戸数67、人口わずか140人あまりの岩首集落。標高350mの土地に23ヘクタール、460の棚田が広がる。平成23年6月に「朱鷺と暮らす郷づくり運動」が評価され、「世界農業遺産」に登録された。佐渡金銀山の世界遺産登録を目指す佐渡市は、遺産と名の付く物に認定されると、すぐさまそこを観光スポットに仕立て上げてしまう。岩首と言えば観光資源は「養老の滝」くらいなのだが、これに棚田が加わった。筆者は2015年5月6日、広大な棚田と日本海を見下ろす事ができる展望台へ向かってみた。ところが展望台へと至る道はかなり狭く、BMWの巨体では対向車とはすれ違えない。途中まで行ったところで、帰還不能の恐怖にかられたため展望台行は断念し引き返した。展望台まで行けば対岸の新潟市の建物群(新潟県庁、ビックスワン、朱鷺メッセなど)まで見えるそうだ。棚田とは、戸棚の引き出しのように、整然と段々状に並んだ田んぼの様を言うのだろうが、土地の狭い外海府の海岸地帯や赤泊などにもあり、別に岩首だけの専売特許ではない。佐渡ならどこにでもある風景なので、棚田を見渡したところで格別な感慨はなかった。
棚田は1970年頃には800枚ほどあったが、耕地整理により、1981年には460枚にまで減ったそうだ。この時に、変形した小さな田んぼを等高線状にまとめる工法が採用されたため、曲線状の高い土手を持つ独特の棚田の景観が継承されたとの事である。ちなみに展望小屋は、佐渡伝統芸能専門学校の生徒さんの協力を得て作られたそうである。
晴れていれば遠く対岸の新潟の景色まで見えるそうだ
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