A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記233 「自然の中の……静謐な魂の声」

2009-03-04 13:36:09 | 書物
タイトル:平岩洋彦展
制作:株式会社ビジョン企画出版社
協力:箱根・芦ノ湖成川美術館
撮影:有限会社サニー・フォト
印刷:アート印刷株式会社
内容:
2002年(平成14年)11月27日(水)~12月3日(火)に東京日本橋島屋6階美術画廊(ほか、横浜、大阪、京都、名古屋の島屋を巡回)で開催された<平岩洋彦展 自然の中の……静謐な魂の声>の図録。

「清雅なる山中独語―平岩洋彦のまなざし」篠原弘(美術評論家)
図版(15点)
「雪煙」平岩洋彦
出品目録
平岩洋彦略歴

作家サイン入り

入手日:2009年3月4日
入手場所:仕事場
仕事場で同僚より頂いた。実は、昨年か今年の初めに頂いたのだが、頂いた日付を失念したため、これを書いた日を入手日とした。
展覧会は怠慢のため見ていないのでコメントはできないが、いわゆる「日本画」の展覧会。収録されている美術評論家・篠原氏のテキストによれば、平岩氏の作品は「文人画」的資質をもった作品として評されているが、私には西洋画の影響が感じられる。表現目メディアが「日本画」であると、岩絵の具などから「日本」及び「東洋」を連想しがちだ。だが、そういう分類に私は興味はなく、昨今の日本画滅亡論もいつの時代にもある話で、さして新鮮味がない。なにかドメスティックな議論に感じてしまうのだ。美術関係者ぐらいしか興味を持つことができない議論は不毛だ。それを言うなら絵画滅亡論として、「絵画」そのものを問うスケールの大きい問題を考えてほしい。話が逸れてしまったのでここでやめにする。

未読日記232 「死にいたる病」

2009-03-04 13:21:00 | 書物
タイトル:死にいたる病
著者:セーレン・キルケゴール 枡田啓三郎訳
カバーデザイン:渡辺千尋
発行:筑摩書房/ちくま学芸文庫
発行日:1996年6月10日
内容:
絶望とは、人間の精神のみがかかる「死にいたる病」である。キリスト教界の欺瞞を批判しつつ、無限なる神との関係における有限なる自己(単独者)をめぐって、絶望と罪の諸形態を徹底分析し、考え抜く―精神の教化と覚醒のために。自己疎外におちいった現代人の魂の、その核心への肉薄が、いまなお鮮烈に私たちをとらえてはなさない。キルケゴール晩年の思索を、デンマーク語原典から訳出し、詳細をきわめる訳注を付す。

購入日:2009年2月22日
購入店:BOOK-OFF 飯田橋駅東口店
購入理由:
たまたま通りがかった古本屋でまったく別の本を探していたのに、いまさらながらキルケゴールの『死にいたる病』を見つけて購入してしまう(余談だが、ジュール・ヴェルヌ著、高山宏訳『月世界旅行』ちくま文庫版を古本屋で見かけた方はご一報ください。)
「絶望は罪である」という言葉が目次を拾い読みしたとき、眼に飛び込んできた。
私は絶望などしていないが、絶望したい気分なのは確かで、そんな罪人としては読まなければなるまい。


TOUCHING WORD 082

2009-03-04 13:15:10 | ことば
「プロフェッショナル」というとよく誤解する人がいる。自分の能力だけを頼りに、エゴイスティックに成果を追い求めていく人のことをプロだと思い、それが美徳であるかのように考えるのである。
 しかし、真のプロフェッショナルは業界全体、いや社会全体のうえに自分の仕事が成り立っていることをよく理解し、自分の成果を社会に還元していく人のことだ。


(越智通勝『仕事を大切に、転職は慎重に。』幻冬舎メディアコンサルティング2008.9、p.182-183)

インターネット求人・転職サイトのエン・ジャパン株式会社の代表取締役会長である越智通勝氏の著書から。返す言葉もないくらいまっとうな言葉だが、なかなかどうしてこれが浸透していないのではないか。自分本位に生きたいと考えるのが人間だから、「プロフェッショナル」という言葉も自分の都合の言いように解釈するのだろう。こんな世の中ではそれも致し方ないことなのかもしれないが…。

未読日記231 「自由はどこまで可能か」

2009-03-04 13:07:38 | 書物
タイトル:自由はどこまで可能か リバタリアニズム入門
著者:森村進
カバー・表紙デザイン:中島英樹
発行:講談社/講談社現代新書1542
発行日:2001年2月20日
内容:
リバタリアニズムとは何か?
リバタリアンな権利
権利の救済と裁判
政府と社会と経済
国境の(非)重要性
家族と親子
財政政策、あるいはその不存在
国債に頼らない政府の財源
自生的秩序と計画
批判と疑問

購入日:2009年2月15日
購入店:BOOK-OFF 高田馬場北店
購入理由:
先日、29年アメリカに住んでいたという人から公共哲学についての話を聞き、素直な私は刺戟を受けてネットで関連本などを探していた。何冊目かの本の詳細を見ていたとき、関連本として本書が上げられていたのだ(結局、公共哲学の本ではないが)。‥リバタリアニズム?まったく聞きなれない単語にホッブズの「リヴァイアサン」という本を思い浮かべてしまったくらいだ。
 リバタリアニズム(Libertarianism)とは、日本語では「自由至上主義」「自由尊重主義」「自由放任主義」などと訳されるという。そんな言葉から「リベラリズム」とは違うのかと疑問を抱くが、そこも本書では違いを論じているようだ。要約してしまえば、タイトルにもなっているように、「自由はどこまで可能か」自由という概念を拡張する理論ということだろうか。政治思想・社会哲学の用語なので、門外漢で本書を未読ないま、詳しく述べることはできないが、「自由」の問題は私自身とても興味を魅かれている。「自由」という概念がいつ誕生したのかわからないが(おそらく近代だと思うが)、来るべき自由に備えて読んでおきたいと思う。

TOUCHING WORD 081

2009-03-04 13:04:34 | ことば
人生とは、10パーセントは自分で作るもので、90パーセントはそれをどう引き受けるかだ。
アービング・バーリン(アメリカの作曲家)


(戸田智弘『働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。』ディスカヴァー・トゥエンティワン2007.9、p.86)

この手の人生100パーセントのうち云々という言葉は数多あるが、なんでも自分で作るものだと思われている人生幻想に対し、「引き受ける」という受動的とも言える言葉を対置したのは、新しい視点だった。世の中には引き受けざるを得ない状況やことがあるだろう。それにたいして、自分の人生を「作れなかった」と悔やむより、「引き受けた」と考える方が、どれだけ風通しがいいだろう。例えば、ピッチャーやゴールキーパーはただ暇を持て余しているのではない。来たボールを受け止めるだけの体力、集中力、緊張感がなければボールを捕らえることはできないだろう。

未読日記230 「四季の彩り」

2009-03-04 12:51:43 | 書物
タイトル:谷中武彦日本画展―四季の彩り―
発売制作:株式会社三越
印刷:株式会社同美印刷
内容:
2009年2月10日(火)-16日(月)日本橋三越本店本館6階美術特選画廊、4月14日(火)-20日(月)福岡三越9階美術画廊にて開催された<谷中武彦日本画展―四季の彩り―>の展覧会図録。

「四季の彩り」谷中武彦
図版21点
作家略歴

入手日:2009年2月13日
入手場所:日本橋三越本店本館6階美術特選画廊
図録は作家の方より頂いたもの。いままで作品を見たことがなかったのだが、へたに暗い色使い、技巧的な作風ではなく、それがかえってこちらも気をぬいて見ることができた。いわゆる「売り絵」という側面が強い作品だが、そういった面を否定する気は私にはないし、質の悪い現代美術の作品よりずっといい。

TOUCHING WORD 080

2009-03-04 12:49:48 | ことば
仕事は、1円でもいいから、人に対して、「この人にお金を払いたい」と思わせるだけの、役立ちなり、歓びなりを、自ら提供していくことだと思います。
(山田ズーニー『おとなの進路教室』河出書房新社2007.3、p.122)

ここ数年間の仕事を振り返って思う。私の仕事は「この人にお金を払いたい」と思わせられる仕事をしてきただろか。すると、急に自信がなくなり、自己嫌悪に陥るしかないのだ。思えば誰の役にも立たない役立たずとして存在していたような気がしている。

未読日記229 「十方視野」

2009-03-04 12:38:08 | 書物
タイトル:内海聖史「十方視野」
編集・デザイン:池内努
写真:長塚秀人
発行:レントゲンヴェルケAG
発行日:2009年1月10日
定価:1000円
内容:
静岡県立美術館「風景ルルル」(2008.11.3-12.21)、ラディウム―レントゲンヴェルケ(2009.1.10-2.14)、グラニフギャラリー(2009.2.16-3.13)における内海聖史「十方視野」展カタログ。300部限定。
A4サイズ、14頁、ed.197/300、図版84点、作家略歴

購入日:2009年2月7日
購入店:ラディウム-レントゲンヴェルケ
購入理由:
毎回、鮮烈な身体感覚を体験させてくれる内海聖史の最新個展「十方視野」のカタログ。
詳しくは、アート系情報サイト「カロンズネット」でレヴューを書かかせて頂いたのでご覧ください。
http://www.kalons.net/j/review/articles_326.html

過去に内海氏のまとまったカタログはなかったので、本書はファンには垂涎ものかと思われる。まして、300部限定なので欲しい方は早めの購入をすべし。
本書を眺めながら、誌上の色彩空間を味わってほしい。