佐渡には、鉱山の守り神たる大山祇神社と称される神社は4箇所あり、その中で最も創建の古いのは、西三川の笹川集落にある大山祇神社である。国道を真野方向から進み、西三川ゴールドパークの所を左折し、しばらく行くと道幅が狭くなる。やがて医王寺が左手に見えて来る。そこから先は、筆者の愛車のような馬鹿でかい車では対向車とのすれ違いは至難の技になる。それゆえ、笹川集落まで辿り着くのに、レンタルした軽自動車を使用した。笹川集落入り口に観光案内看板があり、それを見たら、大山祇神社の位置が判明したので、地図どおりの道をゆるゆると走行したら、能舞台らしき物が前方左手に見えた。あれが神社だと確信し、車を進めたら、右手にいい風情の茅葺き屋根のお家があり、その向かい辺りに神社の鳥居が見えた。このお家は、金子勘三郎家と言い、金子氏は、西三川砂金山隆盛の頃は、その名主を努めていた。
神社の狛犬や標柱は相当古そうである。能舞台ではもはや能は演じられていないのかどうか分からないが、その扉は全て取り払われ、内部の風通しを良くしていた。西三川砂金山が華やかなりし頃は、その守り神としての鎮守の位置のステータスはかなり高かったのだろうが、現在では往時を偲ばせる物と言えば、立派な拝殿だけである(訪問時は改修工事中だった)。稲刈り真っ盛りの時期に訪ねたら、農家から脱穀機の音が聞こえ、秋らしいたおやかな甘い空気に満ち溢れた、古代西三川の繁栄を彷彿とさせる時間だけがゆっくりと流れて行った。http://www.digibook.net/d/0d9485b7b11e06357bae3d36b028365e/?viewerMode=fullWindow