に活躍した名人・26人が勢揃い
2、その噺家の十八番、出来のよい音源を厳選
3、CDゆえ、時と場所を選ばず楽しめる
4、冊子にて、詳細な人物伝と聴きどころを掲載
5、全26巻通して読み、聴けば、落語通の仲間入り

落語 昭和の名人ウェブサイト→http://www.shogakukan.co.jp/rakugo2009/

購入日:2009年2月25日
購入店:恭文堂書店
購入理由:
疲れを抱えて帰宅する際、ぶらりと駅前の本屋に何をするでもなく入った。仕事と自宅の行き帰り、せめて仕事場以外の場所の空気を吸いたくて、ときどき寄り道をしてしまうのだ。入り口すぐの雑誌売り場をチラとみるとこの「落語 昭和の名人」シリーズが平積みされていた。その内容を見て元気が沸いてきてしまった。志ん朝、志ん生、小さんなど昭和の最高の噺家たちの寄席がCDブックとして1年間でるというではないか。この手の分冊マガジンは買ったことがないが、これなら買い続けたいという内容だ。さっそく第1巻の志ん朝の巻を購入。聴いて一笑い、読んですばらしき噺家人生。志ん朝の寄席を聴いて思う。落語はこんなに笑えるのに、なぜ泣きそうになるくらい人間が愛おしいのだろう。テレビのバラエティ番組では、こちらの感情の尾が引くことはないが、落語は余韻深く、感情にお土産を残してくれる。あらためて最近、落語を聴いていなかったが、やっぱりいいものだと再認識した。こんな時代だからこそ…いや、いつの時代にもぼくらには笑いが必要だ。しかし、溜まるCD26枚はどこに置けばいいのやら…。


TOUCHING WORD 084

2009-03-19 11:03:37 | ことば
人が人間であり市民であるのは、自らに与える財貨や快楽の数によってでもなく、知的・芸術的教養によってでもなく、その享けている名誉や独立によってでもなく、その倫理的気質の堅固さによってなのです。そしてこれは要するに今日の真理であるだけでなく、あらゆる時代に通じる真理であります。
(シャルル・ヴァグネル『簡素な生活』大塚幸男訳、講談社/講談社学術文庫、2001.5)

あたりまえのことをあたりまえにすること。
20才のとき、漠然とそう思った。美大という「個性」ある人が集まるという場所にいて、その場所に馴染めなかった私はそう思った。
では、その「あたりまえのこと」とはなんだろう。
何年も考え続けてきて、それは本書で指摘されているような「倫理的気質」ではないかと考えてみる。「倫理」が失われた社会、労働環境に身をおいて、問われるのは「倫理」ではないかと何度も頭にその考えが飛来した。だが、私が「倫理的気質」がある人間であり、市民であるかというと心もとない。目の前に悪がありながら、何が私にできるのだ。何度も悪に打ちのめされていく人を見続け、何もできない自分に失望する。もう悲しい顔をした人を見たくない。

未読日記234 「遊べる浮世絵」

2009-03-19 10:58:07 | 書物
タイトル:遊べる浮世絵 体験版・江戸文化入門
著者:藤澤紫
ブックデザイン:原条令子デザイン室(原条令子+水上英子)
印刷・製本:東京書籍印刷株式会社
発行:東京書籍株式会社
発行日:2008年9月10日
内容:
見て、読んで、作って、遊べる江戸のエスプリ

Introduction 浮世絵から見えてくる江戸の文化と遊びの心
第1章:浮世絵で読む江戸文化
 浮世絵を楽しむ基礎知識……浮世絵の主題
 浮世絵の制作と流通
第2章:浮世絵を見る楽しみ・読む楽しみ
第3章:浮世絵に学ぶ絵のテクニック
資料編

入手日:2009年2月26日
著者の方よりいただいたもの。
浮世絵の入門的な冊子となっており、この1冊で浮世絵から江戸文化まで広く知ることができる。著者の方は多くの大学で教えている経験があるため、その蓄積によってまとめられたと思われる。その試行錯誤を通じて培われた浮世絵への愛情が本書には満ち満ちている。具体的に作ってみる箇所があったり、資料なども充実していて浮世絵を丸ごと頭で、手で学べる構成がユニーク。